その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-007 ミュージック・Re:スタート④(44)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-007 ミュージック・Re:スタート④(44)

音乃木坂図書室 司書

皆が僕たちは一つの光に聴き入る中、何かを思い出したかのように真姫が言う。

「あっ、そうだ。海未から最後にもらった詞があったでしょ。それにも曲をつけたんだ」

といって真姫は曲を変えた。

[MOMENT RING/詞] MOMENT RING

この曲も真姫の作曲センスと海未の心に残る言葉が折り重なっており、とても素晴らしい曲に仕上がっていた。

”無謀な夢から始まった奇跡”という歌詞は、海未のμ'sに対する想いの表れであろう。

μ'sをスタートした当初、曲を作ることもできない所からの挑戦であった。

穂乃果とことりの3人でμ'sを始めた。

最初は嫌々であった海未。

幼馴染のお願いだから仕方なくだった。

でも、2人と共に活動していくうちに、次第に楽しくなっていて、気づけば歌って踊るのが大好きになっていた。

だけど3人で初めて臨んだライブでは殆ど観客はいなくて、泣きたくなるぐらいの気持ちだった。

それでも途中で辞める事なくライブをやり切って、そこから始まった数々の軌跡。

限りなくゼロに近いところからのスタートだったのだ。

この曲は9人の奇跡の物語の曲と言ってもいいだろう。

それが海未が最後に作詞をしたMOMENT RINGであった。

「真姫、素敵な曲に仕上げてくれてありがとうございます。」

海未は真姫に感謝の言葉を告げた。

「何言ってんのよ海未、それはいつもの事でしょ。海未が作詞してくれて、私が曲をつけて、9人みんなで完成させる。 それがμ'sじゃないの」

「ええ、そうですね。でも、いつも以上にこの曲を聴いて嬉しい気持ちになったのです。」

その言葉に思わず真姫の口から本音が漏れる。

「海未...実は私もね、この詞を海未に貰って見た瞬間、涙が止まらなかったんだ...」

そこに凜が揶揄するように言う。

「だって真姫ちゃんは泣き虫だもんねー」

「うるさいわよ凜、そんなことないわよ!」

否定する真姫に対し、穂乃果も囃し立てるように言う。

「あれー、真姫ちゃんさっき大泣きしてなかったっけぇ?」

「もう、穂乃果までうるさいな...ちょっとだけでしょ...」

更に希が追い打ちをかけるように言う。

「さっきは汗とか花粉とか訳わからん事言ってたやん。」

「もうどうでもいいでしょ、ほっといてよ!」

真姫は腕組みをしてフンと鼻を鳴らしてそっぽを向く。

だが内心では以前のような日常的なこのやり取りが嬉しく、

心地よく感じる真姫だった。 そこへ再びにこが登場する。

「真姫、あんたってば本当に声涙倶に下るわよね。もうこうなったら改名しなさいよ。泣き虫だから、そうね...西木野真姫改め西木野泣姫(なき)ね!ギャハハハハ」

「はぁ?何言ってんのにこちゃんイミワカンナイ。っていうかなんでバカなにこちゃんがそんな難しい言葉知ってるのよ。これは天変地異の前触れかしら...」 「ちょっと、誰がバカですって!?本当に失礼ね。私を誰だと思ってるわけ?宇宙№1アイドルの...」

といいかけたにこを余所眼に穂乃果が割って入る。

にこと真姫の言い争いは日常茶飯事であり、にこの取り扱いも皆慣れたものであった。

「それでさ、ライブはこの2曲だけでやるの?それとも他の曲もやるの?」

「最後まで言わせなさいよ穂乃果!」

「はいはい、にこちゃんはもう黙ってて」
にこを軽くあしらう真姫。

そこへ花陽が穂乃果の質問に応える。

「ラブライブ運営本部からは、もし今回のオファーをうけてくれるなら、20分程度に収まる範囲でやってほしいってお願いされてるらしいから、あと1曲はほしいかなぁ」

「20分かぁ...ちょっと短いね」 穂乃果はつぶやく。

「それはしょうがないよね。μ'sとA-RISEで40分だとしても、スクールアイドルは32組出場するから、どうしても時間は限られちゃうよね。」

補足するように花陽は言った。

「でも20分でも、アキバドームの5万人ものお客さんの前で、μ'sとしてライブできるなんてハラショーよね」

たしかに絵里のいう通りだ。

μ'sはラブライブのアキバドーム開催に関して大きく貢献したが、μ'sが出場するという可能性は当初なかった。

紆余曲折を経て今に至るわけであり、やはり舞台に立てるというのは相当感慨深いものであった。 そこへ希も言う。

「そうやね、μ'sとしてとしてアキバドームの舞台に立てるのは嬉しいよね。ライブまではまだ時間あるし、残りの1曲はまた今度決めよっか」

皆が頷く。 すると穂乃果が何かを思いついたかのような表情で、全員に近づくよう手招きをする。

「ねぇみんな、久し振りにあれやろうよ」

穂乃果の言うあれに対し、誰一人説明は不要だった。

それはいつもライブ前にやるμ's恒例のものだ。

全員が頷き、円を組むようにして肩を組む。

そして穂乃果が”行っくよー!”と声を掛けた。

「いーちっ!」 穂乃果が元気に言った。

「にっ!」 ことりがかわいらしい声で続く。

「さんっ!」 μ'sを始めた頃が嘘かのように堂々としている海未。

「よんっ!」 部長として皆を引っ張る花陽。

「ごっ!」いつも明るく人懐こい凜。

「ろくっ!」 μ'sがあるのは真姫がいてこそだ。

「ななっ!」μ'sにはなくてはならない愛されキャラのにこ。

「はちっ!」誰よりも美しく頼れる存在の絵里。

「きゅう!」皆のお姉さん的存在の希。

9人が9人、誰一人でも欠けていたら、μ'sではない。

ギリシャ神話の芸術・学問をつかさどる9人の女神を準えてμ'sと名づけ、その名に劣らぬ輝きをみせた9人。

今一度9人は再びμ'sとして活動する事を決意した。

全員が円の中央に手を広げ重ね合わせ...
「ミューズ!ミュージック・スタート!」

大きな声と共に重ねた手を頭上へと掲げた。

多くの人がμ's復活を望んでいたであろう。

しかし誰より望んでいたのはこの9人だったのかもしれない。

誰よりもμ'sを愛していた9人なのだから...

こうして限定的であれ、ラブライブアキバドーム大会に向け、μ'sの9人は再びスタートしたのである。

高坂家は暖かい笑顔に包まれていた。

続く

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