スティーヴン・キング (著), 白石 朗 (翻訳)
退職刑事のビル・ホッジズ。
現役時代は多くの事件を解決してきた名刑事だったが、定年間際に負っていた事件の未解決に終わり、退職後は目的もなく生きており鬱前とした日々を過ごしていた。
その事件とは就職フェアの会場で、街並んでいる人々に突如霧の中から現れたグレーのメルセデスが突っ込んだ無差別テロだった。
この事件で子供を含む男女8名が命を奪われ、犯人は捕まることなく未解決となっていた。
ある日、ホッジズのもとに差出人不明の手紙が届く。
その手紙の差出人はメルセデス・キラーと呼ばれる未解決事件の犯人からであった。
内部情報も知っており、挑戦状かのような手紙にホッジズは現役時代の熱を取り戻し、メルセデス・キラーを捕まえるため調査を開始する。
犯行に使われたメルセデスは盗難車であり、持ち主であった女性はバッシングを受けて自殺していた。
メルセデス・キラーであるプレイディの目的はホッジズを自殺に追い込む事だった。
ホッジズは盗難車の持ち主である女性の妹と調査の過程で何かを深めていくが、ホッジズを狙った爆弾で命を落としてしまう。そうでことごとく自分の計画通りにいかないプレイでは新たに大量殺人テロを計画する。
ホッジズは協力者とともにプレイディを追っていく…
スティーブン・キングによるミステリー作品である。
この作品は物語のかなり早い段階で犯人も登場し、それぞれの視点により心理戦が繰り広げられていく。
正体を知るのは犯人側だけだが、プレイでは決して天才ではなく、自身の計画の失敗にいらだったり、逆上をしたりと言う心理状態から、生い立ちや日常についても細かく模写されていて、犯人像はとてもイメージしやすい。
ホッジズも名刑事ではあったが、決して1人で全て解決できるわけでなく、友人の高校生や心に病を抱えた女性と共にメルセデス・キラーを追っていくところが物語の見所であろう。
チャットで互いを煽りあったりするシーンも2人の心情が見れてとても面白い。
さすがキングの作品だけあり、読み応え十分な作品である。