日向夏(著)
人買いにさらわれて後宮に下女として売られた猫猫。
約10ヶ月下女として働き、後宮を解雇されて花街へ戻ってきたのもつかの間、すぐに宦官の壬氏のお付きとして外廷勤務となる。
仕事は現場の時と同様、掃除や雑用だった。
本来なら他の仕事につけるはずだったが、自分の興味のない物事は物覚えが悪い猫猫は試験に落ちたのであった。
そんな彼女に他の管女は嫉妬する。
壬氏直属で働くのが気に食わず、猫猫に絡む官女たち。
そんな中で建物の小火が起こる。
それには不自然な点がいくつかあり、猫猫は原因をすぐに突き止める。
またフグによる食中毒が起こり、口にした役人は昏睡状態となり事件解決のため、猫猫は調査を始める。
故意の可能性も十分あるためである。
一方、壬氏のもとには軍部の高官で変人と名高い羅漢という男が訪れる。
死んだ男の遺言について頭の回る下女に調べてもらえないかという。
もちろんその下女は猫猫のことであり、羅漢にとって彼女は特別な存在だったのである。
立て続けに様々な事件が起こり、偶然がいくつも重なればそれは必然となる...。
そこにはある人物の思惑が隠されていた。
シリーズ第2弾。
今作でも薬師の猫猫が大活躍する。
自分に毒を試すのが趣味で、痛覚に対し鈍い猫猫。
相変わらず危険な香りが漂うが、事件を次々と解決していく宮廷ミステリーだ。
心の声の模写がとても面白く、壬氏との絶妙な関係が何とも言えずに作品の良い味となっている。
人気が頷ける作品である。