吉上 亮 (著)
公安局刑事課一係に属する執行官の六合塚弥生。
彼女は同性愛者であり、現在の恋人は分析官の唐之杜志恩である。
2人は凄惨な事件を負っていた。
未成年の妊婦を拉致し、出産後に暴力により惨殺する謎の集団〈箱舟〉、その組織から殺される寸前に脱出して生き延びた少女からの情報で潜入捜査を行い、次第に〈箱舟〉舟の素性が明らかになっていく。
ライブに参加する弥生に〈箱舟〉が接触するのは終演後と思われていたが、突如公安局がライブハウスを襲撃した。
その公安局は偽物で〈箱舟〉の構成員だった。
弥生はメンバーの1人を拘束し、〈箱舟〉の拠点を割り出すことに成功する。
弥生の脳裏には過去の恋人の姿が過ぎる。
そして首謀者である〈聖母〉と対峙するが、その人物は弥生をよく知るものだった。
アニメ一期と二期の間の事件を描いた「About a Girl」。
監視官の宜野座伸元は動物の再導入事件を追っていた。
22世紀では生きた動物は貴重であり、自然に動物を戻そうと言う試みは失敗し、挙句に再導入自体が違法と認定されていた。
そこへ再導入の通報があり、部下の佐々山とともに現場に赴き、そこでロンと言う犬を保護する。
ロンを一時的に引き取った宜野座。
ロンと過ごした40日間と事件の真相を追う宜野座を描いた「別離」の2作による短編集である。
今作のアニメ1期後を描いた「About a Girl」。はテーマとしてはなかなかに重たいものである。
過激な表現も多く、主に同性愛、妊娠といった内容を取り扱っている。
もう一方の「別離」は若かりし個人の頃の宜野座や監視官時代の狡噛を始め、過去の一係を描いている。
シビュラ社会と言う基本的に犯罪が極めて少ない中で起こる事件は、必然的に大きなもので、内容も過激となっているが、ノベライズ作品として、それぞれの過去も垣間見えて、とても読み応えがあるだろう。