三輪 清宗 (著),5pb.×ニトロプラス (原著)
今作はキャラクターアンソロジーで阿万音鈴羽、牧瀬紅莉栖、フェイリス・ニャンニャン、漆原るか、桐生萌郁、椎名まゆりを主人公とした全6編である。
まず阿万音鈴羽については2036年から2010年へとやってきてSERNに支配された世界を変えるべく1975年にタイムトラベルをしてからのストーリーを描いたものである。
2010年へと至るまでの鈴羽の行動、そして紅莉栖とフェリスの父である牧瀬正一と秋葉 幸高、ブラウン管工房の天王寺 裕吾との関係等を描いており、これはストーリーとして面白いと感じた。
紅莉栖、フェイリス、るか、萌郁についてはDメールで改変された違う世界線でのストーリーであり、フェイリスは父が生きている世界線、るかは性別が男から女になった世界線での話である。
だが結局、全員が岡部を好きって言う展開で正直くどい。
というか読んでて飽きる。萌郁について描くのであれば、原作に沿った形でSERNのラウンダーとしての萌郁との心情や行動といったものを描いて欲しかった。
まゆりについては岡部に対する特別な思い、そしてかすかに残る自分が何度も繰り返し死ぬと言う夢みたいな記憶、その先に待つ世界戦と言う具合にうまくストーリーとまゆりの心情がリンクしていて良かったと思う。
キャラクターのスピンオフ作品のため、全体的にどうしても物足りなかったり、くどいと感じる部分もあるが、これはこれで、原作ストーリーとは関係なしにシュタゲのキャラを知っていればありかなとは思う。