音乃木坂図書室 司書
[13:40~タイムテーブル3組目]
続いて登場したのはAphrodite=Venusである。
一年生ユニットの彼女たちは5人組で、第3回ラブライブ関東地区予選で2次まで進出していた。
一年生ながら2次まで進んだその実力はかなりのものであろう。
だがやはり彼女たちも緊張を隠せないでいた。
トップバッターではなかった分、多少は良かったのかもしれないが、逆にPrintempsとBiBiの間での出演と言うのが無言のプレッシャーになっていたのだろうか。
本来の出来とは言い難いパフォーマンスであった。
MCも行っていたが、慣れないためか、途中で言葉を詰まらせたりと、うまくできないで終わってしまった。
結局彼女たちも2曲を披露してライブを終えた。
だが会場からは温かい歓声と拍手が起こっていた。
決して満足のいく内容ではなかっただろう。
それでも彼女たちは、音乃木坂のスクールアイドルとして活動してきて二次予選まで進んだ。
これからの活躍に誰もが期待するものだろう。
そして次はいよいよBiBiの出番である。
会場は今日1番と言っていいほどの歓声と熱気であった。
それもそのはずなんといってもBiBiは、今最も人気と勢いのあるインディーズアイドルであり、そのBiBiに今日はさらに大人気プロアイドルのA-RISE、ツバサとあんじゅのコラボによるライブなのである。
ステージ裏では軽い打ち合わせを済ませ、談笑をする5人の姿があった。
リハーサルも練習も一切していない今回のコラボであるが、何も気にすることなく余裕を見せる5人。
さすがは多くのライブを経験しているだけの事はある。そしてついに彼女たちのライブがスタートした。
[14:00~タイムテーブル4組目]
BiBi with ツバサ&あんじゅfrom A-RISEのよるライブは始まる前から大歓声である。
ステージの幕が上がると同時にBiBiのライブのオープニングテーマとなったCutie Pantherが流れる。
まずステージに登場したのは絵里とツバサだった。
その瞬間会場は割れんばかりの歓声に包まれる。
怪しさを漂わせるイントロに合わせて、絵里とツバサが絡み合うかのような振り付けを見せる。
ほぼアドリブであるが、まるでいつもやっているかのようであった。
そしてにこと真姫、あんじゅもステージに現れる。
ツバサのイントロから絵里のパートへとつながり、5人による豪華なCutie Pantherが展開される。
観客からすれば夢のようなコラボであろう。
高校の学園祭であるが、お金をとってもいい位のレベルである。
見ている人を興奮の渦に巻き込んでいく、BiBiとA-RISEの圧巻のパフォーマンスであった。
「いぇーい、BiBiでーす!」
オープニング曲のCutie Pantherを終え、MCに入るや開口一番に大声で叫ぶのはにこだ。
会場はすごい熱気と歓声であるが、さらににこは会場を煽る。
「ねぇねぇみんな!今日はスペシャルなゲストが来てくれてるんだけど、紹介してもいいかな?」
その言葉に会場からは大歓声とツバサとあんじゅの名を叫ぶ声が上がる。
「今日のゲストは、秋葉が生んだ伝説のアイドル宇宙№1スーパーアイドルである世界の...」とにこが言いかけたところで絵里が割って入る。
「ようこそ音乃木祭へ!ツバサ&あんじゅfromA-RISE!」
その声に大歓声が沸き起こり2人は声援に応えるように手を振る。
もちろんにこは黙っていない。
「えり、割り込んでんじゃないわよ!私の紹介の途中でしょうが!」
「はいはい、そーねにこちゃん」と言うのは真姫だ。
「ぐぬぬ…何よそのバカにした言い方は!」
「バカにしてないよ。見下してるだけ」
「きぃぃぃー、生意気な小娘ね!」
「そうですね。ところで今日、A-RISEの2人は私のために来てくれたのよ」すかさずにこがオーバーリアクションで反応する。
「はぁー?何言ってんのよ、私のために決まってるでしょうが」
ライブ開始早々、BiBiMCの定番にこ真姫劇場のスタートである。
「にこちゃん寝不足?頭大丈夫?」
「はぁー!?何よ、あんたこそ頭大丈夫なの?」
「だからそれは私のセリフ。にこちゃんは今日もいつにも増して頭の中がお花畑ね」
「うるさいわよ!あんたでしょうが!」
「何言ってるの?イミワカンナイ!」
この2人による、通称にこ真姫劇場(ただの言い争い)はBiBiのライブMCにて大人気であり定番となっていた。
特に台本があったり練習することもなく、いつものノリで言い争うだけなのだが、それが面白いと好評であり、この日も2人の劇場に会場は湧いていた。
「まぁまぁ2人共落ち着いてよ。今日は絵里のために来たんだよ」
そう言ってツバサは絵里にハグをすると、さらに大歓声が上がる。
「あー、でもにこちゃんにはいつも感謝してるわよ。スクールアイドル時代からA-RISEに手紙とお花ありがとね」
ツバサの発言にギクッとするにこ。
そんなにこをジーッとにらみつけて真姫が言う。
「にこちゃん、それってどういうことよ...」」
「えっと...それは…えーっと..」
ごまかすように言葉を濁すにこだったが、あんじゅが全く空気を読まずに言い放つ。
「にこちゃんはμ'sやる前からずっとA-RISEのことを応援してくれてるの。μ'sが終わった今でもそうだし、私もにこちゃんに何通もファンレターもらったし」
にこがA-RISE好きだったのは周知の事実である。
だが手紙や花束、プレゼントを送るほどのコアなファンだということがあんじゅによってバラされてしまったにこは赤面していた。
「え…それって少し怖くない…?」
あんじゅの言葉に絵里が反応する。
同じく真姫も言う。
「下手すればストーカーみたいなものよね…?」
「ちなみに私は手作りケーキをにこちゃんにもらったことあるよ。普通においしかった」
ツバサが言った。「プレゼントのケーキ食べたの?ツバサ、勇気あるわね...」
「にこちゃん、怖っ...」
完全にストーカー扱いである。
「だぁぁー、うるさいわね!次の曲行くわよ、ほら次!」
大声で叫ぶにこに会場は大爆笑である。
だがこれぞBiBiのライブである。
続く