その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-021青い空に夏の匂いを①(157)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-021青い空に夏の匂いを①(157)

音乃木坂図書室 司書

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-021青い空に夏の匂いを①(157)
image
ラブライブ! 2nd Season

ラブライブ! 2nd Season Blu-Rayより

第3回ラブライブアキバドーム大会から数日。

初のドーム開催となったこの大会にμ‘sはゲストとして出演し、このライブを持ってμ‘sは活動に終始歩を打っていた。

惜しむ声もたくさんあったが、当の本人たちは最後までやりきったと言う思いで、今は清々しい気分であった。

夏休み、8月に入り東京は例年以上に暑い日が続いていたが、音乃木坂の屋上には今までと変わらずに練習に励む6人の姿があった。

のだが…「イチ、ニッ、サン、ヨン、ゴ、ロク、ナナ、ハチ...」

海未の掛け声が響くが、全体的に怠い空気が漂っていた。

海未の掛け声自体もいつものキレがない。

しかし、それもしょうがない8月の炎天下の中での練習である。

毎日35度を超えるような猛暑日であり、屋上は照り返しもあって、体感温度はもっと高いだろう。

いくら屋上入り口からコンセントを引っ張って、業務用の大きい扇風機を使用しているとは言え限度もある。

「はぁ…海未、もう無理。暑すぎる…」

「うん、私も…水…」そういったのは真姫とことりである。

それに応じるように、額の汗を体で拭いながら海未が言う。

「そうですね…熱中症になったら大変ですし、休憩しましょう…」

すると、全員一斉に日陰の扇風機の前に行くと、倒れ込むように座り、クーラーボックスの中の飲み物をがぶ飲みする。

「ぷっはー、生き返る!冷たくておいしい!」仕事が終わり、ビールを飲むおじさんのように花陽が言った。

「やばいよこの暑さ…死んじゃうって…」その横で扇風機を独占しながら穂乃果が言った。

「穂乃果、扇風機独占しないでよ!」真姫が言った。

「だって暑いんだもん!」

「みんな一緒よ!」言い合う2人。

いつものことである。そこで花陽が言う。

「ねぇ、夏休みの間位、どこかクーラーのある教室使えないのかなあ」

それに答えるのは生徒会長の真姫である。

「とは言ってもねぇ…音乃木坂はすごい設備が整っているように見えても、実はそうでもないし…実際クーラーのある教室って、視聴覚室やPC室ぐらいでしょ。さすがに無理よ」

