オースン スコット カード (著), 田中 一江 (翻訳)
エンダーが死者の代弁者となり、植民惑星のルジタニアにやってきて30年。
エンダーは代弁を依頼してきたリベイラー家の母、ノヴィーニャと結婚しルジタニアにて暮らしていた。
だがこのルジタニアには危機が迫っていた。ジスコラダ病と言う病の元である、デスコラーダ・ウィルスの存在である。
デスコラーダ・ウィルスは、人類にとっては恐ろしいものであり、ウィルスを恐れるスターウェイズ議会は、ルジタニアもろともほろぼさんと粛清艦隊を送り出す。
その一方で惑星トロンヘイムから、エンダーの姉のバレンタインが家族とともにやってきていた。
ルシタニアでは先住民族のピギー族、人間、エンダーが持ち込んだ窩巣(ハイヴ)女王によるバーガーと、3種属が共生していた。
窩巣女王はスターシップを作り、ピギー族へ与え、ルジタニア脱出を計画し、人類はウィルスに対抗するための研究を続けたりと、それぞれが互いに生き残る道を模索していた。
また、アンシブル通信のネットワークより生まれた知性体のジェーンにより、艦隊への妨害が成立するも、その結果、ジェーンは地震の消滅の危機にさらされてしまう。
そしてある事件がおきてしまう。
リベイラ家の次男で聖職者だったキンが暴走したピギーによってころされてしまう。
それが原因でルジタニアではさらなる混乱に陥ってしまう。
また中国系の植民星パスでは、神の声を聞くものが、スターウェイズ議会の以降により、再び活動を始めていた。
デモステネスの正体を暴くため、調査を始めたのだった。
それぞれの思惑の中、ルジタニア消滅の危機はどうなってしまうのであろうか...
エンダーのゲーム、死者の代弁者に続くエンダーシリーズの第3弾である。
物語は、中国系惑星のパスでハン・フェイツーの妻が無くなるところから始まる。
今作ではこのハン・フェイツーの家族、そしてルジタニアのリベイラー家の家族の絆やしがらみが物語に大きくかかわっている。
前作で体と言語に障害を負ってしまったリベイラ家の長男のミロと家族の関係であったり、次男のキンを失ってしまったノヴィーニャとエンダーの関係であったり、ハン・フェイツーとその娘で神子であるリー・リンジャオ、そしてその召使であるシー・ワンムの関係であったりと家族が重要な作品となっている。
またそれはピギー族やバガーといった違う種においても同様である。今作では前作より搭乗したコンピュータ生命体のジェーンの活躍が際立っている。
そして物語終盤には予想もしていない人物が 登場したり...ただし、今作ではかなり宗教的要素が強くなっていると感じる。
上巻は読んでいてあまり面白さを感じない部分もあるが、それは登場人物がみんな大人になり、エンダーもすでに初老の60代になったから...という事にしておこう。