その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-012須臾の梅雨の中で⑩ (85)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-012須臾の梅雨の中で⑩ (85)

音乃木坂図書室 司書

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-012須臾の梅雨の中で⑩ (85)
image
ラブライブ! 2nd Season

ラブライブ! 2nd Season Blu-Rayより

結局6人ではμ‘sの事は決められずに、話題は翌日の学園祭の話となっていた。

「それにしても1年生はすごい気合入ってたよね。リハの後も練習していくなんて、やる気満々じゃない」と真姫が言った。

それに対し、花陽は少し否定気味に言う。

「いや、あれは不安なんだと思うよ。一年生は大勢の人の前でライブをやるのは初めてだから…緊張と不安を練習することによって少しでもまぎらわそうとしているんだと私は思ったな」

「確かに…それはそうかもしれないわね」

真姫を始め、皆が花陽の言葉に頷く。

花陽の言葉は一理ある。1年生にとっては初のライブなのだ。

それに加え、音乃木坂の学園ライブは元μ‘sメンバーによるユニット、μ‘sicforeverの存在がある。

さらにはインディーズでありながら大人気のアイドルユニットのBiBiも出演する。

会場はかなりの人が来ると予想されている。

そんな中での初ライブ、緊張と不安でいっぱいだったとしても無理は無い。

「凛たちの初ライブの時ってどうだっけ?」 その問いかけにことりが答える。

「9人での初ライブとなると…ボラララ依頼の時だよね。あの時は校庭でライブやったけど、お客さんは数十人だったかな。お客さんは少なかったけどライブ前は緊張したよね」

「μ‘s初のライブは私たち3人だけで講堂だったけど、ライブ前は楽しみであり緊張もしたよね。まぁ…お客さんは花陽ちゃんとりんちゃんが途中から来てくれたけど、それ以外いなかったからなぁ…懐かしいね」穂乃果が言った。

海未も続く。「お客さんはいませんでしたが、私は心臓バクバクでしたよ…」

μ‘sは地道に活動し、徐々に人気を得て、そして少しずつ、確実にライブの観客は増えていた。

それに対して今年の1年生は自分たちの知名度や人気とは関係なしに、いきなりの大観衆の前でのライブなのである。

それを考えると…「出演順は少し失敗だったかもね」真姫が言った。

学園祭のオープニングは一年生ユニットで、ライブがスタートなのである。

言い出したらキリがないが、皆が少し1年生を心配していた。

だが、穂乃果だけは1人、違う意見であった。

「でもさぁ、最初からそれだけ多くの人に見てもらえるのは自分たちを知ってもらえるチャンスだよね。私たちの時はゼロからのスタートで、それこそお客さんが来てくれるかどうか不安だらけだったけど一年生はその心配もないし、逆に大きなチャンスだと思って頑張って欲しいなぁ」

