ジョン・スコルジー (著), 内田 昌之 (翻訳)
かつてコロニー連合の技術屋として研究開発を担当していたハリー・ウィルソンは、現在Bチームと呼ばれる外交団の一員として、アブムウェル大使とシュミット副大使とともに、低レベルの外交任務に追われていた。
コロニー連合は危機に貧していた。
ジョン・ペリーの行動により、地球とコロニー連合の関係は断たれていた。
それは兵士と植民者の供給先を失ったことを意味しており、さらにコンクラーベ非加盟の200のエイリアン種族からの襲撃等を考えると、人類は30年で絶滅すると試算されていた。
絶滅を回避するには、外交交渉により他の種族を味方につけ、地球との関係を改善するしかない。
ウチェ族との外交を行う予定だったポーク号。
Aプラスと言う優先度の高い極秘任務を担当していた船が、痕跡を残さず消えてしまい、Bチームのハリー外交団にその役割が与えられた。
それとともにポーク号は何者かによって撃破されたと考え、ブラックボックスの回収をハリーに行わせるためだった。
それはCDFの兵士であるハリーにしかできない任務なのだ。
だが、その先に待ち構えていたのは、何者かによるCDFのミサイルによる攻撃であった。
ウチェ族との外交、そして人類の未来はどうなってしまうのか…
老人と宇宙シリーズ第5弾。
前作まではジョン・ペリー(4ではゾーイ)を主役とした物語であり、他の種族との激しい戦闘シーンも多かったが、今作はそのペリーによってもたらされたその後を描いている。
主に外交での物語構成のため、前作までと比べ、少々物静かな感じでストーリーは展開していくが、メインとして、老いぼれ団の一員であったハリー・ウィルスンが登場し、所々でユーモアのある姿が見られるのは、シリーズ読者には嬉しいところである。
いよいよ佳境を迎えつつあるシリーズ。
最後がどうなるか楽しみである。