その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-009 眩しいくらいに⑦(63)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-009 眩しいくらいに⑦(63)

音乃木坂図書室 司書

BiBiのライブは終了した。

だがライブはここからが本番である。

ステージにはA– RISEの3人が立っている。

BiBiのライブで暖まった会場はA– RISEの登場によって興奮の絶頂を迎えていた。

BiBiの時も多くの人が大きな歓声をあげてくれていた。

しかし今日この日、この場所での主役はBiBiではない。

ここはA– RISEのライブ会場なのだ。 やはりA– RISEの3人は別格であった。

プロデビューしてからの初ライブツアーにかかわらず、観客との一体感はBiBiの時とは比較にならないほどであり、大歓声が雨のようにステージ上の3人を包み込んでいる。

ステージ裏でライブを見つめる絵里とにこと真姫の3人。

自分たちのライブを終えてからまだ間もないこともありその表情には興奮が入り混じっている。

だがその瞳はまっすぐにA– RISEの3人に注がれていた。

BiBiの3人はものすごい充足感に充実感に満たされるのと同時に、物足りない、もっとライブをやりたいと言う思いであった。

それは間違いなく今、ステージで輝きを放つA– RISEの存在を目の当たりにしたからだろう。

プロになったA– RISEの3人の凄さと言うものを身をもって体感し、それに触発されるかのように体には震えるような、うずくような衝撃が走っていた。

約2時間半に渡ったA– RISEのライブを、3人はステージ裏でほとんど言葉を交わすことなく立ったまま見続けていた…

ライブ終了後の控え室にて A– RISEのライブも終わり、BiBiの3人は控え室に戻っていた。

椅子に座って3人は真剣な面持ちで話し合っている。

どうやら今日のライブの反省を行っているらしい。にこの声が響く。

「後2人はもっと積極的に前に出るべきでしょ」にこの指摘に真姫が反応する。

「にこちゃんの言ってる事はわかるけど、私はそんなキャラじゃないし…」その言葉ににこが返す。

「何言ってるのよ。絵里も真姫もさぁ、せっかくそんな可愛い顔してるうんだから、もっと自信持ってぐんぐん前に出てよ。

私ばっかり目立ってても意味ないでしょ。3人でBiBiなんだから。

それにキャラとか関係ないでしょ。アイドルで1番大大切な事は何?お客さんを楽しませて笑顔になってもらうことでしょ。

だったら2人とも、もっと積極的になるべきなんじゃない?」 にこの口調はいたって普通である。

だが言葉の節々に強い気持ちが感じ取られる。

アイドルに対して真摯な姿のにこである。

もっと観客に楽しんでもらいたい、笑顔になってもらいたいと思うにこは、絵里と真姫にもっと自分を前面に押し出すことを要求していたのだ。

「確かににこの言う通りかもしれないわね。私と真姫は少し遠慮していた部分があったかもしれない」

絵里が言ったその凛で真姫もうなずいている。

「ライブのパフォーマンスって意味じゃぁ、準備期間や短いライブ時間にしては充分合格と言える出来だったと思うよ。

実際に盛り上がってたし。でもねやっぱりもっとμ‘sの3人ていうのが大きかったと思う。

BiBiとしてもっと上を目指すのであれば、私は絵里と真姫がもっと、私をしのぐ位前に出るべきだと思う」

真姫がにこに学外でアイドルをやろうと言った時、にこが言った。

中途半端な気持ちだったら許さないと。

それだけにこはBiBiに対して本気で向き合っているのだ。

絵里と真姫もそれはよくわかっているからこそ、にこに対し、反対の意見は一切なかった。

やはり思ったこと、感じたことを全て言えると言うのは大事なことである。

それがあるからこそより成長できるのだ。

ライブの反省を続ける3人であったが、その時A– RISEの3人がBiBiの控え室へとやってきた。

「3人とも、おっつー。BiBiのライブ最高だったよ!」

入ってくるなりツバサはそう言って3人にハグをする。

A– RISEから見ても、それだけBiBiのライブのクオリティーは相当なものだったのだろう。だが笑顔で答えているが、にこを始め絵里と真姫も決して満足はしていない。