と昨年のμ‘sと今年の1年生とではス、タートの時点が既に違うのだ。

穂乃果の言う通りμ‘sはゼロからのスタートだった。

何もないところから、何も分からない状態でのスタートだったのだ。

本当にやれるのか、大丈夫なのかと様々な不安と心配の中でμ‘sは活動し、結果を残してきた。

そのμ‘sが1年間かけて築いてきた土台の上から、1年生はスタートなのである。

多くの人に見られると言うのは大きなプレッシャーであるだろうし、不安は拭えないだろう。

だがそれと同時に自分たちを知ってもらえる大きなチャンスなのである。

穂乃果はそのチャンスを生かして、1年生に頑張ってほしいと思っていた。

こう見えて穂乃果は入部以来、頑張って練習に取り組む一年生の姿を見てきた。

ラブライブにエントリーし、努力する姿、前向きな姿はμ‘sを始めた頃の自分たちに、そっくりだと思っていた。

そんな1年生を見て、きっと彼女たちなら大丈夫だと思っていたのだ。

「とにかくさぁ、明日の学園祭ライブで絶対に成功させようね」

穂乃果の言葉で全員が笑顔でうなずき、真姫が言う。

当然でしょ穂乃果。私たちなら大成功間違いなしよ」すごい自信である。

だがμ‘s 、μ‘sicforever全ての楽曲を手がけ、BiBiとしても大活躍する真姫である。

その自信は決して過信なのではない。さらに真姫が続ける。

「ねぇ、ところでさぁ、Printemps何なのよ。すごいじゃない。今日のリハで初めて聞いたけど可愛くて最高じゃないの」

それを聞いた穂乃果がうれしそうに反応する。

「でしょ? Printempsのコンセプトはアイドルらしい可愛らしさだからね。

曲も良いでしょう。1年生の愛乃ちゃんが作ってくれているんだ」

「あの子良いセンスしてるわね。

穂乃果の元気ある歌声に花陽とことりの可愛い声が絶妙にマッチしてて、曲の完成度も高いし。

そういえば作詞は誰がやってるの?」 

それに答えるのは花陽だ。

「作詞は大体は私だよ。

一応全てみんなで協力してやってるけど作詞のメインは私、穂乃果ちゃんは振り付け、ことりちゃんが一生担当って感じだよ。

作曲に関しては全部愛乃ちゃんだけどね」

「そっか、Printempsはそれぞれの役割も含めてバランスが良いよね。今度外でもBiBiと一緒にライブやろうね」

穂乃果、ことり、花陽は笑顔でうなずく。

海未と凛も笑顔で見守っている。

μ‘sとして1年間かけて築いてきたもの、そして新たにμ‘sicforeverとしてさらには学外ユニットのBiBiやPrintempsとして活躍を続ける彼女たち。

その大きな瞳に一年生と言う新しい花が芽生えようとしている。

音乃木坂のスクールアイドルとして多くの人を楽しませ、笑顔になってもらう。

みんなが全員最高になれる。今が最高と思えるように…そんな学園祭ライブにしたい。

そう6人が、6人とも思っていた。

そんな彼女たちの思いはきっと叶うだろう…

その頃音乃木坂学院では…

すでに日も落ち始めているにもかかわらず、他のユニットよりも遅くまで残って練習に励む3人の姿があった。

Ray-OGの3人である。同じクラスの亜里沙、雪穂、梨緒の3人はスクールアイドル部入部前にユニットを結成し、活動をしてきたのである。

そんな3人は初めてとなるライブに向けて入念に確認を行っていた。

「ふぅ…疲れたぁー。いよいよ明日か」

屋上の床に敷いたシートに座り込み雪穂が言った。

亜里沙とともに一番近くでμ‘sを見てきた雪穂であるが、やはり多少の緊張はあるようだ。

「そうだね、緊張しちゃうなぁ…」と言うのは亜里沙。

それを聞いて梨緒が言う。

「今から緊張してたら明日は硬直してるんじゃないの?」 と言って笑いあう3人であった。

この3人もとても良い関係である。

それぞれが個性の強い3人であるが、ユニットとしての結束力は1年生の中でも随一であろう。

「2人に出会って、もう2ヶ月か…あっという間だったね。

いよいよRay-OGの初ライブ、ここから私たち3人の物語が始まるんだ。

明日は絶対にライブ成功させるからね!」

梨緒の力強い言葉に雪穂が答える。

「うん、もちろんだよ。私は音乃木坂に入学した時に亜里沙と誓ったんだから。

μ‘sに負けないスクールアイドルになるって!」

「そうだよ。私たちはお姉ちゃんに負けないスクールアイドルになるって決めたんだよ!」

亜里沙も続いた。2人の言葉に梨緒は笑顔を浮かべる。

そして2人を両腕でぎゅっと抱き寄せて言った。

「そうだね、私たちなら出来る!まずは最初の1歩だよ。明日のライブ全力で行こう!」

3人は共に笑顔で寄り添っていた。

その姿はまるでμ‘sを始めた頃の穂乃果、海未、ことりのように仲睦まじいものだった。

きっと緊張するだろう。プレッシャーも感じるだろう。

でも大切なのは自分の大好きなことを精一杯やること。

後悔のないように全力でやること。

そうしたらその先には必ず笑顔になれる自分がいる。

多くの人が笑顔になってくれる。

そして…スクールアイドルが大好きだと必ず思えるはずだから…

それがμ‘sを作った、音乃木坂でスクールアイドル部を作った穂乃果の想いなのだ。

れはきっと1年生にも伝わっている。

自分たちがμ‘sとして、スクールアイドルとしてやってきたことを、音乃木坂のスクールアイドル部の後輩へと伝えたい。

それがμ‘sのメンバーとして、音乃木坂に残った私たちの役目だから…

梅雨の季節、それぞれがいろいろな思いの中でいた。

学園祭ライブはいよいよ明日である。

このライブがそれぞれにとって1つの大きなきっかけになる事は間違いないだろう。 

続く

SF沼におちた僕の本棚
音乃木坂図書室