「真姫ちゃん何とかしてよー、生徒会長でしょう!」

と言うのは元生徒会長の穂乃果である。

「そうね…、無理に決まってるじゃない…生徒数がこのまま増加すれば将来的にはあり得るでしょうけど」

「その頃には凛たちみんな卒業してるんや」

「どうかしら…わからないわよ、閉じる

と言って真姫は穂乃果を見てニヤっとする。

「ねー真姫ちゃん、それどういう意味かな…?」 

「穂乃果、卒業できるといいわね。もしかしたら来年は同級生かもよ。そしたら4人でユニットやろうか」

真姫の言葉に穂乃果以外の皆が笑う。そこへ凛が言う。

「そういえば1年生ってどこで練習してるんだろう?」 

「1年生はよく区民体育館とか、利用しているみたいだよ。予約しておけば一日100円で利用できるみたい」とことりが言った。

「Ray-OGの3人はよく私の家にいるけど…」穂乃果が言った。

そして海未も言う。

「私たちも少し考えたほうがよさそうですね」

そしてこの日はこのまま練習を切り上げて、6人は部室へと戻った。

部室も相当暑いが、扇風機と冷風機があるので直射日光がない分、外よりはマシである。

戻るなり、風力全開で机にへばりつく6人であった。

「あぁ暑い…クーラーないけど、外よりはだいぶマシね…とは言え暑いけど…昨年てどうしてたんだっけ…」

1人がごちるように言った真姫に、花陽が答える。

「昨年も暑い暑いって騒ぎながら練習してたよね」

「だよね…思い出した。昨年も暑かったよねー…」

結局のところ、昨年から何も変わっていないのだ。

そこへことりが皆に意見を求める。

「暑さ対策、何かいい案ある人いる?」 

「はーい!真姫ちゃんの家がいいと思うにゃー!」

すぐさま答えたのは凛である。

それに海未が返す。

「凛、それは真姫に迷惑がかかるじゃないですか!」

「いや、別に迷惑では無いけど、3人組のBiBiならまだしも、6人となると厳しいんじゃない?全体の大きな動きとかもあるからさー」

真姫が言った。

迷惑ではないと言うあたりはさすが西木野家である。

とは言え、いくら家(の地下ルームシアター)が広いと言えど、さすがに6人での練習はスペース的に厳しいと判断した真姫。

続いて手を挙げて言ったのは穂乃果だ。

「はーい!真姫ちゃんの家の別荘がいいと思います!」

穂乃果は、きっと練習よりみんなで遊ぶことをメインに考えているのだろう。

再び海未が言う。

「穂乃果、それは真姫に迷惑がかかるじゃないですか!」

「いや別に迷惑では無いけど、夏休みあと何日あると思ってるのよ。この前合宿やったばかりだし」

合宿をやろうと思えば、いくらでも別荘を提供できるあたりはさすが西木野家である。

とは言え夏休みはまだ1ヵ月近くある。

さすがにそんなに長期間は現実的ではないため却下である。

すると、今度は花陽が手を上げた。

「はーい!真姫ちゃんが生徒会長の権力を行使して、部室にクーラーをつければいいと思います!」

それができるんならみんなそれを望むだろう。

三度、海未が言う。

「花陽、それは真姫に迷惑がかかるじゃないですか!」

「いや、別に迷惑では無いけど…そんなの無理よ…」

「いつも真姫に頼ってばかりでは申し訳ないですよ。他の方法を考えましょう」

海未が言った。そこでことりが提案する。

「ねぇ、夏休みの間だけ練習時間変えるとかはどうかな?例えば早朝練習にして5時から8時に集中してやるとか」

「それはあるね。でもその時間だと学校には入れないし、絶対寝坊する人とかいるわよね。私とか私とか、後は私とか…」真姫が言った。

真姫は朝が苦手なのだ。

毎日の朝練も何とかギリギリ間に合っている位であった。

「それでしたら、朝の練習なら私の家でやりますか?聞いてみないとですが、朝でしたら武道場を使わせてもらえるかと。風通しが良いので比較的練習がしやすいと思いますよ」

「え、いいの海未?大丈夫なら助かるね「

「はいいつも真姫にはお世話になってますし、たまには私も力になれればと。ちょっと確認してみますね」と言って海未がスマホを取り出して、電話をするために廊下へと出て行った。

海未の確認待ちの間、穂乃果が言う。

「ねー真姫ちゃん。合宿やろうよー、海のある別荘で!」

「合宿やるのは別に構わないけど、今やる必要ある?」 

「みんなで海に行きたいよー」

「穂乃果は遊びたいだけでしょ…」

「ねぇー真姫ちゃーん」甘えたような声で穂乃果を真姫にまとわりつく。

「暑苦しいって!わかった、考えとくから離れてよ!」

そのタイミングで海未が部室へと戻ってきた。

「何やってるんですか穂乃果は…さて、お待たせしました。午前中であれば使って良いと承諾いただきました。ただし父親が2つ条件があるとのことで、1つ目は礼を忘れることのないようにと」

その言葉に穂乃果が反応する。

「えっ、お礼…うちの和菓子じゃだめかな…?」 

「違いますよ穂乃果。入館時、退館時の礼と練習前後の挨拶をって意味ですよ。まぁ穂村の和菓子なら私の両親も喜びますが」

それを聞いて穂乃果は安堵する。

単純な穂乃果はお礼と聞いて、てっきり現金か何かを要求されると思ったらしい。

親友に対して、そんなことを考えるのもまた穂乃果らしいと言えばらしい。

「海未ちゃん、それでもう一つの条件は何?」

ことりが尋ねる。

「もう一つの条件…それはですね…」海未は真剣な顔で皆を見回した。

真面目な性格の海未が放つ、緊張感に、全員が手に汗を握り、海未を見つめ返していた。

続く

SF沼におちた僕の本棚
音乃木坂図書室