その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-020心を重ねて② (151)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-020心を重ねて② (151)

音乃木坂図書室 司書

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-020心を重ねて② (151)
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ラブライブ! 2nd Season

ラブライブ! 2nd Season Blu-Rayより

翌日のこと。

前日に第3回ラブライブアキバドーム大会を終えた8月1日。

季節は夏真っ盛りであり、アキバは早朝から強烈な日差しが降り注いでいる。

この日μ'sの9人はみんなで出かけることになっており朝の8時にアキバの駅前に集合となっていた。

一足早く到着したのはにこである。

駅のロータリーの植木のところで皆を待っているにこ。

しかしその格好は明らかに怪しいの一言だった。

服装はいつものにこらしく可愛いのだが、毎度のごとく顔はもはや誰だかわからない。

ド派手な帽子をかぶり、巨大なサングラスをして、金髪のウィッグ、とどめに黒のマスクを装着している。

怪しい以外の何物でもない。

すれ違う人がみんなに後を振り返っていた。

(ふふふ…変装しているのに、みんな私のオーラに気づいているのね。人気者のスーパーアイドルは辛いわね)

心の中でそう思うにこ。

大きな思い込みである。

皆その怪しさに一瞬目を奪われるだけだった。

だがそんなにこに声をかける人がいた。

「あの…すみません…矢澤さんですか…?」

自分の正体がばれたと思い、うれしそうに振り返ったにこ。

そこには背が高く、モデルのような美しいスタイルで、へそ出しショートパンツ姿の女性が立っていた。

しかし、首から上はにこ動様、誰だかわからない有様である。

「はー…絵里じゃないのよ…何よその恰好は?」

「いや…矢澤さんも何があってそんな姿なんですか…?」

「うるさいわね、敬語やめなさいよ」

似たもの同士が秋葉駅前に2人立っていた。

周囲からはやはり好奇の目を向けられている。

そんな2人に少し遅れること、他のメンバーも集まってくる。

希、花陽、凛と続いて、その後にやってきたのは穂乃果、海未、ことりの3人だった。

いつものことだが海未だけは変装をしていない。

「オハヨウ、みんなお待たせ。今日も凄い暑いねー」

前日の夜が嘘のように、いつも通り元気な姿をした穂乃果である。

だが、きっと昨夜は家に帰ってから1人で涙を流したのだろう。

少し目元が腫れている。

でもこれだけ元気ならば大丈夫であろう。

1夜経って、すっかり気持ちが切り替わったかのような、この元気さと明るさがあれば。

「遅いわよ穂乃果。そうね、今日も暑いけど、やっぱり夏は最高よね!」と言ったのはにこである。

夏生まれのにこは夏が大好きなのだ。

同じく暑いのは嫌だけど、夏生まれで夏が好きな穂乃果が言う。

「えっと…矢澤さんで間違いないでしょうか…?」

μ'sメンバーはにこをいじる(軽く馬鹿にする)ときには喋り方が敬語になると言うのはセオリーであった。

「だ・か・ら!敬語はやめーい!」

にこは敬語で喋られるのが好きではない。

馬鹿にされてる感があるのとは別に、距離感が遠くなるような気がするので嫌なのだ。

さらに穂乃果は言う。

「え…絵里ちゃんもどうしたの…?まるで矢澤さんが2人いるみたいだけど...」

その瞬間絵里は鋭く反応した。

すぐに穂乃果に近づき見下ろすように穂乃果をにらみつけ、両手で穂乃果の両方をつねり、そして捻り上げた。

「い、いて…痛ててて…絵里ちゃん痛いって...」

「誰が矢澤ですって?もう一度言ってごらん穂乃果」

「痛い痛い…ギブ…ギブです、すいません…矢澤はにこちゃんだけです…絵里ちゃんは綾瀬です」

「わかればよろしい」と言って絵里は両手を話す。

穂乃果は涙目になっていた。

絵里にとって矢澤化と言うワードは禁句なのだ。

