鴨志田 一(著)
峰ヶ原高校2年生、梓川咲太はその日、野生のバニーガールと出会った。
いや、そんなものはいない。
図書館で見たバニーガール、それはなんと超有名人の人気タレント、桜島麻衣であった。
麻衣は咲太と同じ高校に通う1つ年上の3年生である。
彼女に異変が起きていたのだ。
図書館では誰も麻衣の姿が見えていないのであった。
咲太にはその現象に身に覚えがあった。
それはネットで噂になっている思春期症候群ーー。その病気は何かしらの不思議な事象に巻き込まれてしまうのだ。
かつて自分の妹のかえでの体に起こった現象、それに伴い自身の体にできた大きな傷跡...
私にかかわるなと告げる麻衣、しかし咲太は麻衣の姿を忘れることはできなかった。
ある日の放課後、咲太は麻衣に再会し、思春期症候群の話題になる。
麻衣は否定するが、咲太には否定できない理由があった。妹にそして自分に起きたことがあったから...
咲太は傷を見せて説明する。咲太は麻衣に起きている事の原因を探るために動き出す。
だが次第に周囲は次々と麻衣の姿が見えなくなっていく。
やがて枚に関する記憶も失われていく...
麻衣を救うために咲太は立ち向かっていく。
著者の前作、さくら荘のペットな彼女のアニメが好きで、この作品にも興味を持ったのだが、これぞラノベ、軽く、心地よくサクッと読める青春ストーリーだ。
若者向けではあるが、大人が読んでも普通に面白い。
思春期症候群という謎の病気、それに関係する少年少女の悩み、葛藤等々、思春期独特の感情や、人間関係を絶妙に描いている。
咲太と麻衣の関係が徐々に親密になっていく過程に比例して、麻衣の存在が消えそうになっていくストーリー構成もよく、最後は一安心...かと思いきや、次巻に続く布石アリと、アニメ化、映画化も納得の作品である。