その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみるEP-001 音乃木坂②(8)


ラブライブの続きを勝手に考えてみるEP-001 音乃木坂②(8)

音乃木坂図書室 司書

ラブライブの続きを勝手に考えてみるEP-001 音乃木坂②
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ラブライブ! 1st Season

ラブライブ! 1st Season Collection DVDより

「全く穂乃果は... でもそれが穂乃果らしくていいのかもですね」

「うん、そうだね。 穂乃果ちゃんのパワーは本当にすごいよね」

海未とことりも一時はどうなることかと思っていたが、 穂乃果の持つ魅力、 自然と周りの人を惹き付けて笑顔にする才能とでも言うのか、 とにかく穂乃果らしさで挨拶を乗り切ったのである。

だがこれで終わりではなかった。

海未とことりが一息ついたその時であった。

綺麗な赤い髪をした女の子が颯爽と、 海未とことりの横を通り抜け壇上へと向かう。

「 まったくもう... 穂乃果は3年生になっても何も変わらないんじゃない。 しょうがないわね... 祝辞忘れるとかイミワカンナイ」

ぶつぶつと 小言で文句を呟くのは西木野真姫であった。

音ノ木坂学院の2年生であり、 元μ'sのメンバーであるクールな印象でファンに出待ちされるなど、 メンバーの中でも高い人気を誇る。

実家は西木野総合病院を 経営しており、 本人も医者を志望する秀才である。

口癖はイミワカンナイで、 手持ち無沙汰になると右手の指で髪の毛をくるくる回す癖のある年頃の女の子である。

尚本人は全力で否定するが、2歳年上の元μ'sメンバーの矢澤にことは大の仲良しである。

突然ステージ上に現れた真姫を目の当たりにして、新入生からは大歓声が上がる。

その歓声の大きさは穂乃果をはるかに上回っていた。

「 何で真姫ちゃんの方が 歓声が大きいの!?」

ボソッとつぶやき、ぶーたれる穂乃果をよそに、ステージ上で一礼をした真姫はそのままピアノへ向かい、腰を下ろす。

ステージ裏ではこれまた予想外の展開に海未とことりも驚いていた。

二人の脳裏には先輩たちの卒業式の光景が過る。

でもあの時はもともとそういう演出と分かってのことだった。

でも今回は違う。

全くもって予想していないことだったのだ。

体育館内は依然として真姫の登場により大きなざわめきが続いている。

広報の保護者席に座っている絵里も、 この展開には少し驚くような表情をしている。

理事長に限っては楽しそうににこにこしている。

ピアノに座った絵里が手で穂乃果に合図を送る。

「何で真姫ちゃんの方が声援大きいの? なんで! 真姫ちゃん!」

するとすぐさま穂乃果をフォローするような声が沸き起こった。

やれやれといった表情の真姫とは対照的に、気分を良くした穂乃果はマイクに向かって続ける。

「 先ほども言いましたが、 私は歌うことが大好きです。

だから... みんなに歌で気持ちを伝えたいと思います」

そう言うと同時に大きな歓声につつまれる。

その後に一瞬の静寂が訪れる。

全員の視線が穂乃果と真姫にそそがれる。

そして静寂を破り真姫がピアノを弾き始める。

単音の美しい旋律から始まり、 家建ては音と共に響きあって奏でられる美しいメロディー、 そこに穂乃果のμ'sの時とは違った優しい歌声が重なり合って行く。

なんと素敵な曲であろうか。

しかしその曲は聞いたことのない曲だった。

μ'sの曲でなければ、 誰かのカバー曲でもない。

そうこの曲は穂乃果が真姫と今日この日のために作った新しい曲だったのだ。

曲の中に出てくるフレーズ... それはまるでこの1年間、 の仲間へと向けた言葉にも感じられた。

真姫の作曲センス、そして穂乃果の素直な思いが詩に込められており今までのμ's とは 全く違うこの曲に、 多くの人は心を打たれていた。

曲が終わると泣き出してしまった生徒もいた。

憧れていたμ'sの高坂穂乃果と西木野真姫による曲である。

そんな子がいたとしても不思議ではなかった。

「 皆さん、大きな歓声ありがとうございます。

この曲は私と絵里ちゃんの二人で今日のために作った曲でした。

最後になりますが、新入生の皆さん、改めてご入学おめでとうございます。

そして...」 ここは高校の体育館である。

今行われているのは入学式である。

しかし今、ここはライブ会場花の如く、大きな歓声で溢れていた。

響き渡る大きな拍手、 穂乃果と真姫の名を呼ぶ大きな声援...

穂乃果は” そして” といい、 少し間をとり最後に一言。

「 みんな、音乃木坂に来てくれて本当にありがとう!」

こうして生徒会長によるライブ...いな入学式における挨拶は終了した。

” 音乃木坂に来てくれてありがとう” これは 心からの言葉であろう。

1年前には廃校になる寸前だった。

もしかしたら今年の入学式はなかった可能性もあったのだ。

いやμ'sの活躍、存在がなければ実際になかったであろう。。

μ'sとしての活動を通じて多くの人に言音ノ木坂学院という学校を知ってもらい、 こうして多くの新入生を迎えられたことを本当に嬉しく思っていた穂乃果であった。

一方保護者席に座っている絵里は自分たちの卒業式のことを思い出していた。

あの時も穂乃果は生徒会長として、そしてμ'sの高坂穂乃果として歌で卒業を祝ってくれた。

スクリーンに映し出された音乃木坂での3年間の思い出の映像に合わせ、穂乃果の歌声と真姫のピアノのメロディーが 折り重なって、μ'sのメンバーが歌い出し、最後は 在校生卒業生ともに全員で歌っていた。

卒業式であんな展開になるなんて、 絵里は予想だにしていなかった。

とても素敵な式で一生忘れることはないだろう。

感動のあまり涙が止まらなかった... 脳裏によぎるあの日の思い出...

「穂乃果ってば...泣かせないでよもう...」

少し前のことを思い出し目元に涙を浮かべる絵里であった。

続く

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