グレッグ・キイズ (著), クリストファー・ノーラン (著), ジョナサン・ノーラン (著), 富永 和子 (翻訳)
人類は地球で生まれたが、ここで滅びる必要はない。 地球の寿命は尽きかけていた。
胴枯れ病という植物の病によって、人類は飢饉の危機に瀕していた。
胴枯れ病の細菌は窒素を呼吸する。
つまりこの疫病が栄えるほど、大気中の酸素量は減少し飢饉を生き延びたとしても待っているのは窒息死である。
持ってあと1世代か2世代というところまで、人類は追い込まれていた。
クーパーは十歳の娘マーフ、15歳の息子トム、義父のドナルドと共に暮らし、農夫をしていた。
農場ではまだとうもろこしが生きており、「食べ物があるだけでありがたい」という中での生活は、日常的に砂嵐が舞う劣悪の環境だった。
だがある日、娘の部屋で起きた異常現象を境に、一気に家族のすべてが変わったのであった。
重力異常による謎のメッセージを元に、クーパーが向かった場所、そこはもう存在しないはずのNASAであった。
その日の食事さえ事欠く状態で、宇宙探検に巨額の予算を注ぎ込むのは世論が許さない、というわけで閉鎖されたはずのNASAでは、極秘裏にある計画が進められていた。
人類を救うための計画プロジェクトである。
それは地球を救うのではなく、人類が住める星への移住計画であった。
土星付近に発見されたワームホール。
遥か彼方の銀河と太陽系の銀河を結んでおり、一瞬で他の銀河へ行くことができる。
時空間の異常を利用して、新たなる地球を探すというものだ。
そして明かされる、クーパーの過去。彼は NASA の元パイロットだったのである。
失われたはずの若かりし頃の自分の夢と人類を救うために、クーパーは宇宙への旅に行くことを決心する。
幼い娘と息子を残し宇宙へと旅立ったクーパー。
その先に待ち受けていたのは、数々の困難であった。
たどり着いた先での謎の重力異常。 全ての出来事は、あの日と繋がっていたのだ。
重力は次元を超え、そして時間をも超越する。
幼い子を残してきた父としての苦悩と葛藤。
パイロットとしての使命。残された家族の思い。
迫りくる地球の寿命。
そして真実は・・・。
クーパーの思いが胸に突き刺さるような感動の作品である。