その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-012須臾の梅雨の中で④(79)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-012須臾の梅雨の中で④(79)

音乃木坂図書室 司書

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-012須臾の梅雨の中で④(79)
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ラブライブ! 2nd Season

ラブライブ! 2nd Season Blu-Rayより

6月のとある日のこと。

この日3年生は朝のショートホームルームにて進路調査票が配られていた。

音乃木坂学院では2年生になった段階で、調査票が配られる。

そしてその後、3年生に進級する前と、3年生になってのこの時期に、より詳細な調査票が配られるのだ。

音乃木坂学院はそれなりの進学校である。卒業後の進路は多くの生徒が進学となっており、早い段階からの調査により学校もサポートする体制が整っている。

早い生徒であれば2年生の頃から進学へ向けて勉強を始める人もいる。

真姫が良い例だろう。

真姫はスクールアイドル部で活動しつつ(さらに今はBiBiの活動もある)一年生の頃から医大進学のための勉強をしている。

そんな学校になぜ、穂乃果や凛、OGであるにこが入学できたのかは、知る由もないが、彼女たちは苦手教科があったり、勉強が好きじゃないからやらないだけで、決して勉強ができないわけでは無いのである。

この日、3年生の3人は放課後に生徒会室に集まり、たまった仕事を片付けていた。

珍しく穂乃果も集中して取り組んでいる。

外は雨で練習もできないし、新しくもらった部室はローテーションで使用することになり、今日は1年生ユニットが使用する日のため、μ‘sicforeverの練習は無しとなったからである。

一通りの仕事を3人で片付けたところでことりが言う。

「そろそろ生徒会も後輩たちにバトンタッチだね」

音乃木坂では伝統的に、6月の学園祭を持って生徒会は後輩に託すようになっている。

この場所で生徒会としての仕事をするのもあと少しなのである。

「そうですね。絵里と希からこの生徒会を引き継いで、もうそろそろ1年が経つんですよね。早いですね…」

しみじみとした口調で海未が言った。

この1年は思えばとてもつもなく濃くも充実した日々であった。

ついこの前始めたと思っていたスクールアイドル部、も気づけば1年以上が過ぎており、また生徒会役員として学校行事や様々なことに携わってきて、今日に至るのだ。

感慨無量と言っても過言では無いのだろう。

「ところで次の生徒会長はどうするの?」

ことりが尋ねるように穂乃果と海未に問う。

すると間髪を入れずに穂乃果が答えた。

「そんなの1人しかいないよことりちゃん」その言葉にことりと海未は何も言わずにうなずく。

3人の中ではきっと同じ人物が浮かんでいたのだろう。

それ以上はお互いに特に何も言う事はなかった。

それから話題は学園祭の事、そして7月のラブライブアキバドーム大会の事、μ‘sのことと変わり、最後にこの日の朝に配られた進路調査票のことになっていた。

「あーあー…進路かぁ…どうしようかなぁ…」

ボールペンをくるくると回しながら、穂乃果が言った。

3年生のこの時期ともなると、現実的にもう進路を考えていて当然である。

だが穂乃果はまだ決まっていなかった。

「来年も音乃木坂にいたいなぁ」穂乃果の漏らした言葉に海未が反応する。

「なにいってるんですか穂乃果。留年するつもりですか?」 

その瞬間、何かをひらめいた家のように手のひらをポンと叩く穂乃果。

「は…!その手があったか…私と海未ちゃんとことりちゃんは留年して、来年も6人でμ‘sicforeverをやると言う作戦が…」

それを聞いて海未はため息まじりに言う。

「はぁー…穂乃果いい加減にしてくださいよ…」

「冗談だよ冗談!そんなわけないでしょ。留年なんて恥ずかしくて絶対嫌だよ。ところで海未ちゃんは進路決めたの?」

「笑もちろんです。2年生の時から決めてましたけど、私は大学進学ですよ」

「どこの大学行くの?」

「いろいろ悩みましたが、私の第一志望は明智大学です」

「えーっと、明智って御茶ノ水の坂のところに、大きなビルのキャンパスがある大学だよね?さすが海未ちゃんだ、テストでいつも3位内に入ってるだけあるね。あんないい大学行けるなんて」

「まだいけると決まったわけではないですけどね。ちなみに穂乃果、前回のテストは私1位でした」

「おぉっ…さすが海未ちゃん…ちなみに私も前回は3位内でした。後からだけど…」

「穂乃果…本当に留年しないでくださいよ…私もまだまだ努力しなければなりませんので」

「海未ちゃんなら大丈夫だよ、頑張ってね」

「ありがとうございます穂乃果」

「でも明智ならアキバからも近くて良いね。それに絵里ちゃんたちの大学にも近いし。そういえば絵里ちゃんと希ちゃんていつ受験勉強してたんだろう…あの2人は卒業までずっと私たちと一緒にμ‘sの活動してたのに」

穂乃果の疑問に海未が答える。

その答えは単純だった。

「穂乃果も知ってると思いますが、あの2人はすごい頭がいいんですよ。

だから特別に受験生だからと言って勉強に集中するまでもなく、何回難関大学を受験して合格してしまう…一言で言えば天才と言うのでしょうかね」

もちろん絵里と希は頭が良いのだが、隠れたところでは努力しているのだ。

ただそれを人に見せることなく、最後までずっとμ‘sとして活動していたのである。

「そっか、そうだよね。あの2人は頭いいもんね。ところでことりちゃんはどうするの?」

穂乃果はずっと黙って話を聞いていたことりへと振った。

「えっと、私は…まだ決まってないんだよね…」

「そうか、進路決めるのって大変だよね」

決まっていないとことりは答えた。

だが実はこの時すでにことりは海外留学することを決めていた。

一年前とは違って今回はしっかりと自分の意思でである。

だがこの時点ではまだ留学先が決まっていなかった。

そんな状況で曖昧なことを2人に伝えたくないと思い、まだ言わなかったのだ。

ことりは心に決めていた。あの時と同じ轍は踏まないと。

留学先が決まった時点で、すぐに穂乃果と海未に伝えると決めていたのだ。

そんなことりは穂乃果に問う。

「穂乃果ちゃんは進路どうするのー?」 

「うーん、私もまだ決まらなくて…やりたい事はあるけど…もう少し考えてから決めるよ」

「そうですか…お互い後悔のないようがんばりましょうね」

締めくくるように海未が言った。

穂乃果はまだ自分の将来について決められないでいた。

やりたい事はあると言った。

だけどこの先、自分の本当のやりたい事は何なのだろうか…それを考えると答えを出せない。

穂乃果は、悩んだ末に進路調査表には進学とだけ書いて提出していた。

一方、ことりは未定と書いていた。

日1日と確実に卒業が、そしてその先が近づいてきているの実感する3人であった。

続く

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