北川 ミチル (著)
高校生になったばかりの夏子。
s彼女は小さな頃から水泳に明け暮れており、中学時代には縁国大会に出場する等、将来有望の競泳選手だった。
だが、ある日の出来事がきっかけで、夏子は他人の視線に脅え、水泳はおろか、外出することさえできない引き込もりになってしまう。
数か月後、夏子は意を決して、あるものを入手するために外出をする。
それはバタフライナイフであった。
しかしその日偶然にも小学校の同級生であった沙耶花と再会する。
名乗られるままで誰かもわからなかった相手である。
沙耶花は小学校の時から体の弱さと吃音症が原因でイジメられていたのだ。
夏子は直接イジメた事はないが、心の中では沙耶花の事をバカにしたりしていた。
だがそんな記憶の少女は別人のようになっていた。
背が伸びているというのもあるが、それ以上に生き生きとしていたのである。
自分を裏切った人間に復讐する決意をした夏子であったが、昔とは別人のような沙耶花と共に行動する事になる。
次第に夏子は心境が変かしていく。そして迎える結末は...
これは夏子と沙耶花の夏の3日間の物語である。
この作品は多感な時期の少女の葛藤を描いている。
イジメ、裏切り等々... 現代SNSが普及した世の中で実際にあり得るであろう事を如実に物語っている。
ストーリーは途中で先読みができてしまうので物足りなさを感じるが、少女特有の悩み、10代ならではの出来事は、重ねて共感できる部分もあるだろう。
プロレスの描写が多く、すぐに結末が読める点等、個人的には少し残念な部分が多く感じたが、扱っている内容についてはいろいろと考えさせられる作品だと思う。