暁 佳奈(著)
その少女は化け物だった。
ディードフリート・ブーゲンビリアが恐れるほどの殺戮マシンであった少女は、ギルベルト少佐と出会い変わってゆく。
これは初めて愛と言うものを知り、人となった少女の物語であるー
自動手記人形としてナンバーワンの人気となったバイオレット。
ギルベルトとの再会後、少しずつであるが、恋人と言う関係を育んでいた。
バイオレットは仕事で行く先々で、多くの人の心を動かしていた。
たくさんの人と出会い、関わることでバイオレットは学び、人としての感情を身に付けて行く。
だがそれと同時に自分が弱くなってしまったとバイオレットは感じていた。
お互いに多忙で会えない日々。
その中で唯一の安らぎは手紙のやりとりだった。
C・H郵便社も事業の拡大をするため、支店を設けてベネディクトを社長にするなどの人事異動もあり、慌ただしい日々であった。
周囲の変化にC・H郵便社創立時のメンバーは、少なからず寂しさを覚えていた。
そんなある時、バイオレットは仕事で西の街へ行く。
いつもならバイオレットから手紙が来るのに来ない。
心配になったギルベルトはC・H郵便社を訪れる。
すでに仕事の任期は終えているが、諸事情によりバイオレットは戻っていなかった。
不安になったギルベルトは西の街へと向かう。
一方、西の街にいるバイオレットは、夢追い人の街であるこの街で、歌手になりたい少女と出会っていたのであった…
シリーズ最終巻。
本当に素晴らしい物語だったと思う
今作ではディードフリートとバイオレットの出会いや、再会した2人の関係も描かれている。
貧困や生まれの違いで差はあれど、バイオレットを通して生きることや、世界の美しさと言うことが痛い位に伝わってきて涙が出そうになることが多々あった。
作者の暁さんも言っているけど、それでも生きると言うこと、生きていくと言う意味を考えさせられて、こんな世知辛い時代で、こんな世の中でも、生きていればきっと良いことがあるって言う、そういう力を与えてくれる作品だと思う。
素敵な作品に出会えたことに感謝したい。