その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-011小さなころから④ (73)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-011小さなころから④ (73)

音乃木坂図書室 司書

翌日のこと。

いつも通り授業を終えてからスクールアイドルで練習に励むμ‘sicforeverの面々。

すでに曲も何曲が完成しておりPV撮影や短いライブであれば、今すぐにでも出れるような状況である。

もともとμ‘sとして活動していた6人なだけあり、全体の振り付けであったりは昔からμ‘sicforeverとして活動しているかのように息もぴったりと合っており、さすがといったところであろう。

そんな彼女たち、この日の練習を終えて部室でワイワイ盛り上がっている中で、そそくさと着替えて帰り支度をする海未の姿があった。

「ねぇ、この後みんなでハンバーガー食べに行こうよ!」と言うのは穂乃果である。

「穂乃果は本当に食べることばっかりね。太っても知らないわよ。でもまぁ今日は暇だし付き合ってあげる」真姫が言った。

他のメンバーも乗り気である海未を除いては…

そんな海未に気づいた穂乃果が声をかける。「海ちゃんもハンバーガー行かない…?」

いつもの海未であれば食欲ばかりの穂乃果に対し、ここでまた説教が始まっていただろう。

練習の合間にお菓子を食べて、練習後にファーストフードで間食して、かつ帰宅後に夕飯も食べる穂乃果に食べ過ぎだと言っていたはずである。

だが…「すいません、今日はこの後、帰ったら弓道の練習がありますので…また誘って下さい穂乃果。それでは私は先に失礼します」

そう言い残して海未は一足早く帰路についた。

それを見ていたことりが、皆に説明するように言った。

「海未ちゃんはスクールアイドル部と掛け持ちで弓道部にも入っているし、7月には都大会もあるから少し忙しいかもね」

もともと海未は音乃木坂に入学した当初から弓道部に入っていた。

そこに半ば無理やりにも近い、穂乃果の強引な誘いによって、掛け持ちでスクールアイドルを始めたのである。

「あぁ、そっか。そういえば海未ちゃんは弓道部もあるんだったね。しょうがないね、今日は5人で行こう」

そう言って穂乃果を気にすることもなく学校を後にした。

それから2日後…昼休みの屋上にて。音乃木坂に入学して以来穂乃果と海未とことりの3人は冬と天気の悪い日以外は屋上にて昼食をとるのが日課であった。

「穂乃果、ことり、お待たせしました」

穂乃果とことりにだいぶ遅れて海未が屋上へとやってきた。

「海未ちゃん遅いよー、もうご飯食べ終わっちゃったよー」といった穂乃果はパンをほおばっている。

穂乃果にとってご飯とはお弁当のことでありパンはご飯では無いらしい。

さすが穂乃果である。

「すいません、生徒会で提出しないといけない書類をまとめるのに、手間取ってしまいまして…と言うより、それそもそもそれは生徒会長である穂乃果の仕事のはずなんですけどね」

「…それは…ごめんなさい…ありがと海未ちゃん」

「まぁそれはいつもの事ですので別にいいですよ」

「海未ちゃんがいてくれてよかったあぁ」

「もう少ししっかりしてください穂乃果。私も忙しいので」

海未の口から出た忙しいと言う言葉…

この言葉が海未の現状を物語っていた。

ことりはきっと全てを理解していたのだろう。

昼食をとり終えた海未が穂乃果に行った。

「穂乃果、先日誘っていただいた新しいユニットの件ですが…申し訳ございません。今回は遠慮させてください」

「えっ…!?」 思わず驚きの声を上げる穂乃果。

まさか海未に断られるとは思ってもいなかったのだ。

μ‘sを始めた当初も、最初は嫌だと言って断っていた海未であったが、最終的には自分から進んでスクールアイドルをやってくれた海未。

今回も穂乃果は一緒にやってくれると思っていた。

しかし今回ばかりは事情が違っていた。

「私もできればやりたいと思いました。穂乃果に誘ってもらってうれしかったです。

穂乃果とことりとのユニット…

μ‘sを3人で始めた頃のことを思い出して私も2人と一緒にやりたいと思いました。

でも…今の私にはμ‘sicforeverとしての活動があり、μ‘sの復活もあり…なおかつ弓道部の活動もあり、生徒会もある…

これ以上、今の私に新しいことを始める余裕がございません。

穂乃果の期待に答えられなくて申し訳ございませ…」

そう言ってうつむく海未。

今まで穂乃果に誘われたり、頼まれたりすると、嫌だとか無理だとか言いつつも、なんだかんだでこなしてきた海未であるが、今回ばかりは自分の意思を通して断ったのである。

これは海未にとっても簡単に決められることではなかったであろうし、実際に相当悩んだであろうことが容易に想像がつく。

いつの日だった日のにこの言葉ではないが、今これを受け入れたとしたら中途半端になってしまうのは日を見るよりも明らかであろう。

穂乃果とことりに迷惑をかけてしまう可能性も高いし、何よりそんな状況になってしまったら自分が許せないから…

そんな断腸の思いで今回海未は断ったのだ。

少々暗い雰囲気になりつつある場の空気を遮るように穂乃果が口を開く。

「そっか、私の方こそごめんね。海未ちゃんの都合全然考えていなかった。

これじゃ昔と何も変わってないね。周りが見えてなくて、これじゃあの頃のままだよ…

ユニットの事は気にしないで。私が海未ちゃんとスクールアイドルを一緒にやれるだけで嬉しいもん。海未ちゃん、いつもありがとう」

「穂乃果…」

明るい口調で穂乃果が言った。

あの頃とはちょうど1年位前のことである。

学園祭のライブに向けてラブライブに夢中になりすぎて周囲が全然見えなくて、1人で突き進んでしまって…その結果はもう言うまでもないだろう。

今回は海未に言われたからではあるが、すぐに自分でも築けたと言う事は、少なからずとも穂乃果も成長していると言うことである。

穂乃果は続ける。

「弓道部は7月に最後の大会だよね。いや…海未ちゃんならその後の全国大会だって行けるよ。私とことりちゃんも応援してるから頑張ってね!」

穂乃果の言葉に目元に熱いものを感じる海であった。

「穂乃果…ありがとうございます…」

海未は笑顔を見せる。

そして穂乃果とことりに対して同時に両手で包み込むように抱きつく。

小さい頃からの友情は今も何一つ変わってない。

そしてこの先もずっと変わる事は無い。

そう思わせる仲の良い3人の姿がそこにはあった。

続く

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