犬村小六(著)
ガメリア合衆国との開戦に踏み切った島国・日之雄。
マニラ沖海空戦では多数の死傷者を出すも、白乃宮イザヤ、黒之クロトが乗る飛行戦艦「井吹」の活躍によって勝利を収めた。
日之雄連合艦隊はフィルフィンを攻略し、次なる目的はさらに南、リングランド帝国極東艦隊が支配するメリー半島の奪取であった。
しかしマニラ沖海空戦勝利の代償は大きかった。
「井吹」は大破し、新しい飛行艦が車で一時の休暇となる。
水兵たちは参謀であるクロトに、とある作戦をもちこむ。
それはイザヤとリオの水着写真を撮ることだった。
クロトは全力で拒否するが、水兵達は食い下がらない。
それどころか成功した暁には、全員が生涯クロトへの忠誠を誓うと宣言する。
渋々だが、手懐けておいて損はないと判断し、クロト立案でイザヤとリオの水着姿の写真を撮る作戦が決行された。
そんな和やかな雰囲気だが、戦況は常に動いており、「井吹」に変わる新しい飛行艦「飛簾」にてリングランドとの戦いに臨もうとしていた。
またガメリアに対して、ユーリという少女を諜報員として送り込むことが決まった。
ガメリア人の見た目をした日之雄人ユーリ。
彼女はクロトが日之雄に戻ったのはカイルからイザヤを守るためだと知り、全力で潜入することを誓う。
だが、その理由をイザヤに知られてしまい、クロトとイザヤは気まずい雰囲気に。
そんな中、戦況は待ってくれない。
日之雄はリングランドとの戦いに突入する。
しかし作戦を計画する上で、クロトをよく思っていない上の人間も多数いる現実...
クロトの言い分に聞く耳すら持たず、果たして日之雄、クロト達の行方はどうなるのか…
シリーズ第2弾。
緻密に描かれた激しい空戦の模様はもちろんだが、クロトとイザヤの何とも言えない絶妙な関係が物語の良いアクセントになっている。
ストーリーは戦争・空戦という死傷者多数の血生臭い物語だが、アイドル的存在のイザヤとリオにより、戦時中とは思えない明るさがあり、読後感も良い。
とはいえ、やはり生死をかけた空戦、仲間の死、犠牲、地位や名誉、人間の上下関係等、様々なものが詰め込まれている。
そんな今作も、もちろん面白い作品である。