鴨志田一(著)
2年生になった空太は転校してきた天才画家、椎名ましろの世話係、通称ましろ当番となり、何ひとつできないましろに苦労しつつも、日常を楽しく過ごしていた。
そして迎えた夏休み、さくら荘にまた問題が生じる。
ましろの追試問題であった。
天才画家が故か、勉強は全くできず、帰国女子なのに英語も含めて全教科0点という偉業を成し遂げたましとの追試対策に追われていた。
それともう一つさくら荘に新たな住人が来たのだ。
それは空太のクラスメイトで、声優を目指す青山七海であった。
七海は関西出身で親の反対を押し切り、すべての費用を自分で賄うという条件で水明に入学したのだ。
しかし通常の寮費を払えず滞納してしまい、さくら荘へと引っ越しを余技なくされたのだった。
ましろとの関係を隠したい空太だったが、そんな想いはあっさりと裏切られる。
結果、まじめな性格の七海がましろ当番をやると言い出すのだった。
さくら荘のドタバタな夏休みがスタートである。
さくら荘第2弾の今作は夏休み編である。
相変わらずドタバタしているさくら荘の面々による、会話を中心として織りなすテンポの良いストーリー構成は今作も健在である。
特に空太とましろの会話は勘違いしてしまうような発言の連続には思わず顔が綻ぶと共に言葉遣いの巧みさを感じるものだ。
天才に触発され、嫉妬に近い感情を抱きながらもやりたい事を見つけて進もうとする空太。
これぞ青春ラブコメのエッセンスに触れる作品であろう。