その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-019 僕たちはひとつの光①(141)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-019 僕たちはひとつの光①(141)

音乃木坂図書室 司書

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-019 僕たちはひとつの光①(141)
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ラブライブ! 2nd Season

ラブライブ! 2nd Season Blu-Rayより

7月31日、第3回ラブライブ決勝大会inアキバドーム。

今日はいよいよ初ドーム開催となったラブライブ決勝大会の日であり、そしてμ‘sファイナルライブの日である。

当然ながらメインはラブライブ決勝大会であるが、ゲスト出演にして、この日が最後のライブとなるμ‘sのライブを多くの人が楽しみにしていた。

この日も早朝から、夏の猛烈な日差しが降り注いでいるが、今日に向けてアキバの街はラブライブアキバドーム大会一色となり、その熱さで暑さが増長するかのような盛り上がりであった。

電気街のどこを歩いてもラブライブを、そしてゲストのA– RISEとμ‘sの姿を見ない日はないぐらいの賑わいを見せていた。

早朝にもかかわらず、街は活気に満ちていて、始発でアキバに来る人や前日組も多数おり、日本の各地から今日この日のライブのために多くの人が集結していたのだ。

そんな今日、μ‘sの9人はと言うと…前日に音乃木坂で宿泊をした9人。

日が昇り、小鳥のさえずりとともに目を覚ました穂乃果は、1人静かに起き上がり部室を出ると、そのまま屋上へと足を運んでいた。

前日の夜にみんなで来た時とは打って変わって、いつも通りの見慣れた屋上の景色である。

背伸びをして屈伸をし、体を動かす穂乃果。

そしてそのまま踊りだす。

Μ‘sを始めた頃は踊りも下手で、ターンすらままならなかったが、今はもうどのアイドルと比べても見劣りすることのない、キレのある踊りである。

大好きなことを、それだけ全力でやってきたと言う証拠だろう。

ひとしきり踊ったところで、”ふう”と一息つき汗をぬぐう。

この先もこの屋上ではスクールアイドルとして、μ‘sicforeverとして毎日のように練習を行うだろう。

しかしμ‘sとして9人で練習する事はもう無い…そう思うと少し感傷的になってしまう穂乃果であったが、でもそれ以上に楽しかった思い出が多く、自然と顔は笑顔になっていた。

「よーし、μ‘sのラストやるぞ!」

大きな声でそう言って穂乃果は屋上を後にした。

そしてそのまま部室へと戻るが、8人はまだ寝ている。

穂乃果は戻るなりカーテンを全開にし、まぶしい日差しが部室を明るく照らす。

「おはよう!みんな起きろ、朝だよー!」

大きな声で皆をたたき起こす穂乃果。

まだ眠いのだろう、皆が唸るような声を漏らす。

ことりがタオルケットを頭までかぶって言う。

「ううぅ…眩しいよー…穂乃果ちゃんカーテン閉めて…」

「今何時よ…ってまだ5時じゃないの…なんでそんなに早起きなのよ…」

不満顔で真姫が言った。

穂乃果に起こされて、全員がしぶしぶと体を起こす。

「ほらみんなしゃきっとして!朝練して朝ごはん食べて準備だよ。今日はラブライブμ‘sファイナルライブだよ!」

朝からテンションが最高潮の穂乃果だった。

思えば合宿の時はなぜかいつも早起きなのだ。

今日は合宿でも何でもないが、ライブを前にして、それだけで気分が高まっているのだろう。

「えっ…?朝練って何…?」

そう尋ねるのは花陽である。寝起きのためメガネ姿である。

「それは朝に練習することだよ花陽ちゃん!」

返ってきた言葉は全く説明になっていなかった。

いやそういうことじゃなくて…とは言い返したい花陽だったが、言っても無駄なのは火を見るより明らかであった。

すでに穂乃果は練習着なのだ。

花陽を始め、全員が不承不承起き上がり、準備をしていた。

そしてそのまま学校の校庭でランニングを行った後、9人は神田明神へ行き、男坂でのトレーニングを行っていた。

練習を終え、境内のベンチに座って休憩している時、真姫が言った。

「なんで前日をオフにしておいて、当日の朝に普段通りの朝練してるのよ…イミワカンナイ…」

真姫は先ほど花陽が言いたかったことを言った。

花陽はプランを考えたときに、ライブ本番に疲れを残さぬようにと、前日をオフにしていたのだ。

にもかかわらず、当日に朝練をがっつりやっていたら、真姫の言う通り本末転倒である。

そこへ諭すように希が言う。

「まぁええんちゃう?穂乃果ちゃんらしいと言えばらしいし、それにほら、真夏の早朝って、とても心地よいし」

「そうですね。せっかくですし、戻ったら筋トレ、体感、ストレッチをして振り付けの確認をしましょうか!」と言うのは海未である。

その言葉には、希を始め穂乃果以外の全員が、せっかくの意味がわからないと思ったのは言うまでもなかった。

結局ライブ当日でも、合宿の朝練と同じ位のメニューをこなした9人だった。

しかしあまり乗り気でなかったメンバーも、練習をしているうちに、普通に楽しくなっていた。

何しろμ‘sの9人として練習するのは、これが本当に最後なのだから…

朝から音乃木坂の屋上には、楽しそうに練習をする9人の姿があった。

そしてしばらくして練習を終える。

「暑い…朝から汗びしょびしょにゃ」凛が言った。

この日も真夏の日差しで、早い時間から30度を超える暑さであり、全員が汗だくであった。

「それじゃあ、シャワーして朝ごはんにしようか」

ことりの言葉に全員がうなずく。

時刻はもうまもなく8時になろうとしている。

早朝の5時より穂乃果に起こされて、なんだかんだ言いつつも3時間近くも練習をしていた9人。

振りの確認ではリハ―サルを行うかのように真剣に取り組み、ライブに向けて準備は万全である。

後はライブで本番を待つのみ。

9人は合宿所のシャワールームへと向かう。

穂乃果は前を歩く8人の姿を見て、涙が出そうな位嬉しい気分だった。

音乃木坂を救いたいと言う理由で始めたスクールアイドル、そしてμ‘s。

そんな自分の思いに共感してくれて、ずっと一緒に活動してきた素晴らしい仲間たち。

彼女たちの背中はとても頼もしくて、そんな皆と今日と言う日を迎えられたことが、本当に心から嬉しかったのである。

こうしてライブ当日の朝が過ぎていった。

そして9人はアキバドームへと、μ‘s最後の舞台へと向かっていった。

続く

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