その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-012須臾の梅雨の中で⑧ (83)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-012須臾の梅雨の中で⑧ (83)

音乃木坂図書室 司書

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-012須臾の梅雨の中で⑧ (83)
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ラブライブ! 2nd Season

ラブライブ! 2nd Season Blu-Rayより

第3回ラブライブ関東地区二次予選の、結果発表があったその日の練習後のこと。

音乃木坂での練習を少し早めに切り上げて急いで家に戻る真姫。

この日は18時半ごろから2時間程度、BiBiの練習を真姫の家にて予定していたのである。

普段BiBiの練習は休日であれば絵里の大学敷地内を利用し、必要な時は平日に真姫の家で行っている。

BiBiとして活動を始めて2ヶ月近くが経ち、A– RISEのライブにて初ライブを行って以降も精力的に活動をしていた。

スケジュールは主ににこが担当しており、その後も小さなイベント等のオファーは多数あり、ショッピングモールやアイドルショップでのイベント等と週末にBiBiの予定が入っていることが多いのだ。

つい先日には小さな箱であるが、アキバにて初となる単独ライブも行ったばかりである。

A– RISEのライブ出演後、BiBiの知名度は一気に上がり、インディーズアイドルとして今最も勢いがあり人気があるのがBiBiなのである。

そんなBiBiの3人は、週末に控えた音乃木坂の学園ライブに向けて最終調整をしていた。

「ねぇ、曲どうするの? キューパンとサイキックとあと1曲は?」

真姫が絵里とにこに問う。

最終調整であるが、学園祭に向けて集まったのはこの日が初めてである。

基本的には今ある持ち曲の中からどうするかを決める打ち合わせであった。

「ダイプリかラブノベでいいんじゃない?」 にこが言った。

BiBiとしてすでに10曲ほど、持ち曲があるが、中でも盛り上がるのが真姫が口にした曲である。

「うん、もう時間もないし、そのどちらかでいいんじゃない?その2曲であれば問題ないし、後は当日現地で決めて離反で確認すればオーケーでしょ」

絵里が言った。

にこもうなずき真姫は言う。

「まぁそれもそうね、じゃぁ当日決めましょ」

「じゃあ決まりね。でも音乃木坂の学園祭ライブは何が何か起こるかもね」

絵里の言葉ににこが反応する。

「え?それどういうことよ絵里」

耳聡いにこに続き真姫も言う。

「確かに、何か起きるってどういう意味よ」

「えっとそれは…当日のお楽しみね…」

「何を、気になるわね…教えなさいよ絵里!」

にこの言葉に絵里はごまかすように言う。

「ほほらっ、穂乃果たちのユニットの事よ。Printempsはまだ私たち以外知らないじゃない。お客さんからしたらサプライズってことよ。それにμ‘sicforeverも初ライブだし楽しみばかりでしょ」

「あぁなるほど、そういうことか。うん楽しみよねー」

にこは納得したと言うようにうなずいていたが真姫は怪しいと思っていた。

「Printempsは反則よね。だってことりと花陽だよ。あんなに声の可愛い2人が一緒だなんてチートみたいなものよね。真姫はPrintempsの楽曲って聞いてないの?」

にこが真姫に尋ねた。

絵里はにこが話を逸してくれた良かったと思っていた。

実はライブでサプライズを考えていたのだ。

それを当日まで秘密にしておきたかったのである。

「Printempsは学校で練習してないから、私もまだ聞いたことないんだよね。確かに絵里の言う通りライブは楽しみだね」

「そっかー。ところで最近Printempsの影響もあってか、ことりと花陽が今まで以上に仲がいいらしいじゃないの。凛から聞いたわよ」

にこは真姫としばし会話を続ける。

「あぁそうねぇ。そうなのよ。花陽ってかなりのアニメ好きだったみたいでさぁ、それでことりも結構好きらしくて一気に意気投合しちゃったみたい」

「ふーん、そっかあぁ。なんでだろうね、アニメ好きな人ってあまり周りに言いたがらない人が多いよね。私もアニメは好きな方なんだけど、知ってる人少ないし」

「えー、そうなの?ニコちゃんそれは初耳だよ。アニメってさぁ、少しオタクって言うイメージが強いからじゃない?私に言わせれば、趣味なんだし、そんなの気にしないで好きなら堂々としていればいいと思うけど」

