音乃木坂図書室 司書
札幌大通公園で、こっそりと飲酒を楽しんだ3人
(全然こっそりじゃないし、むしろ堂々と言ったほうが正しいが…)気づけばすでに夕方になっていた。
お酒が入ったせいもあり、3人の女子トークは止まらなかった。
ビアガーデンを後にする3人
絵里が言う。
「希、あなたまさかお酒が好きだったなんて、びっくりしたよ」
「ンフフッ、バレちゃったね。でもそういうえりちもやろう?」
「うん、まぁね。それにツバサもだよね?」
ツバサは楽しそうに絵里と希の少し前をスキップしながら歩いていた。
そして振り向いて2人に言う。
「もちろん!ねぇ、次はススキノにある有名なジンギスカンのお店で、ビール飲もうよ!」
飲む気満々である。
だが、それほどツバサにとって、今この時間が充実していて楽しいのだろう。
決して見せる事はないが、自分で選んだとは言え、プロのアイドルと学業の両立は苦労も多いだろう。
しかし、そんなことは微塵も感じさせないぐらいツバサは明るかった。
そんなツバサといるだけで、絵里と希も自然と笑顔になるのであった。
その後、ジンギスカンのお店で飲んだり、〆のパフェを食べに行ったりと初日の札幌を満喫した3人は、21時過ぎにホテルへと戻る。
飛行機、電車と長旅で疲れているかと思いきや、女子3人の夜はまだまだ終わらなかった。
「風呂上がったでー、次どうぞ」
バスタオルで髪を拭きながら風呂から上がってきた希にツバサが絡み付く。
「ねぇ希、なんでそんなに胸大きいの!?ていうか、こんな巨乳なのに、ウェストは細いし、腕も足も細いし、うらやましいじゃないのよ!」
酔っ払いが絡むようにツバサが言った。
現に酔っ払いである。
机の上にはお酒の缶が何本か空いている。
希は困った表情を浮かべる。
μ'sのメンバーからもそうであったが、初めて一緒にお風呂に入ったりすると、大体いつも言われることだった。
「しゃーないなぁ、ツバサの胸もうちが大きくしてあげようか?」
「えっ、そんなことできるの!?うん、お願い希!!」
「フフフ…任せておいて!じゃぁ後ろ向いて」
ツバサは希に言われるがままに背を向ける。
そして…「いくでー!東條希流奥義!ワシワシマックス・快や!」と言って、希は背後からツバサの胸を両手で鷲掴みにする。
一体どれだけのバリエーションをこの技は持っているのだろうか…
「キャー、イヤー!アハハハハハー!キャー!」
希の攻撃に叫び声と笑い声をあげるツバサ、
希ともあろうものが相手がツバサという事を失念してしまっていた。
ツバサにはワシワシマックスが効かないと言うことを…。
そんなツバサの叫び声は、入浴中の絵里にも聞こえたらしく、何事かと出てくる。
「どうしたのツバサ!大丈夫…?って…」
絵里の目の前には胸を揉みあう半裸の希とツバサの姿が…
「はぁ…あなた達は何してるのよ…」
「絵里もなんでそんなスタイル良いの!ずるいっ!」
「何よそれ…叫び声あげて驚かさないでよ…」
絵里は踵を返して風呂に戻っていった。
「希!なんだか少し大きくなった気がする。!」
綺羅ツバサ、大きな勘違いである。
「でしょう!?うちがどれだけμ‘sメンバーの胸を育ててきたと思っとるん?これでツバサも安心やね」
東條希、大きな勘違いである。
それに安心の意味もわからない。
こうしてこの日の夜はまだまだ続き、女子トークは深夜にまで続いたのであった。
翌日早朝7時過ぎ…
この日も快晴で、札幌は朝から日差しが降り注いでいた。
「おはよう、起きて2人とも!準備して出かけるよ!」
前日は明け方4時ごろまで騒いでいたくせに、朝早くから普通に起きて、絵里と希を起こす姿は、まるで穂乃果のようである。
「ううっ…まだ眠い…」
「ツバサはまるでどこかの誰かさんね…」、
北海道旅行2日目の予定は、小樽を観光し、夕方に札幌に戻り、ツバサの友人のアイドルライブを見に行く予定である。
ツバサにたたき起こされて、3人はホテルの朝食バイキングへ。
しかし、寝起きで変装していないので、ツバサは正体がばれてしまっていた。
同じく絵里と希もである。
変装どころか、化粧もしてないが、元が良いので、すっぴんでも充分かわいい3人であった。
正体がバレてもツバサは慣れており、全く気にしていない。
ツバサの性格なのだろう、騒がれても特に気にせず、かといって、サインや写真を求められれば、笑顔で気さくに応じている。
大人気アイドルだが、変に飾らず、常に自然体でいる。
これがツバサの人気の理由の1つなのだろうと思う絵里と希だった。
2日目、ホテルを後にし、電車で小樽へ向かう3人。
ツバサは昨日も今日もずっと移動中はグミを食べている。
とゆうか、ツバサは何かをしている時以外は、しゃべるかグミを食べるかであり、希は気になっていた。
いったいどのくらいグミを常備しているのだろうと…。
今はハリボグミのコーラ味とフルーツ味がお気に入りらしいが、基本的に歯ごたえのあるハードグミが好みだそう。
希はツバサのバックの中身を見せてもらう。
スマホに財布、少量のメイク用品、そして大量のハリボグミ…バッグの中身の大半がグミだった。
こんなに暑いのに溶けないのかと希は思うのと同時に、女子の荷物とは思えないでいた。
「ツバサはスピリチュアルやねぇ…」、
思わず意味のわからないことを希はつぶやいていた。
そしてそうこうしている間に小樽に到着。
小樽と言えばやはり海鮮、そして小樽運河が有名だろう。
数多くの海鮮店が並び、多くの観光客で賑わっている。
「ここテレビで見たことある!写真撮ろう!」
小樽運河の前ではしゃぐツバサ。さらに…
「あっ、小樽ビールのお店だって!行こっ!」、
前日に続き、ビールに反応していた。
そして、新鮮な海の幸を堪能し、観光を楽しんだ3人は夕方に札幌へと戻った。
戻ってまず向かったのはレンタカーのお店だ。
実は希、音乃木坂在学中にこっそり車の免許をとっていたのだ。
なので、3日目以降は車で移動予定で、車をレンタカーしたのだ。
三日間のレンタルだが、早割と学割で三日間で13,000円と格安で、返却も他の営業所で可とコスト的にもサービスも充実していた。
「この車かわいい、水色でおしゃれ」
「だね。車内も広いし、これなら快適やね」
「でも車どこに置いとくの?」
「その辺のパーキングでいいんじゃない?夜なら安いし、ツバサがお金たくさん持ってるし」
「オーケー、それぐらい私が出してあげるわ。それより私ビール飲みたいんだけど」
昨日から飲んでばかりである。
この後3人は車をパーキングに停めて、ツバサの友人のライブへと向かった。
北海道2日目もこうして過ぎていった。