音乃木坂図書室 司書
それから1時間後。
A-RISEのライブも終了し、駿女ライブ大盛況にて終了した。
μ‘s、A– RISEを始め、多くのアイドルが出演し、TVの生配信もありアイドル業界の人やメディアも多く駆けつけた。
ライブは誰もが満足のいくものだったであろう。
時刻は7時になる頃、ライブを終えたA– RISEの3人はμ‘sの控え室へと向かっていた。
控え室に着いて、ツバサはドアをノックして中に入ろうとドアを開けたが、すぐに踵を返しドアを閉じた。
そんなツバサを見て、あんじゅが尋ねた。
「どうしたのツバサ?」「全力でやり切ったみたいね。フフフッ…さっ、行こっ」 ツバサの言葉の意味をあんじゅも英玲奈も悟ったらしく、笑顔で小さく頷きA– RISEの3人はμ‘sの控え室を後にした。
μ‘sの控え室内…そこには仲良く寄り添って寝ている9人の姿があった。
全員笑顔のような寝顔である。炎天下の中でのライブで体力の消耗が激しかったのだろう。またそれ以上に全力でやり切ったと言う証拠である。
思えばこの2週間は彼女たちにとってはかなりハードであった。
先輩の3人はもう卒業して音乃木坂にはいない。
しかしμ‘sとして再び活動を始め、ライブに向けて9人全員で集まって練習をしなければならない。
それは想像以上に大変なことだった。
それぞれ学校の終わる時間も違う。
音乃木坂の6人はスクールアイドルとしての練習もある。
絵里とにこはBiBiもある。
希とにこはアルバイトもしている。
そんな限られた時間の中で、全員が集まるのは大変だった。
だが誰1人文句を言わず、今日のライブの為、そしてμ‘sラストライブに向けてやってきたのである。その嬉しそうな寝顔が全てを物語っていた。
すべてはこの時のため。最高の瞬間をみんなで共有するために… μ‘sとしての活動は残すところ、ラブライブアキバドーム大会のみである。
そしてそれから30分後…一本の電話の着信音により目を覚ました9人。
穂乃果が言う。「えっ、打ち上げ?」
「うん、ママが準備してくれるって」 真姫が言った。
電話の内容はこの後打ち上げをすると言う真姫の母からのものであった。
ことりが問い掛ける。 「でも打ち上げってどこでやるの真姫ちゃん?」
「私の家だって。みんなのママとかも来るみたい。地下なら20人ぐらい入れるからって」
その言葉に全員驚いていた。
西木野家はお金持ちで家も広い。
地下にはシアタールームがあり、BiBiの3人もよく練習をしている位である。
最近では防音設備の整った地下スタジオと化しているが、そこで打ち上げをしてくれると言うのだ。
西木野家には専属のシェフがおり、打ち上げの準備を進めてくれていると言う。
改めて皆が西木野家は凄いと感じていた。
そして…しばらく後、西木野邸にて打ち上げがスタートした。
「かんぱーい!お疲れ様でした!」全員で声を揃えて乾杯する。
μ‘sの9人のほかに、用事があって来れなかった人を除き、皆の母たちも参加している。
その総数その数総勢20名以上…それでも余裕のある西木野家は別格である。
用意された豪華な料理の数々に全員が喜びの声を上げている。
さすがはシェフがいるだけあり、ビュッフェ形式の料理に穂乃果と花陽のテンションはすごかった。
それにメンバーの好物、チーズケーキチョコ、白米、ラーメン等々もあり全員が喜んでいる。
Μ‘sのメンバー9人の母同士もいつしか仲良くなっていて、大人は皆お酒と共に宴を楽しんでいた。
もともと真姫とことりの母は同級生だし、同じく穂乃果と海未の母も同級生であり、何かと音乃木坂とは関わりが深いのである。
話題は今日のライブの事、μ‘sの懐かしい話、ラブライブの事、1年生ユニットの事などつきる事はなかった。
あっという間に楽しい時間は過ぎていった。
打ち上げを終えて解散となった後、μ‘sのメンバーはそのまま真姫の部屋へと移動していた。部屋に入るなり凛が言う。
「真姫ちゃんの部屋初めて入ったにゃぁ。とゆうか広っ…」
「そう?普通じゃない?」と言う真姫であるが普通ではない。
相当部屋は広く、9人いても余裕だし、ベッドはキングサイズ位の大きさだし、大きなテレビにパソコン、音楽関係の機材に、本棚にある大量の本…やはり別格である。
BiBiの絵里やにこ、同級生の凛と花陽も、真姫の家に来る事はあるが、部屋に入るのは初めてだった。
普段は地下ルームか広いリビングで皆とくつろぐことが多い真姫なのだ。
その理由を何人かは部屋に来て察していた。
にこは部屋の片隅に飾られた写真立てを見つけて真姫に絡む。
「ンフフフ…真姫あんたもかわいいところあるじゃないの」
そう、きっとそれを見られるのが恥ずかしかったのだろう。
そこにはμ‘s 9人での写真、2年生3人での写真、BiBi 3人での写真、そしてにことツーショットの写真が飾られていた。
にこの指摘に真姫は顔を赤らめて言う。
「ちょっ…にこちゃん!みんなも勝手に見ないでよ!」
花陽が苦笑いしながら言う。
「勝手に見ないでって、飾ってあったら見ちゃうよ真姫ちゃん」
そう言うと花陽を始め、みんながクスクスと笑っていた。
「もう…しまっておけばよかった…」
「本当に真姫ってば素直じゃないわねぇ」にこがそう言うと、恥ずかしそうに頬を膨らます真姫であった。
そんななごやかな雰囲気の中で穂乃果は言った。
「真姫ちゃん、今日はありがとうね。ママにも改めてお礼言っておいてね。それにいつも本当にありがとう」
穂乃果は真姫に感謝していた。
いつも真姫が協力してくれるから合宿も練習もできる。
しかもμ‘sのすべての曲を作ってくれてこうして打ち上げもやってくれて…本当に良い友人に巡り会えたらなと思っていた。
その思いは他のメンバーも同様であった。
「別にいいよ。そんなの気にしないで」
髪を右手人差し指でくるくると巻きながら真姫は言った。
穂乃果は笑顔でうなずき、今度は全員に向かっていった。
「これで残すはアキバドームでのライブだけどね。あと少しだけど、最後まで9人で全力で楽しもうね!」
μ‘sファイナルライブまであと少し…
μ‘sの9人として活動するのは本当にあと少しである。
9人それぞれが思いを胸に、残りも全力で楽しむだけである。
すべては最高の瞬間のために… 最後まで笑顔で楽しも。
それがμ‘sだから…
こうしてμ‘sの長い1日は終わった。
続く