デニス・ヘイレン(著)
ショーンとジミー。
彼らは本来なら友人になる事はなかった。
ショーンは岬に住み、家を所有している。
ジミーは集合住宅に住んでいる。
同じ労働者階級の家庭だが、そこには明確な差があり、生まれも育ちも違う。
だが、彼らの父親は同じ工場で働き、工場主任であるショーンの父はジミーの父と仲が良く、週末になるといつもショーンの家で酒を楽しむ中だった。
その父に付き添って息子のジミーがいつも来ており、 そのジミーにはデイヴという少年がついて来て、3人の少年はいつも一緒に遊ぶようになる。
ある日、ジミーは車を盗もうとする。ショーンは反対するが、それがもとで3人は喧嘩になってします。
そのとき、3人の元に警官のような男がやってくる。
喧嘩をする3人に怒鳴りつけ、そしてデイブを車に乗せて走り去ってしまう。
だが、男は警官ではなかった。
行方不明になったデイブが家に戻ったのはそれから4日後だった。
その4日間にデイブの身に何が起きたのかは言わずとも皆が理解していた。
それから25年の歳月が流れる。3人はそれぞれ別々の人生を歩んでいた。
ジミーは犯罪社会の人間となるが更生し、雑貨やを営んでいた。
ショーンは警官となり、デイブは安月給の仕事をしていた。
しかし事件が起こり、再び3人は巡り合うことになる。
ジミーの19歳の娘が殺害されてしまったのだ。
血まみれで帰宅したデイブに容疑がかけられ、ショーンは上司と捜査を進める。
ジミーはかつての犯罪社会のコネを使い、犯人に復讐を誓う。
果たして3人の運命は...
この作品は3人の人生を描いているが、結末はどれも悲しいものである。
少年時代のトラウマから心に闇を抱えるデイブ、犯罪から足を洗ったのに、元妻に続いて最愛の娘まで失ったジミー、家庭に問題を抱えるショーン...
全ては少年時代のあの日の事に捉われている。
それが物語の根底にあり、3人の人生が滔々と展開されていく。
派手さはないが、人物描写や物語の構成は秀逸であり、作品にのめりこんでしまうだろう。