音乃木坂図書室 司書
数時間後…第3回ラブライブアキバドーム大会は無事に終了した。
初のドーム大会となった今大会は大成功で幕を閉じた。
笑いあり、涙ありと誰もが楽しめて感動した大会であったに違いない。
プロアイドルA– RISEによるゲストライブ、地区予選を勝ち抜いた全32ユニットによるレベルの高いライブ、そしてゲストμ‘sのファイナルライブ…きっと今大会はずっと語り継がれていくような大会になった事は言うまでもない。
ラブライブにA– RISEとμ‘sが出る事は無い。
だがこの先も、多くのスクールアイドルによってラブライブはより大きく発展していくだろう。
今大会を制した名古屋国際女子大学附属高校のNeo Universeは前大会からクオリティーの高いパフォーマンスを見せていて、その実力を今大会で証明してみせた。
そのNeo Universeに次いで2位だった札幌六花学園のWhite Fether’sもそのポテンシャルの高さは間違いなく次大会でも上位に来るだろう。
そして3位だったUTX高校のA– RISEの後輩Cestlaviも優勝候補だろう。
それ以外にも人気実力のあるスクールアイドルは多数いる。
さらにはRay-OGといった若いスクールアイドルの台頭もあるだろう。
そして何より、次大会はμ‘sの思いを受け継ぐμ‘sicforeverも参戦する。
次大会以降も本大会をしのぐハイレベルな戦いは必死である。
大会を終えたアキバドーム。
客席にはもう誰もいない。
大会に出場していたスクールアイドルも既に帰路についていた。
静かなアキバドームには、撤収作業をする音しかしなかった。
だがそんな中でμ‘sとA– RISEのメンバーだけは、まだ帰らずに会場にいた。
撤収作業が進められる中、12人はステージの縁に座り、足をぶらぶらさせながら話をしていた。
「終わっちゃったねー」そう言ったのはツバサである。
横に座っている穂乃果につぶやくように言った。
「うん…ラブライブとっても楽しかったです」
「そうだね。でも私が言いたかったのはμ‘sがってこと。
μ'sは本当にこれで終わっちゃったんだね」
ツバサは少し寂しそうに行った。
ツバサにとってμ‘sは特別であり、そしてそれと同時に大好きだったのである。
「それは…すいません…」申し訳なさそうに行った穂乃果に、ツバサは笑顔で言う。
「ごめんね、そんなつもりじゃなくて…私で、初めてμ‘sの皆を見たときに、この子たちすごいなと思ったの。
それこそ一目惚れみたいな感じでね。そして前にも言ったけど、この子たちには負けたくないと思った。
それとともにいつかμ‘sと一緒に同じ舞台に立ちたいと思った。それだけあなたたちの存在は私たちにも大きかったのよ。
μ‘sの存在があったからこそ、A– RISEもさらに成長できたの。
私はμ‘sが大好きスクールアイドルだからA– RISEだからってのは抜きにして、私は1番としてμ‘sが大好きなんだ。
だから終わってしまうのは本当に残念だけど、それ以上あなたたちと同じ時代にスクールアイドルとして共に活動できて本当によかったよ。
ありがとね。そして今までお疲れ様」
「ツバサさん…」
ツバサの言葉に穂乃果の目元に光るものが見える。
μ'sにとってA– RISEは憧れに近い存在だった。
そんなA– RISEのツバサからの言葉が穂乃果には嬉しかったのである。
「ツバサさん…それは私たちも同じです。A– RISEと言う憧れの存在がいたから…強力な目標があったから私たちもここまで来れたんです」
穂乃果の言葉に絵里も続く。
「そうよツバサ。初めてUTXであなたに会ったとき、テレビで見ていたA– RISEを目の前にして、私は絶対負けたくないと思った。A– RISEがいたから私たちは今こうしてここにいるのよ」
「うん、あの時絵里は私を睨んでるような気がしたもん」
「笑…そんなことないわよツバサ…」
「ふふふ…それはいいとして、私たちA– RISEとμ‘sはお互いにとってなくてはならない存在だったんだろうね」
ツバサがそう言うと穂乃果は立ち上がった。
それを見てμ‘sのメンバー全員が立ち上がり、A–RISEの3人を見つめる。
「A– RISEの皆さん、今日までありがとうございました!」
穂乃果がそう言って礼をすると、8人も声を揃えて“ありがとうございました“と言って礼をした。
μ'sの9人はA– RISEに感謝の言葉を述べた。
μ'sとA– RISE…この3つのユニットは今後ラブライブの歴史においてずっと語り継がれていくだろう。
A– RISEはスクールアイドル後もプロアイドルとして活躍し、さらなる輝きを放った。
一方でμ‘sは限られた時間の中で精一杯輝こうとするスクールアイドルとして幕を閉じた。
互いに歩んだ道は違えど、μ‘sとA– RISEが残したものは、ずっと色あせることなく語られていくだろう。
僕たちは1つの光…それはμ‘sのことである。
何もないところからスタートしたμ‘s。
何もわからないような状態で始めたスクールアイドル。
すべてが手探りの中でのスタートだった。
でもやりたいと思ったから全力でやった。きついことも辛いこともたくさんあった。
くじけそうな時もあった。
でも絶対にあきらめなかった。
大好きなことを全力でやってきた。
その過程で素晴らしい仲間に恵まれた。
多くの人に支えられ、たくさんの人の優しさに触れた。
あきらめなかったからといって必ずしも夢や思いが叶うわけではない。
それでも大好きなことをあきらめなければ、絶対最後に笑顔になれる…それがμ‘sである。
μ'sはこれからスクールアイドルを始めようとしている人や、何かを新しく始めようとしている人たちの光なのだ。
μ'sは多くの人にとっての希望の光となったのである。
こうしてμ‘s 9人の物語はこの日をもって幕を閉じるだ。
だが彼女たちの残したものや思いは多くの人へと受け継がれてゆく。
2000 × ×年、7月30一日、第3回ラブライブアキバドーム大会μ‘sファイナルライブは大成功。そして… μ‘s終幕。
続く