「それは真姫の言う通りよね」

「ただね…最近よく2人で私たちの会話の中に、アニメのものまねらしいものを取り入れたりしてくるんだけど、全然意味わかんないのよね…」

確かに真姫と海未の2人は、理解できずにポカーンとしていることが多かった。

「完全に2人だけの世界って感じなのかな、多分私ならわかるだろうけど」

「別世界だよ。花陽はアイドルとアニメと白米の話となると別人になるし」

と言う話を続ける2人に対し、絵里が口を挟んだ。

「ねぇねぇ、私もアニメたまに見てるよ」

にこと真姫はその言葉に意外そうな表情を見せる。にこが言う。

「絵里がアニメとか意外ね。てっきりチョコレート以外興味ないと思ってたけど」

「にこ…そんなわけないでしょ。チョコは大好きだけど」

「あら、そう?絵里は最近何か見たの?」

「えっとね、あれよあれ…あぁだって何だっけ…大きい虫みたいのがわっさわっさ出てくる…丘の上のなう…だって言…?」

「えっと…絵里の言葉から察するに、それはもしかして風の谷のナウシカのことかしら…?」 

問題を回答するかのようなにこに、絵里は笑顔を見せる。

「そうそう、正解よにこ!それよ。意味はよくわからなかったけど面白かったわ」

「てゆうかにこちゃんよくそれでわかったねー…丘の上のなうってイミワカンナイ…絵里、めちゃくちゃね…」

しかも意味わからないけど面白いとか全然イミワカンナイと思う真姫である。

さらに絵里は続ける。

「あと、あれよ。えーっとね…かわいいやつ…隣のとろ…?」 

「おしい!それだとお寿司屋さんで、私は赤身を注文したのに、隣の真姫は空気読まずにトロを頼んだみたいじゃないの」

「あぁ、そうだトトロだ。亜里沙と見たの」

「真姫、あんた詳しいんじゃないのよ」

「私アニメは全然見ないけど、ジブリは好きなんだ」

「あとあれも見たよ。えーっと… 1人ぐらしのアリエッティ!」

「おいしい!絶妙におしいわね。それじゃあ都会に上京してきたただの一人暮らしの女の子ね」

「だからにこちゃん、そのツッコミ…それは借りぐらしのアリエッティよ。ねぇ絵里あなたわざと間違えてるでしょ…」

「そんなことないよ。日本の映画のタイトルってややこしくて難しいよね」

「いやぁー、別に…」

にこと真姫は声を揃えて言った。

そこに真姫が絵里に尋ねる。

「亜里沙は?私、たまにあの子が言ってること、わからない時があるんだけど…」

「亜里沙は2年半ぐらいかなぁ」

ロシアでの生活が長かった綾瀬姉妹である。

日本語は問題なく理解し、しゃべれるのだが、どうしても文化の違いであったり、言葉の表現の仕方の違い等があるため、会話が成り立たないと言うことがたまに起きてしまうのだ。

特に亜里沙はその傾向が強いのである。

結局この日、絵里が思わず口にしてしまった、何か起きるかもと言うのは、うまいことを隠したままでいられた。

サプライズはばれてしまったらサプライズでも何でもない。

後は学園祭ライブを見てみるしかない。

3人は軽く振り付けと動きの確認と打ち合わせを終えると、西木野家によるディナーが待っていた。

いつも西木野家で練習するときには、真姫の母がシェフにディナーを用意させるのである。

すっかり今では家族を含めて仲良くなっているが、ほんの1年ちょっと前の真姫からは考えられないことであった。

花陽が落とした生徒手帳を届けに、初めて真姫の家を訪れた時、真姫の母が言った言葉はまきちゃんの友達が来るなんて久しぶりね…と言うものだった。

母から見ても、自分の娘が変わったと思えるほど、今の真姫は日々充実しているのだ。

それだけ真姫を始め、皆にとってμ‘sと言うものが大きな存在だった事は言うまでもない。

皆がμ‘sを通して大きく成長した。

μ‘sがあったから大きく変わった。

μ‘sがあったから今があるのである。

続く

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