地球に関係を断たれたコロニー連合

戦いの虚空 老人と宇宙5


戦いの虚空 老人と宇宙5

ジョン・スコルジー (著), 内田 昌之 (翻訳)

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ジョン・スコルジー著

 内田 昌之訳

かつてコロニー連合の技術屋として研究開発を担当していたハリー・ウィルソンは、現在Bチームと呼ばれる外交団の一員として、アブムウェル大使とシュミット副大使とともに、低レベルの外交任務に追われていた。

コロニー連合は危機に貧していた。

ジョン・ペリーの行動により、地球とコロニー連合の関係は断たれていた。

それは兵士と植民者の供給先を失ったことを意味しており、さらにコンクラーベ非加盟の200のエイリアン種族からの襲撃等を考えると、人類は30年で絶滅すると試算されていた。

絶滅を回避するには、外交交渉により他の種族を味方につけ、地球との関係を改善するしかない。

ウチェ族との外交を行う予定だったポーク号。

Aプラスと言う優先度の高い極秘任務を担当していた船が、痕跡を残さず消えてしまい、Bチームのハリー外交団にその役割が与えられた。

それとともにポーク号は何者かによって撃破されたと考え、ブラックボックスの回収をハリーに行わせるためだった。

それはCDFの兵士であるハリーにしかできない任務なのだ。

だが、その先に待ち構えていたのは、何者かによるCDFのミサイルによる攻撃であった。

ウチェ族との外交、そして人類の未来はどうなってしまうのか…

老人と宇宙シリーズ第5弾。

前作まではジョン・ペリー(4ではゾーイ)を主役とした物語であり、他の種族との激しい戦闘シーンも多かったが、今作はそのペリーによってもたらされたその後を描いている。

主に外交での物語構成のため、前作までと比べ、少々物静かな感じでストーリーは展開していくが、メインとして、老いぼれ団の一員であったハリー・ウィルスンが登場し、所々でユーモアのある姿が見られるのは、シリーズ読者には嬉しいところである。

いよいよ佳境を迎えつつあるシリーズ。

最後がどうなるか楽しみである。