音乃木坂図書室 司書
会場では大きなアンコールが鳴り響き続けていた。
μ'sのライブが終わり、会場には再び明かりが灯され、ライブ前と同様に軽やかなサウンドが流れている。
だが、そんなサウンドをかき消すかのように大きなアンコールの声。
するとそのSOUNDが止み、会場の照明が再度落とされ、ステージが鮮やかに照らされた。
それと同時にアンコールの声が大歓声へと変わる。
待ってましたと言わんばかりの大歓声とともに、会場中が9色のサイリウムの色彩で埋め尽くされて波のように揺れ動く。
「終わらないパーティー、始めよー!」
会場に響き渡った真姫の声。
さらに大きくなる歓声。
そして曲が流れ始めるのと同時に、9人が再びステージに現れた。
正面ステージには、にこ、希、ことり、海未、花陽、凛の6人が、アリーナ中央の下のステージには絵里、穂乃果、真姫の3人が登場し、
われんばかりの歓声の中、アンコールライブはスタートした。
MUSIC START/詞
この曲は真姫をセンターに起用した曲であり、とてもμ'sらしく明るく楽しい曲で、つい一緒に踊ってしまいたくなるような曲である。
実際に会場と一体となれるような曲、と言うコンセプトで真姫は作曲しており、振り付けも簡単で、多くの人が曲を口ずさみながらμ'sとともに踊っていた。
μ'sの9人は入れ替わるようにポジションを変え、正面ステージ、中央ステージ渡し通路を行ったり来たりして、会場と1つとなりパフォーマンスを披露する。
この曲はPVの中でメンバーがパジャマ姿でじゃれあう姿がかわいいと評判となり、人気のある曲であった。
そしてさらに、そのまま第2回ラブライブにて優勝を飾った曲、kira-kira-Sensationへと続き、一気に2曲を披露した。
「皆さん、アンコールありがとうございます!みんなが応援してくれるから、μ's、また出て来ちゃいました!」
穂乃果が大きな声で言うと、それに応えるように大歓声が9人に注がれる。
「ずっとこうして続けていたいけど、あと2曲で最後です。まずは私たちμ'sの最初の曲を聴いてください」
穂乃果がそう言うと、会場にはSTART DASHが流れ始めた。
この曲はμ'sの最初の曲、穂乃果、海未、ことりの3人でμ'sをスタートした最初の曲である。
この曲があったからμ'sは9人となった。
いろいろな意味で大切な曲だった。
それはμ'sの9人にだけではなく、μ'sに関わった人全て、μ'sのファンの人すべてにとって大切な曲なのだ。
だがそれはこの曲だけではない。
多くの曲がμ'sにとって、さんにとって大切な曲だった。
すべての曲にその時の思い、その曲に対する思いが込められているのだから…
μ's最後の曲、僕たちは1つの光から始まったライブは、アンコールでμ's最初の曲へと続き、そして…
「皆さん、今日は本当にありがとうございました」
START DASHを終えて、穂乃果は会場へ向けて行った。
会場からはメンバーの名を呼ぶ声援が後を絶たない。
穂乃果は続ける。「楽しい時間っていうのはあっという間ですね。
楽しかったライブもあと1曲…私たちμ'sのライブは次の曲が最後となります」
すると会場からは惜しむ声が多数上がる。
この時間を終わらせたくない、もっとμ'sを見ていたい…
そんな思いの声である。
しかしずっと続けるわけにはいかない。
どんなものでも始まりがあって、終わりがある…
それは仕方のないことなのだ。
それは誰もがわかっている。
穂乃果は何度も会場へ向けてありがとうと言いながら頭を下げた。同じく他のメンバーも同様に…
気のせいか穂乃果の声が少し震えているかのように聞こえた。
きっと感情が高まっているのだろう。
次の曲でμ'sは本当に最後だから…
他のメンバーの目元も潤んでいる。
最後の曲を前に、μ'sのメンバーだけでなく、会場の多くの人も涙が出そうになっていた。
穂乃果は気持ちを抑えるかのように胸に手を当てて声を出した。
「それでは私たちμ's最後のライブの最後の曲になります。聞いてください。Love& peace
このLove & Peaceはμ'sの卒業とも言える曲である。本当ならこの曲がμ's最後の曲になるはずであった。
しかし再びμ'sをやることになって、僕たちは1つの光モメントリングと言う素晴らしい曲が生まれただからμ'sにとって最後の曲と言う意味ではこの曲がぴったりかもしれない。
この曲を聴いて会場の多くの人が涙を流している。
これほど、1つの曲で人の心を揺さぶる曲…美しくて切なくて哀愁漂う曲…
それだけμ'sのそして真姫の曲の良さと言うのは突出していた。
μ's最後の曲、そして本当に最後のライブ…
まだ曲の途中であるが、μ'sのメンバーも涙を隠せなかった。
泣くのはライブが終わってから…そう皆が心に決めていた。
しかし、今日のライブ開始とともに真姫が、それに釣られるように凛と花陽が涙を流した。
そして最後の曲となったLove & Peaceを歌いながら、他のメンバーも感情を抑えることができなかったのだろう。
我慢していたのが、一気に溢れ出たかのように涙を流していた。
大粒の涙を見せながら歌うにこ。
そのにこにもたれかかるようにして真姫は大号泣であった。
真姫にとってはもうまともに歌えない位だった。
凛と花陽、絵里と希、海未とことりもお互いを支え合うような形で歌いながら、涙が頬を伝っている。
しかしそんな中で唯一1人ただ1人、μ'sの海の親でありたいμ'sのリーダーである穂乃果だけは涙を流すことなく、最後まで笑顔で歌っていた。
最後の曲Love & Peaceを終えた9人。
会場からは温かい拍手が最後たたえる歌のように9人9人へと注がれている。
会場はμ's一色となっているが、第3回ラブライブの舞台である。
プロアイドルのA– RISEもゲストとして出演した。
だがそれを忘れたかのように、今この場で全ての人がμ'sに対して大きな三次を送っている。
そして名残を惜しむかのような歓声と拍手の嵐…
アキバドーム全体がμ'sでいっぱいであった。
そして穂乃果は満面の笑みで会場へ向けて言った。
「今までたくさんの応援をしてくれて、本当にありがとうございました!」
会場に向けて深々と礼をする穂乃果。それに反応するように8人もそれぞれ“ありがとうございました“と言って0をする。
そして最後に全員で手をつなぎ声を揃えて再度0をした。
「ありがとうございました!」
μ'sラストライブ…最高のフィナーレだろう。
誰もが楽しみ、そしてずっと心に残るようなライブであった。
μ'sはこれで活動に終止符を打つ。
しかしみんなの心の中からμ'sが消えることはない。これからも…これこの先もずっと…ステージ裏に戻ってくる人。
穂乃果の周りに8人が集まり、そのまま全員が穂乃果に抱きついた。全員がもう涙が止まらなかった。
穂乃果がいたから、穂乃果に出会えたからこそ私たちはこうしてここにいる…
全員が穂乃果に心から感謝していた。
みんなに囲まれて抱きつかれた穂乃果は満面の笑みで言った。
「μ's…最後までやりきったよ…みんなありがとう…」
ライブ中はずっと笑顔だった。最後まで穂乃果が穂乃果だけは笑顔だった。
でも…それを必死に耐えていただけなのだろう…
最後に穂乃果は皆にありがとうと言った。それと同時に大粒の涙が穂乃果の頬を伝った。
続く