三輪 清宗 (著),5pb.×ニトロプラス (原著)
Steins;Gate 1.STEINS;GATE 蝶翼のダイバージェンス:Reverse
2.Steins;Gate 形而上のネクローシス:Reverse
3.STEINS;GATE 3 境界面上のシュタインズ・ゲート:Reverth
この作品は牧瀬紅莉栖の一人称にて語られている。
アメリカの大学で若干18歳ながら脳科学者として天才少女の名を博する紅莉栖。
彼女の父はタイムマシン研究にすべてを捧げる科学者であった。
子供の頃に別れて以来会っていなかった父からタイムマシン開発成功記者会見への招待状が届く。
タイムマシンをトンデモ科学と嫌う紅莉栖であるが、父に会いたい思いで日本へ帰国する。
そして秋葉原を訪れ、会見場へと向かうのだが、そこで出会ったのは白衣をまとった岡部林太郎であった。
岡部は紅莉栖に対し刺されて死んだはずだと喚く。
何を言っているのか理解できない紅莉栖。 だが心の奥底でこの男を知っているような違和感を覚えていた。
そしてそれは現実に起こってしまう。 紅莉栖は刺されて倒れてしまう。
意識を失い、次に目を覚ました時は自身のホテルのベッドの上であり、苦痛と悲しみを伴っていた。
腹部にある違和感…だが起こった事は覚えていなかった。 これは紅莉栖が知らない世界戦へと移動したためだった。
その後岡部の元を訪ね、未来ガジェット研究所にてラボのメンバーと共に時間をさかのぼることができるDメールの研究と実験を重ねていくことになる。
少しずつ明らかになっていく謎とともに紅莉栖の心境も変化していく。
最初は岡部をただの中二病だと思っていたが、次第にそれはペルソナであることに気づく。
普段の言動の裏の素の優しさを知り、紅莉栖は岡部に惚れていたのだ。
だが岡部の異変に気づく。
記憶を過去に飛ばせるタイムリープマシンを開発していた彼らであったが、岡部はすでに何度もタイムリープを繰り返していたのだ。
岡部は記憶が消えないリーディングシュタイナーと言う能力を持ち、いくつもの世界戦の記憶を持っていた。
そして苦しい決断を迫られる岡部。そして紅莉栖の思いとは…
この作品はアニメや他の小説(煙管連鎖のウロボロス)と基本的なストーリー展開は同じだが、紅莉栖視点で描かれているので、また違った楽しみ方ができる。
1ではDメールを開発し過去にメールを送るシーンが描かれており、前半は紅莉栖の父に対する思いが描かれており、後半は科学者としての本能とでもいおうか、実験や研究を重ねる姿心理等がよくわかるように描かれている。
やはり面白いのは岡部と紅莉栖のやりとりだろう。 常に紅莉栖は岡部に対し、突っ込んでいる感じである。
2では紅莉栖の恋心、好きな人の力になりたいと言う想い、父へのトラウマ等、天才科学者とは言え、18歳の少女の心の葛藤がうまく描かれている。
そして3では追加シーンとして恵比寿の脳内シーンとでも言うのだろう、シュタインズゲートにたどり着くまでのシーンが描かれている。
岡部の視点とは違った恵比寿ならではのストーリー展開に充分楽しめる作品であろう。