その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-019僕たちはひとつの光④(144)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-019僕たちはひとつの光④(144)

音乃木坂図書室 司書

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-019僕たちはひとつの光④(144)
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ラブライブ! 2nd Season

ラブライブ! 2nd Season Blu-Rayより

スクールアイドルのライブが全て終了し会場は興奮冷めやらぬといった感じである。

ライブ終了後の1時間が投票時間となっており、μ‘sのゲストライブ終了後が優勝チームの発表及び表彰式となっている。

ライブは長丁場のため、スクールアイドルのライブの途中には休憩時間も設けられていて、そしてスクールアイドルのライブが終了した今の時間もインターバルで、μ‘sのライブまで30分の時間があるのだ。この間に観客は投票したり、用を足したり軽食を取ったりしている。

投票は各地区最終予選と同じ方式で、現地での投票は3倍となり、ラブライブオフィシャルにて生放送されているサイトを通じての投票となっている。

多くの人は既に投票を終え、残すはμ‘sのライブを待つのみとなっていた。

「あと20分で私たちの出番よ。さぁみんな、準備するわよ」

控え室で絵里が皆へと声をかける。全員がすぐに行動し、衣装へと着替える。

さっきまで昼寝をしていた穂乃果も引き締まった表情をしている。

ライブを前にして全員が良い精神状態であった。

そして9人は会場へと向かった。

本来ならステージ裏で待機するのだが、今回はμ‘sのためにアリーナ中央に特設ステージが用意されており、9人は私通路の下を通り抜けて、特設ステージの下へとやってきていた。

あと少しでμ‘sのラストライブがスタートする。

程良い緊張感の中、待機するクリーンだったが、ふと真姫が全員に向けて話し出した。

「みんなありがとね… μ‘sはみんなで終りにしたのにもかかわらず、私がμ‘sはまだ終わってないって言ったから…私はこうして9人でμ‘sをまたやれたのが本当に嬉しくて、とても楽しかった。だからありがとう…」

すると希が言う。

「それはうちもそうだよ。本当に楽しかった。でもね、真姫ちゃん言わなかったとしてもμ‘sはまたやることになったんよ」

「そうだよ真姫ちゃん、今こうして9人、μ‘sとしている。それはみんなの思いだよ」

ことりが言った。真姫は2人の顔を見てうなずく。

「希、ことり…うん。でも違うな…私が言いたい事はね…普段はなかなか面とと向かってこんな事は言えないし、恥ずかしいけど、今なら言えるから…みんなありがとう。私をμ‘sに入れてくれてありがとう…いつもみんなと居られて本当に楽しかった。今が最高って思える毎日だった。だから…本当にありがとう」

感謝の言葉を皆に伝える真姫。μ‘sの中で1番素直じゃないのは全員がわかっている。

そんな真姫の告白みたいな言葉に、自然と皆が笑顔を浮かべていた。

「真姫は最初の頃は本当にどうなることかと思っていたんだよねー。

みんなと一緒にいても、どこか他人が男で、自分から近づこうとしなかったから。でも、次第に心を開いてくれて、気づけばみんなと一緒に笑ったり、馬鹿やったりできるようになっていて、μ‘sにとって欠かせない存在になっていた。私は真姫がみんなと仲良くなれて本当によかったよ」

