古宮 九時(著)
夏休み初日、大学生の水瀬雫の目の前に突然謎の穴が現れる。
目の前に浮かぶ黒い穴に恐怖心と好奇心を抱き手を伸ばす…と。
次の瞬間穴に吸い込まれてしまった。
目を覚ますとそこは砂漠だった。
しかし夢ではない。
現実の世界であると分かった雫は、生き残るため砂漠を歩くが力尽きて倒れてしまう。
だが通りかかった馬車により助けられた雫は、この世界の話を耳にし、図書館で大陸の地図を確認する。
ここは雫の知る地球上には存在しない大陸だった。
彼女は異世界へと迷い込んでしまったのだった。
そこは不思議の世界だった。
異世界なのに何故か日本語が通じ、人々は日本語を話していたのだ。
そんなの雫は図書館でエリクと言う魔法士の青年と出会う。
彼は雫と同じ馬車に載っており、別の世界から来た雫に興味を示す。
彼は雫の使う言葉と文字に興味を抱いたのだ。
今いる場所は大陸東部の小国であり、魔法大国のファルサスならば元の世界に戻る手がかりがあるかもしれないと考え、ファルサスへの旅を決意する雫。
その彼女にエリクは同行すると提案する。
目的は見返りに雫の世界の文字と言葉を教えると言うものだった。
こうして雫は元の世界に戻るため、果てしない旅へと出発する。
この作品はアンネームドメモリーの姉妹作と言える作品で、同じ世界観から描かれるストーリーは言葉をテーマにしたものである。
異世界において言葉が通じる以外に何もない。
言葉以外は何もかもが違う。
その中で言葉を使って人間関係を築き、困難な道を乗り越えていく雫。
当たり前のように使っている言葉と言う物の意味。
それが持つ大きさと言うものを感じる。
物語が進むにつれ大きな事件が起こり、雫の言葉を駆使して立ち回っていく。
この先にどういう展開が待ち受けており、どうやって言葉を使い切り抜けていくのか続きが楽しみな作品だ。