ジョン・スコルジー 著 内田昌之訳
コロニー防衛軍、そこは75歳以上の老人しか入隊することのできない群である。
妻に先立たれたジョンペリーは75歳の誕生日に入隊した。
なぜこうも多くの老人が入隊を希望するのか…それは入隊するにあたり、あらゆる内科的外科的、治療的療法及び処置を受け入れると言う項目がある。
つまりは宇宙で軍人として戦う見返りとして、若返ることができるのだ。
かくしてジョンは入隊し、多くの同年代の老人と出会う。
彼らは医務診断の結果、大抵のものが何かしらの病を患っていた。ただそれらは何の問題もなかった病を治して若返るわけではなかったのだ。
身体改良、つまり直際に行われるのは体の入れ替えであった。
用意される体はDNAが大幅に改変されているが、遺伝子サンプルより作られた20代の頃の自分の体だった。
相違点としては肌が緑色であること以外は自分の若い頃のままであった。
その体に今の体の脳内活動の記録を移す… 75年の経験を持った全ての面で強化された肉体を持つ兵士となるのだ。
こうして新しい体えと生まれ変わった自分の使命は銀河の角惑星に植民する人類を守るために、エイリアンとの戦争を勝ち抜くことであった。
だが新兵の大半が短期間で命を落としていく。
ジョンの友人たちも多くが死にゆく中、彼は生き残っていた。
そんな折、コーラルで人類が大虐殺される。
コーラルとは人類が移住した5つ目の惑星であり地球よりも快適な環境の星だった。
そこをララエイ族と言うエイリアンに侵略を受けたのだ。
この星を奪還するため、人類は作戦を決行する。
しかし人類は返り討ちにされてしまう。
ジョンの乗る船も攻撃をかわしきることができずに墜落してしまうのだった。
仲間は死に、ジョンも死ぬ寸前と言うダメージの中、現れたのは先だったはずの妻の姿であった。
命からがら救助されたジョン。
10万の兵が死んだ戦いで、偶然以外の要素で生き残った唯一の兵士として中尉に昇進したじゃんジョン。
彼は再びコーラル奪還のため特殊部隊とともに人類存亡をかけた戦いに身を投じる。
「老人と宇宙」タイトルで興味を惹かれたが、書き出しの75歳の誕生日私は妻の墓参りをして軍隊に入ったと言う一文で面白いと直感した。
この作品は難しい言葉や専門的知識を要する言葉も一切ないので、とにかくわかりやすく、読みやすい。 何より面白い。
集まった老人が老いぼれ男と名付け、仲良くなったり上官とのやりとり、中でも体内コンピューター、ブレインパルとのやりとりは声を出して笑ってしまうほどだ。
新しい体の取説や、よくある質問、個性的なエイリアンの姿の模写もわかりやすい。
そして妻の姿をした女性に出会い、人類存亡のために戦うジョン。
とても面白く、ユーモアあふれた宇宙戦争を描いたSFである。