絵里が言った。真姫はμ‘s加入当初、μ‘sとして活動しているものの、どこかみんなと距離をとっていた。

自分から話に加わろうとする事はなく、むしろ遠ざけている位だった。

そんな真姫を当時3年生の先輩たちは、μ‘sの最初の合宿の時に、真姫がもっとみんなに馴染めるように、自分から積極的に接することが出来るようにと尽力したのであった。

だからだろう。真姫が今こうして皆と仲良くしていること、そしてありがとうと自分の思いを伝え姿が皆嬉しかったのである。

「真姫ってあんたは本当にバカね…今更そんなこと気にしなくていいわよ。私たちはもう、とっくの昔に全員が大切な友達なんだから。

それに、前に私言ったでしょう。あの日、あの場所で…」

にこが言ったこと、それはBiBiを始める前の話。にこは真姫に素直になりなさいって言っていた。

普段であればこの後は2人の言い争いに発展するところである。

しかし真姫は素直にうなずいた。

にことは誰よりも一緒にいることが多い真姫。そして皆が言う通り、誰よりも仲の良い2人。まるで姉妹のようで、時として恋人かのように…

そんなにこの言葉は優しさに満ちていた。

「絵里、にこちゃん…みんな本当にありがとね。私はみんなが大好き…」

μ's最後のライブ直前に、真姫はいつもなら絶対に言わないであろう言葉を口にした。“みんなが大好き“と…。

素直な真姫の気持ちであった。

だが、そんな事は言葉に出しても言わずともみんなわかっている。皆それぞれがお互いに考えていることが言わなくても伝わってしまう位の中なのだ。

真姫の目元にはうっすら光るものが見えていたが、誰も何も言わない。

真姫の気持ちはわかっている。

みんなの思いは1つなのだから…

そして真姫をμ‘sへ加入させた本人の穂乃果が言う。

「うん…真姫ちゃん、私の方こそいつもありがとう。μ‘sのためにたくさんの素敵な曲を作ってくれて、合宿のたびにそれ以外でも別荘を貸してくれて本当に感謝してるよ。

真姫ちゃんがいなかったら、きっときっとμ‘sはなかった。

だからμ‘sに入ってくれてありがとう。

そしてこれからも、この先もずっとよろしくね」

穂乃果は真姫に笑顔で言った。

真姫は穂乃果に最高の笑顔で返す。

ライブ前、準備は整った。

気持ちも全員1つになった。後はμ‘sのラストライブを全力で楽しむだけだ。

Μ‘sのライブが近づき、会場のざわつきが来人の耳にも届く。

そしてふとスタッフからライブ1分前の声がかけられた。

最後に穂乃果が気を引き締めるように、大きな声で全員に言った。

「よーし、みんないよいよだよ!これが本当にμ‘s最後のライブ、μ‘sのフィナーレだよ!みんなとμ‘sをやってきて、たくさんの人に支えてもらってここまで来た。

最後の最後、笑顔で終えられるように、今この瞬間を全力で楽しもう。いくよ!」

輪になった9人、中央に穂乃果が手のひらをかざすと全員が手のひらを重ね合わせた。

「1!」μ‘sを生み出した穂乃果、彼女の言動が多くの人を惹きつける。μ‘sの顔はやはり穂乃果であり、μ‘sの中心人物でもある。

「2!」μ‘sの衣装は全てことりによって生み出されたものである。

そのセンスは秀逸でμ‘sにとって欠かせない存在だ。

「3!」ほぼ全すべての曲の作詞を担当しその語彙の多さ表現力の豊かさは他の追随を許さず、練習面でも引っ張ってきた海未も大切な存在だ。

「4!」にこの後を継いで部長として皆をそしてスクールアイドル部をまとめてきた花陽の存在は極めて重要だ。

「5!」海未とともに練習面でみんなを引っ張り、またその人なつっこく明るい性格の凛はみんなを笑顔にする貴重な存在だ。

「6!」もはや言うまでもないだろう、真紀なくしてμ‘sはありえなかった。

「7!」ムードメーカーであるにこ。だがアイドルに対する姿勢など、多くを後輩に伝えたμ‘sに必要不可欠な存在だ。

「8!」存在するだけで華やかになる絵里。その美貌とダンスのセンスはμ‘sによりいっそう輝きを与える存在だ。

「9!」頼りになる存在の希。何でもできて皆に安心感を与える姉のような姿は、まさにμ‘sの名の通り、女神である。

そして9人は肩を組み合い、声を揃えて全員で言った。

「μ‘sファイナルライブ!ミュージックスタート!」

μ'sにとって9人は全員が欠かせない、必要な存在である。誰1人として欠けるわけにはいかない。

9人がいてこそのμ‘sなのだ。

μ'sファイナルライブ、スタートである。

続く

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