しかし穂乃果の言う事にも一理ある。

だってこの2人、首から上はほぼ同じ(変な帽子、巨大サングラス、カラフルマスク)なのだから。

そんな光景を当事者たち以外は楽しそうに見ては笑っていた。

そこに海未が時計に目をやり口を開く。

「8時を過ぎましたけど、真姫が来ないですね」

真姫はわりと時間にはうるさいのだが、朝となると話は別だった。

ショートスリーパーで睡眠時間が少ないせいか、朝は苦手なのである。

と、その時駅前のロータリーに黒塗りの高級セダンがやってきた。

そして車の中から降りてきたのは、ドレスのような赤い服を身にまとい、まるでどこの令嬢かのような佇まいをした真姫だった。

香水の香りを漂わせながら歩いてくる姿は、高校2年生ではなく完全にセレブである。

「みんなお待たせ。今日も暑いわね」

セレブ真姫は日傘をさし、白い絹の手袋をしている。

サングラスを外してそういった真姫。

少し遅れたことに関しては何も言わない。

さすがお嬢様である。

「遅いわよ真姫!今何時だと思ってるのよ!」

にこの言葉に真姫は腕時計を確認する。

「8時10分だけど、何か?」

「何かじゃあないわよ、10分も遅刻じゃないの!」

真姫はにこを上から下まで舐めるような目つきで見回す。

「な、何よ...」

「ねぇ、もしかして、矢澤さんですか…?」

「もしかしなくても矢澤さんでしょうが!だから敬語はやめなさいって!これ今日3回目よ」

「何のことよ、知らないわよ」

と言って真姫はにこの横に並んで立っている絵里、穂乃果、そして隣を順々に見回す。

(馬鹿が1人、2人、3人、4人... μ'sの4馬鹿は今日も健在ね…)心の中でそう思う真姫。

そして…「はー、...」大きなため息をつく。

そして再度4人を見つめる…

「はー…」またも大きなため息に、にこ、絵里、穂乃果、凛はいぶかしげな顔をしている。

「何よ、その他ため息は!?」

何かを感じ取ったにこがそう言ったが、真姫は一切相手にしない。

「さあ、いきましょうみんな」スルーしていこうとする真姫を希がとめる。

「真姫ちゃんちょっと待って。行くってどこに行くん?今気づいたけど、何も決めとらんよね」

真姫は足を止める。

「…確かにそうねぇ…何も決めてないわね」

前日に絵里の提案で、今日この日みんなで遊びに行くことにしたものの、何も決めてない9人。ノープランもいいところである。

それがまたμ'sらしくもあるが…

「であれば今日の夜、お台場で花火大会があるから行きたいなぁ」

と言ったのは絵里。

それにことりが反応した。

「へー、だったら浴衣で来ればよかったなぁ。ていうか花火大会だったら集合は午後とか夕方でよかったよね」

「確かにそれもそうね…じゃぁ花火大会はまた違う日にみんなで行こうよ。では、今日はどうしようか…?」

皆に問う絵里。

こういう時、意見がバラバラで決まらないのがμ'sだが、それに答えたのは穂乃果であった。

「ねぇみんな、お金ある?」そう尋ねた穂乃果。

年長組の3人以外はまだ高校生で、特にバイトもしてないので基本的にみんなそんなに持っているわけではない。

(真姫を除く)なので確認をした穂乃果だったが、どうやら何かプランを考えてきたみたいである。

「そんなにたくさんは持ってないけど」

「銀行で下ろせば多少はあるな」

「私は問題ないわよ」と言ったのは2年生のは花陽、凛、真姫である。

「私と希はバイトしてるからあるけど」

「私もたくさんはないけど」と言ったのはにこと絵里だ。

「オッケー足りなかったらまきちゃん助けてね。よろしく!」と穂乃果が言った。

「え?なんでそうなるのよ。まぁいいけど」

ここで“まぁいいけど“と言えてしまう真姫は、やはりその見た目通りのお嬢様である。

さすが西木野家の娘だ。

「よし、それじゃあみんなついてきて!出発!」

穂乃果そう言って改札へと向かった。

行き先の説明をすることもなく行動に移してしまうあたりは、すっかりいつもの穂乃果らしい姿である。

前日の穂乃果を見ていただけに、少し安心した8人であった。

続く

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