宇野朴人(著)
2年生になり新たな授業が加わった。
魔法生物学では困難な課題が与えられ、天文学においては異界と異端について学ぶ。
オリバーは夢の中で母の記憶を見ていた。
それは彼にとって狂いそうな程の怒りに苛まれるものだった。
とある日のことピートは授業後に一人別行動をとるが、不審に思ったオリバーとナナオは後を追う。
そこには魔道工学の教師であるエンリコの姿があった。
エンリコはピートを研究室に案内すると言うや、彼を担いで逃げるように去っていく。
後を追う二人は次々と迫る罠を交わし、先輩の協力もあり、なんとかエンリコの元へと追いつく。
だがそこで見たものは機械仕掛けの神という巨大な人型ゴーレムだった。
その動力の源は恐ろしいものであり、それは魔法使いが故の魔道の追求が産んだものであった。
オリバーは次の仇討ちの相手をエンリコに定める。
迷宮の第4層からはかなりの危険を伴う。
その4層から5層へ向かう場所を戦いの場とし、同志と共に計画を練っていく。
総勢32名にて、エンリコに復讐を遂げるべく挑むオリバー達。
建築者と呼ばれるエンリコは、それぐらい強く間違えようのない天才魔法使いなのだ。
果たして二つ目の復讐の行方は...
シリーズ第5弾。
今作ではオリバーがどういう人間であるかというのが描かれている。
復讐に燃える一方で、根は優しい少年で母に対する想いや苦悩が伝わってくる。
前作と違い復讐に重きを置いている今作は、戦闘シーンも多くキンバリーの危険な迷宮の模写も多々あり、圧倒的な力を持つ者ありと魔法ファンタジーの醍醐味が堪能できるだろう。
この先、復讐の行方とオリバーの周囲との関係がどのようになっていくのか、ますます楽しみな作品である。