その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-009 眩しいくらいに④(60)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-009 眩しいくらいに④(60)

音乃木坂図書室 司書

BiBiの物販を後にした5人。

だがその後、花陽はA-RISEの物販にも行き、グッズを購入していた。

「ちょっとかよちん、グッズ買いすぎじゃない?」そんな花陽を見て凛がたずねる。

花陽は幸せそうな笑みを浮かべて答える。

「へへ、全財産使っちゃった。BiBiグッズにA-RISEのツアーTシャツにタオルマフラーに他いろいろ!」

「すごいね…でもそんなに荷物たくさんで大丈夫にゃー? 」

「うん大丈夫。会場内にコインロッカーもあるからね」

慣れている感が半端ない花陽である。だがそれもそうだ。

花陽はもともとA-RISEの大ファンであり、中学生の頃からA-RISEに限らず、アイドルのライブへたびたび足を運んでいるのだ。

そのためライブ会場については誰よりも詳しかった。

そこへ海未が希みについて語りだす。

「それにしても希はすごいですね。こんな短期間でグッズの用意をして、物販の売り子の手伝いもしながらも、μ'sの希みとしてサインや写真にも応じてて…まさにプロの鏡ですね」

皆がうなずくが穂乃果だけは首をかしげながら言う。

「ねぇ海未ちゃん何言ってるの!希ちゃんはプロじゃないよ」一瞬固まる海未。

「いや…それはそうですが…たとえですよ、希はすごいですねってことです」

「よくわかんないけど、うん、希ちゃんはすごいよね!」

わかってはいたけれど…小さい頃からの長い付き合いで理解してるけど…海未は改めて穂乃果には単純に言わないとだめだなと思っていた。

他のメンバーも然りである。

それはさておき、一般入場開始から既に数10分。

周囲の人がまだらとなってきたところでことりが言う。

「ねぇみんな、私たちもそろそろ会場に入ろうよ」

ことりに促されるように5人は入場口へと向かう。

一般入場口の少し離れた場所に、関係者入口は用意されており受付を済ませて会場入りする5人。

入るとすぐにお祝いの花が飾られており、様々な業界の人から届いている。

その中の1つにラブライブ 運営本部からもあり、今日のA-RISEファーストライブツアーの注目の高さが改めてうかがえるものであろう。

会場入りした5人の視界には、お祝いの花とともによく見知った人物を捉えていた楽しそうにおしゃべりをする2人の人物、それはことりと真姫のママであった。

本人に気づいた真姫のママが近づいてきて声をかける。

「皆さんこんにちは。今日は私も真姫ちゃんのライブを見にきたの。南さんと一緒にね。今日は楽しみましょうね」

日ごろから西木野家にはお世話になっていているμ'sのメンバーである。

もちろん真姫のママとも十分に面識があるのだ。

ことりのママに関しては言わずもがなであろう。

ちなみにことりのママと真姫のママがなぜ一緒にいるかと言うと、実はこの2人は音乃木坂学院の卒業生であり、同級生であるため仲が良いのである。

「穂乃果ちゃん!海未ちゃん!」そう言ってことりのママは手を振っている。

そんなことりママに2人は手を振って笑顔で返しているが、ことりは恥ずかしそうである。

「もう…お母さんてば…恥ずかしいからやめてよ…」それを見ていて花陽が言う。

「なんだかいつもと雰囲気が全然違うね理事長」凛も言う。

「そうだね。理事長じゃなくて、楽しそうな若奥様って感じね」

南理事長、今日は完全にオフであり、母の姿であった。

普段学校では穂乃果と海未を高坂さん園田さんと呼んでいるが、この2人はことりが小学校に入る前からの友人で、小さい頃から知っているので、プライベートでは今でも穂乃果ちゃん、海未ちゃんと呼んでいるのであった。

そんな理事長の姿を花陽も凛も知らなかったので違和感を覚えてしまうのも無理は無い。

会場ではバー形式でドリンク販売を行っており(もちろんアルコールも販売している)、2人のママはドリンク片手にとても楽しそうであった。

しばしママ達と話をした後、5人はコインロッカーに荷物を預け、ライブのホールへと向かう。

もうまもなくライブが始まろうとしている会場は、ライブを待ちわびる人の熱気で満ちていた。

今日の会場はライブハウスとしては規模は大きく、1階ホールはスタンディングのみ、2階に少しある椅子の席も含めると、かなり多くの人が会場に既に集まっている。

こういうライブハウス形式の箱(会場)の最大の特徴はステージと客席の近さであろう。

ライブの迫力を間近で体感できるのも魅力であり、大きな会場と違って音の分散がなく、ダイレクトに帰ってくるので臨場感も凄いのだ。

ちなみに関係者として入場している5人はスタッフパスがあるので、控え室にも行けるのだが、あえてライブ前にBiBiの3人の元へ行くのはやめたのである。

あの3人に限っては大丈夫だろうけど、ライブ前に余計なプレッシャーをかけないようにと計らった5人であった。

一方控え室でライブ目前のBiBiの3人。

黒一色のスーツにハットのかっこいい衣装を身にまとい待機している。

3人とも全然緊張は見て取れない。

むしろライブが待ち遠しくて仕方がないといった表情である。

立場上はA-RISEの前座であるが、3人にそのつもりは毛頭ない様子だ。

「いい2人とも!いよいよ始まるわよ。心の準備はいい?」にこが真姫と絵里に声をかける。

それに対しすぐに真姫が反応する。

「当然でしょ、今日と言う日を待ちわびていたわよ」

「前座のつもりなんてないわよ。A-RISEに負けない位のパフォーマンスを見せるんだから!」絵里も言った。

「… 2人とも気合十分ってわけね」3人とも気持ちが入っておりコンディションも含めて準備は十全である。

そしていよいよ3人に声がかかる。

“BiBiの皆さん、本番よろしくお願いします“と。 それを受けて3人は立ち上がる。

「行くわよ、絵里!真姫!」にこの掛け声に合わせて、3人は肩を組む。

「BiBi、行くぞー!」3人は同時に声を揃えていった。

そしてステージ裏へと向かう。ライブ会場はすでに大盛り上がりである。

ライブが始まるのを今か今かと待ちわびている。

今日はA-RISEのファーストライブツアー初日であり、ゲストとして元μ's3人によるユニット、BiBiのライブが行われるのだ。

会場の全員が期待を胸にライブが始まるのを待っていた。

高鳴る鼓動を抑え切れないと言わんばかりのBiBiの3人。

μ's活動終了からわずか1ヵ月余り、絢瀬絵里、矢沢にこ、西木野真姫の3人で結成されたユニットBiBi。

そのベールが今解き放たれる。ついにBiBiの初ライブの幕開けである。

続く

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