安里 アサト (著)
ギアーテ連邦、第86機動打撃群の次の戦場は隣国のロア=グレキア連合王国であった。
殺戮機械であるレギオンがシンに告げた”探しに来なさい”という言葉... その真意を、レギオン開発者ゼレーネの足跡を追って、連合王国へと向かう。
目標はレギオン指揮官機、無慈悲な女王の鹵獲である。
また、これは連邦から連合王国への事実上の救援でもあった。
連合王国の指揮官は18歳という若さで異能の血統、イディナローク王室の王子、ヴィークトルである。
ヴィークトルと対面したシンは、その側近であるレルヒェという少女に驚きを覚える。
その少女からはレギオンと同じ、死者の声が聞こえるのだった。
その正体は死者の脳から作られた人造妖精<シリン>であり、連合王国の半自立戦闘機<アスカノスト>の制御コアユニットであった。
つまり86は人間ではないから... 人型をした家畜だから86が乗っていても有人機ではなく無人機であるという共和国の発想と同じものであった。
こうして雪山の厳しい環境の中、連邦と連合王国の共同戦線は進んでいく...
86の第5弾、連合王国編。
今作はレギオンとの戦闘シーンが多いが、聞きなれない言葉も多いので少々読みづらいかもしれない。
内容も生や死、人間とは何かを問うようなやや重たいもので、好き嫌いが分かれれだろう。
そんな中でアンジュがダスティンと雪山で罠にかかり、遭難してしまうシーンはもっとページ数をかけて展開してほしかった。
あっさりと救助されてしまい、命がけの戦争の中でも恋心が芽生える若者のシーンとして、もう少し緩いシーンが多くてもいいのになと思う。
ただ、どんどん進化していくレギオンや、少しずつ見えてきたレギオンを指揮する存在等、ストーリーとしてはとても面白く、今後の展開がさらに楽しみである。