そう、それは目の前のA– RISEの存在があるからである。

「BiBiもプロになっちゃえばいいんじゃない?」と言ったのはあんじゅで、さらに英玲奈も続く。

「私たちもうかうかしてられないな。今日は楽しかったぞ。また一緒にライブをやろう!」

そう言ってA– RISEとBiBiの3人はお互いに握手を交わす。

その後しばしの談笑をした6人。

「それじゃあ絵里、また学校で。にこちゃんと真姫ちゃんもまた一緒にライブやろうね。今日はありがとね」

ツバサはそう言い残し、A–RISEの3人は去っていった。

それからすぐの事、A– RISEとすれ違いになるように控え室に現れたのはBiBiの手伝いで来ていた希と雪穂、亜里沙に一生担当の柚梨愛、そして穂乃果たち5人であった。

スタッフパスで来場している穂乃果たちは会場のほぼ全ての場所に行けるのだ。

途中バーでくつろいでいた希達と合流し控え室までやってきたのだ。

3人の活躍をねぎらうようにそれぞれが口を開く。

「みんなお疲れ様。BiBi最高だったよ!」穂乃果である。

凛も続く。「すごかったにゃー。花陽ちんなんか感動して泣いてたんだよ!」

「うんすごかった。感動しちゃった」花陽がうなずく。

そこへにこがいつもの戯けたような口調で言う。

先ほどまでの真剣な口調が嘘かのように。

「でしょ、でしょ。私たちのライブよかったでしょ!まぁでも私からしたら当然ていうか、当たり前よね。みんなが楽しんでくれたならよかったわ」

「うん、でも突然にこちゃんがμ‘s復活の話をしちゃったから、少しびっくりしたよ」

ことりが言った。

そこに蛇足とばかりに絵里が言う。

「打ち合わせでは何もそのことを話してないから、にこが言い出した瞬間、私も驚いたわよ」「もう正式に決めたことだし、ノリでなんとなくね」

にこのノリの良さは1つの武器でもあるが、時としてそれが行き過ぎてしまうこともあるのはご愛嬌である。

「ところでライブ見てて思ったのですが、BiBiはもしかしてにこがリーダーなのですか?」

海未未が尋ねる。 「そうに決まってるでしょ、今さら何を」

にこの回答に皆が驚いていた。特に凛と穂乃果の反応はすごかった。

疑いの眼差しを向けている。てっきり皆、絵里がリーダーだと思っていたのだ。

にこのキャラを考えると…そう思うのが当然だろう。

「何を失礼ね。もしかしなくても私がリーダーに決まってるでしょうが」

「いや…そんなことなんや…意外も意外の予想外だね」

「うるさいわよ凛!とにかくBiBiは私が理だよ!」

「そうなんだー、でもにこちゃんのMCのトークは面白かったよ」

「さすがこれはわかっててえらいわね!」

にこは褒められるとわかりやすい位に顔に出る。うれしそうである。

そこに希が言う。「とにかくこっちはじめ、BiBiはお疲れ様やね。さすがにうちも今日は少し疲れたよ」

話が長引きそうなのを察知したかのように希が言うと、真姫がみんなに感謝の言葉を口にした。

「希、今日はありがとう。物販も手伝ってもらっちゃって。それに柚梨愛さんに雪穂と亜里沙も。もちろんみんなも来てくれてありがとね」

「本当にみんなありがとね。さてと…私たちもそろそろ片付けて撤収の準備しないと…今日はこの辺でお開きにしようか」 絵里の言葉に全員がうなずく。

そして穂乃果が言う。「うん…それじゃあ私たちは先に帰るね、またね」

控え室にはどこかもの寂しそうな穂乃果の言葉が響き渡っていた。

こうしてBiBiの初ライブは大成功に終わった。

だが今日のライブでそれぞれが思うことがあったのであった。

それはμ‘sのことであり、ユニットのことであり、そしてこれからの事であり…

特に穂乃果は人一倍その思いが強かった。

もっと私も歌いたい、もっと踊りたい、もっと活動したい、もっと、もっと…と。

心の感情を抑えるのが精一杯であった。

穂乃果にはBiBiの3人の姿が眩しいくらいに瞳の奥に焼き付いて離れなかったのだ。

それぞれにとって今日のライブが1つの大きな契機になったこと、それは間違いなかった。

続く

SF沼におちた僕の本棚
音乃木坂図書室