その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-008 陽の射す場所で①(49)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-008 陽の射す場所で①(49)

音乃木坂図書室 司書

ー 5月.ゴールデンウィーク ー

西木野真姫、彼女は一体何者なのか...

国立音乃木坂学院に通う2年生で、μ'sのメンバーとしてすべての楽曲に製作を手がけている。

歌唱力も抜群であり、踊りに関しても卓越したセンスを持ち合わせている。

幼少の頃からピアノを習っており、その作曲センスは類い稀なもので、更には常に学年1位の成績を収めており、すべての面において非凡な才能を見せている。

実家は曾祖父の代から続く医者の家系であり、父は西木野総合病院を経営し、真姫自身も将来は医者になるべく、日頃から勉学に取り組んでいる。

つまり、真姫はお嬢様なのだ。 そして西木野家はお金持ちであった。

という事で、ゴールデンウィークに予定された合宿は当然の事のように、西木野家の提供により、行われることになった。

過去に何回か西木野家の別荘にて合宿を行っていたμ'sだが、今回の別荘も前回とは違う場所であり、お金持ちとはいえ、一体西木野家は何件の別荘を持っているのであろうか...という皆の疑問はさて置き、都心より電車で役3時間半。

海と山に囲まれた伊豆半島の南東部、とても美しい景色で、素晴らしいこの場所で、今日より1週間、μ'sとBiBiの合宿が行われる。

「着いたにゃー、最っ高に気持ちがいいにゃー!」 別荘の最寄り駅に到着した9人。

電車から真っ先に飛び出し、体を大きく反らすようにジャンプしながら大声で叫んだのは凛である。

心地よい晴天が広がり、目の前に広がる美しい海と山の景色に、何かから解放されたように、必然とテンションが上がっていた。

凛に続いて、ホームに降りたのは真姫と花陽の2人だ。

「うーん、いい天気だねぇ。ぽかぽかでお昼寝したくなっちゃうなぁ」

思い切り伸びをした花陽は真姫の方に凭れるように寄り添っている。

「何言ってるの花陽。あなたたち2人は電車でずっと爆睡だったじゃないの。」

真姫の言った2人とは穂乃果と花陽の事である。

この2人は電車に乗るや、すぐにお弁当とお菓子を食べたかと思いきや、その後はずっと到着まで寝ていたのだ。

まるで遠足に来た子供のようである。

「ちょっと待ってください!」 全員が駅のホームへと降りた時であった。

何かを思い出したように大きな声を上げた海未は、一人ずつ確認するかのように人数を数え始めた。

「ふぅ、よかった、今回はちゃんと9人いますね。前回の合宿の時には穂乃果を電車に置き忘れてしまいましたからね」

懐かしい記憶に穂乃果以外の全員が声を上げて笑う。

「もー、海未ちゃんてばー!そんな昔の事思い出さないでよ。私は忘れ物じゃないよぅ」

”プンプン”と聞こえるかのように頬をふくらます穂乃果。

「何を言っているのです穂乃果!あの時あなたのせいで、みんなにどれだけ迷惑かかったと思っているのですか!穂乃果が寝過ごしたせいで1時間以上無駄にしたのですよ」

怒る海未。 だがそれも仕方ない。

前回の合宿を行った時、穂乃果は下車する駅を寝過ごしたのだが、それに気づいたメンバーが何回も電話をかけたものの、結局終点の駅まで寝ていたのだ。

それから穂乃果が目的地の駅に合流したのは1時間以上も後の事である。

「うっ...それは...ごめん...」

言葉を詰まらせる穂乃果に、火がついてしまった海未が更に続ける。

「それにニューヨークに行った時もそうですよ!タクシー乗ったらみんなと違う場所に行ってしまったり、地下鉄で穂乃果がはぐれて行方不明になったり...あの時どれだけ心配したと思っているのですか!」

海未の説教は止まらない。

「まぁまぁ海未ちゃん、もう昔の事やんか。今回はちゃんと穂乃果ちゃんもあるし、もうええんちゃう?」

「それは...はい、希の言う通りですね」 海未は心配なだけなのだ。

知らない土地で友人が行方不明になったり、はぐれてしまう事に対して、必要以上に敏感になってしまったのである。

それもこれも穂乃果のせいではあるのだが... そんな3人を余所に、年長組の2人が悠然とした態度で言う。

「ふぅ、やっと着いたわね」 にこである。

絵里がそれに続く。 「そうね、太陽が眩しいわね」

「あんた達ってば本当に子供よねぇ。こんな場所に来てまでギャーギャー騒いでみっともない。少しは私を見習って大人っぽく振るまえないのかしらね?」

到着してそうそうに騒いでいる後輩たちに対して大人ぶるにこである。

その佇まいはまるで超有名人かのようである。

さすがは宇宙№1アイドルを自称するにこである。

「フフッ、まぁいいじゃないのにこ。私たちは違った楽しみ方をすればいいだけよ。それにしても、まだ5月になったばかりだというのに暑いわね...」

サングラスをして、太陽を見つめる絵里。

「そうね。全く、子供のお世話も大変よね。たしかに暑いわね...でもそれはつまり、太陽も私たちをそれだけ歓迎してるってわけね!」

帽子をとって額を拭うにこ。

そんな会話のやり取りを見ていたことりは希にボソッと呟いた。

「ねぇ希ちゃん...絵里ちゃんて最近、何だからにこちゃんぽくなってきてるよね...?」

にこと絵里の2人はこんな場所(ほとんど人がいない駅)でも変装を怠らない。

絵里は帽子にサングラス、にこに至ってはマスクまでしている徹底ぶりだ。

「ことりちゃんもそう思う?うちもそう思ってたんよねぇ...以前のえりちやったらありえなかったのに、今ではえりちがにこっちウィルスにどんどん侵食されていっとるよね...」

希は苦笑しながら言った。

サングラスと帽子で変装というのは、知名度を考えれば地元アキバでは十分に理解できる。

しかし近頃の絵里は場所を選ばずに変装をしているのだ。

明らかににこの影響だろう。

それは希とことりだけでなく、他のメンバーも薄々と感じていた。

続く

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