その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-007 ミュージック・Re:スタート➀(41)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-007 ミュージック・Re:スタート➀(41)

音乃木坂図書室 司書

ーー4月末、高坂家穂むらにてーー

この日からGWがスタートである。

音乃木坂学院では例年、なぜだか知らないが、GW期間中の平日が休日となるため、4月末から大型連休がはじまるのである。

一説では創立記念日と開校記念日等々の所説があるが、真相は定かではない。

それはさておき、新学期がはじまり早一か月弱。

元μ'sであり音乃木坂の卒業生の絵里と希は大学生として、にこも短大生として新しい生活にも慣れてきたころである。

更に絵里とにこと真姫の3人は学外でのユニット、BiBiを結成し、スクールアイドルとは異なり完全に外での活動を主としたアイドルとして活動をスタートさせていた。

音乃木坂では多くの新入生がスクールアイドル部に入部しており、賑わいを見せている。

すでに1年生もそれぞれユニットを組み、活動を始めていた。

その中でも一際早くユニットを結成した雪穂と亜里沙による3人組ユニット、おしるこガールズ(仮)は、そのネーミングセンスは疑いたくなるものであったが、すでにオリジナル曲を完成さており、まもなく始まるラブライブ予選に向けて順調であった。

1年生の多くが何かしら音楽であったり、ダンスであったりの経験者であり、1年生といえどクオリティも高く期待のできるものであった。

そんな中で音乃木坂に残った元μ'sの6人は、新しいユニットとして6人で活動をしていくと決めたばかりであったが、大きな決断を迫られる事態になっていた。

今日、高坂家には久し振りにμ'sの9人が集合していた。

大きな決断...それはつい先日、理事長より伝えられたこと。

μ'sのラブライブアキバドーム大会へのゲスト参加の依頼...
つまりは終わりと決めたはずのμ'sの復活について、早急に9人で話し合う場が必要となり、必然的にというか、いつも通り穂乃果の家に集合となったのである。

穂乃果の家が経営する穂むらは、この土地で古くから続く和菓子屋であり操業も80年近くになる伝統ある老舗である。

いつの日からかは定かでないが、穂乃果の家は音乃木坂からも近く、美味しい和菓子がたくさん出るという理由でμ'sの打ち合わせは穂乃果の家で行われるようになったのだ。

そんな高坂家の今からはにぎやかな声が聞こえてくる。

「何このメロンパン...美味しすぎるんだけど!」

お茶を啜りながらメロンパンを頬張る穂乃果。

パンが大好物の穂乃果は世話いなくパンを食べ続けているが、そこにことりが言った。

「でしょー、このメロンパンすごい有名で大人気らしいよ。いつもお店は行列ができるんだって。お母さんが買ってきてくれたの」

穂乃果の隣に座っている絵里は団子を食べている。

「穂乃果の家のこのお団子、とても美味しいわね。」

「それ、新作なんだって。たくさんあるからいっぱい食べていいよ」

更にその絵里の隣には凜が座って、ケーキを食べている。

「真姫ちゃんが持ってきてくれたこのタルトケーキ、すんごいおいしいにゃ。うまうまにゃー」

「これね、ママに頼んで買ってきてもらったの。銀座の有名なお店のタルトよ。美味しいでしょ」

そう答えた真姫の隣、一番端に座っている花陽は一心不乱に何かを食べている。

未知なる謎の白い物体を食べる花陽を見て希が尋ねる。

「花陽ちゃんは...何食べとるん...?」

その言葉を聞いた花陽の表情は嬉しそうに輝きを放つ。

「よくぞ聞いてくれました希ちゃん。これはですね、つい先日オープンした御徒町にある話題の白米専門スイーツのお店で買ってきた白米プリンに白米ケーキ、そして白米スムージーなのですっ!」

白米を心から愛する花陽が喜々として語る。

「他にも白米アイスや白米をつかった様々なスイーツが各種取り扱っており、日本1号店として今話題沸騰中なのですっ!」

あえて誰も花陽に振らなかったのに、余計なことを 尋ねてしまったと思う希は訝しみながらも更に尋ねる。

「ふーん...それ、美味しいの...?」

「希ちゃんも食べてみる?」

花陽はスプーンで白米プリンを掬って希の口元へ差し出すが...
希にはそれが謎の物体、強いて言えばおかゆが固まったものにしか見えなかった。

「いや、遠慮しとくよ。花陽ちゃんの白米を取っちゃったら申し訳ないやんか。気持ちだけもらっとくね」

全然美味しそうに見えない希は大人の対応で回避していた。

それはそうと、もうすっかり打ち合わせも終えて、結論も出たから皆で楽しくお茶をしているのだろう、と思いきや、この9人はまだ打ち合わせを始めてすらいなかった。

高坂家に集まるや、それぞれが持ち寄ったお菓子やパン、ケーキに加え高坂家の和菓子(花陽の白米スイーツには誰も手を出さない)により、ただの女子会の様相を呈していた。

仲の良い9人であり、ましてや9人が全員集合するのは1か月ぶりという理由もあるのだろう、どうしても楽しくなって本題とは関係ないお喋りが進んでしまうのも無理はない。

「それにしてもこうして9人が集まるのも久しぶりだねぇ。もう1か月だもん。時がたつのは早いよねぇ」

そう言ったのは穂乃果だ。

しみじみとした口調に対して海未がつぶやく。

「穂乃果はおばあちゃんみたいですね。」

「海未ちゃん、私まだ17歳なんだけど...」

そんなやり取りを皆が楽しそうに見て笑っている。

いつもの日常。 そう、これがμ'sの日常の光景であった。

1か月前までは当たり前だった9人でも日常の光景を見ると、自然とうれしくなるのだった。

高坂家に集まってすでに2時間近くが過ぎようとしている。

本当に打ち合わせをする気があるのだろうかという所で、ようやく花陽が口を開く。

部長なだけあった、以前よりもだいぶ責任感もましたのであろう。

「はい、みんなお喋りはこのへんにしておいて、そろそろ本題にはいろうか」

続く

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