災禍の鎧と赤の王

アクセル・ワールド2-紅の暴風姫


アクセル・ワールド2-紅の暴風姫

川原 礫 (著)

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川原 礫 (著)

呪われた強化外装、災禍の鎧。

黒雪姫を守る騎士となったハルユキ。

彼の操るデュエル・アバターのシルバークロウは唯一無二と言っていいい飛行能力の持ち主だった。

その能力を駆使し、ブレインバースト内で快進撃を続け、あっという間にレベル4まで到達していた。

しかし、それも弱点を見抜かれるまでの事だった。

その”飛ぶ”という能力ゆえに、空中では無防備となってしまい、遠距離からの射撃攻撃にめっぽう弱かったのだ。

そのため、所属するレギオン、ネガ・ネビュラスにおいてもブラック・ロータスとシアン・パイルの仲間たちの足を引っ張る形となってしまい、領土拡大も進まずにいた。

ハルユキは弱点を克服するためにトレーニングに励む。

そんな中、ハルユキの家には、彼の事をお兄ちゃんと呼ぶ少女が現れる。

親戚の子を預かる事になったのだが、その少女の正体は親戚でも何でもない。

ブレインバーストの赤の王、スカーレット・レインだったのだ。

赤の王こと、上月由仁子と名乗る少女は、シルバー・クロウとのバトルに勝利した見返りとして、リアルで黒雪姫に合わせるように要求する。

それには加速世界で起きている事件が関係していた。

呪われた強化外装、災禍の鎧。

その鎧を身にまとうと、精神をのっとられてしまい、殺戮を繰り返すのだけの恐ろしいアバターとなってしまう。

その鎧を身にしたのは、スカーレット・レインの赤のレギオンの者だった。

しばらくして、赤と黒の王と共にシルバー・クロウとして災禍の鎧を討伐するために、ハルユキは無制限中立フィールドへと向かうのであった。

アクセル・ワールド第2弾。

今作はバーストリンカーの親と子に纏わる物語である。

赤の王は、その年齢に見合わない言葉使いだが、それは加速世界で膨大な時間を過ごしたがゆえに、精神が体を置き去りにして成長してしまったからで、黒雪姫もそれは同様であり、ある意味では1つの弊害であるが、それがキャラクターの設定を色濃くしている。

過去の裏切り行為に苦悩する黒雪姫。

その姫と仲間を守ろうと奮闘し成長していくハルユキ。

それぞれの想いが加速していく作品である。

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