音乃木坂図書室 司書
第3回ラブライブアキバドーム大会の前日。
この日μ‘sの9人はオフと決めていた。
前日までの合宿において完璧に挑戦し、この日は大会当日に疲れを残すことのないようにと、休みにしてあったのだ。
9人それぞれが翌日のライブを前にして、自由な時間を過ごしていた。
「今日は暇だなぁ、何しようかな…完全オフって久しぶりだもんなぁ」
いつもよりだいぶ遅くに起きた穂乃果は時計に目をやり、そうつぶやいていた。
ここ最近はμ‘sであったり、μ‘sicforeverやPrintempsであったりと、常に活動していたため、突然休みとなると逆に何をしていいか困ってしまう穂乃果だった。
現在時刻はAM9時30分…穂乃果はすまほーを取り、電話をかける。
「もしもし海未ちゃん今日何してるの?暇ならどこか一緒に行かない?」
穂乃果が電話した相手は海未だった。
なぜなら海未の家は近い。
オーケーなら準備してわずか数分で海未の元まで行けるのだ。
しかし…「ごめんなさい穂乃果。今日は用事があるのです」
海未に断れられた穂乃果はあきらめずに、すぐさまことりに電話する。
「、ことりちゃん今日空いてる?遊ぼっ」
彼女たちはμ‘sとして有名になったとは言え、まだ高校生である。
それこそ遊びたい盛りの年頃であり、特に穂乃果は誰かと遊びたくてうずうずしていたのだ。
「うんいいよ。それじゃあ… 10時半ごろに穂乃果ちゃんの家まで行くね」
ということで穂乃果はことりと遊びに行くことになったのであった。
一方の海未はと言うと、この日は凛と希の2人と用事があったのである。
その頃アキバのカフェにて...
「なんで完全オフなのに今日も合ってるのよ」そうぼやいたのは真姫だった。
そんな真姫、ばっちりと変装をしている。
「2人とも、そんなに私にあいたかったの?」と言うのはにこである。
もちろんにこの変装も完璧である。
「そんなわけないでしょうに…はぁー…眠い…」
大きなあくびをする真姫。
基本的にショートスリーパーの真姫であるが、日々の勉強に加え、BiBiやμ‘sicforeverの作曲を担当しているので多忙であり、この日は寝不足だった。
「まぁ仕方ないわね。BiBiへの出演依頼の数を数えると、3人で打ち合わせの時間が必要だからね」
にこ同様、完璧な変装をしている絵里が言った。
みんなが言う通り、絵里は完全ににこの影響を受けており、2効果の傾向がわかるように見て取れる。
本人は気にしていない、というか気づいているのかすらも怪しいが…真姫は最近、心の中で矢沢が2人になったと思っているくらいだ。
だが口に出して言うと、絵里が割と本気で切れるので、あくまで心の中で思うだけに留めている真姫。
「テレビ電話でよくない!もっと文明の力を活用しようよー…
ていうか後毎日にこちゃんの顔見てると飽きるんだよねー」
「まぁねぇ…て多い!人の顔見てあげるとか、今日もいつにも増して失礼ね…
こういうのはちゃんと集まって互いの予定を確認して話し合わないとだめなのよ!
それにそれだけ出演依頼があるって事は、私たちが人気って証拠なの!わかった真姫?」
「はいはい…てゆうかいつもは勝手に予定決めてるじゃん…あぁ、マネージャーが欲しいなぁ…」
にこの言葉に真姫は上の空といった感じである。
真姫はこの日明け方まで起きていたので、今日は昼ごろまで寝ていようと思っていた。
しかし早朝、眠りについてすぐににこからの電話で起こされたので不機嫌&テンション低い状態なのであった。
だが、それだけ今のBiBiが人気と言うのは事実だった。
基本的にbiBiのスケジュール管理は絵里とにこでしている。
とは言え、今の3人の下には多くの学校から学園祭出演依頼や各地でのイベント出演依頼が後を絶たないため、こうした完全オフにもかかわらず、打ち合わせのために3人は集合していたのであった。
その頃…ことりと合流した穂乃果はアキバの街で遊んでいた。
アキバには駅ビル以外にファッション系のショップは少ないが、それ以外のものであれば充実している。
多くの店が立ち並び、行く場所に困ることはない。
2人はゲームセンターやアニメショップを回った後にアイドルショップへと立ち寄った。
ここは日本最大級の店舗であり、アイドル好き御用達の場所である。
2人はスクールアイドルコーナーへと向かう。
するとそこには大きなサングラスをして帽子をかぶった怪しい少女が、せわしなく動き回っていた。
それは…花陽だった。
「花陽ちゃん…完全に怪しい不審者じゃん…」気づいた穂乃果がことりに行った。
明らかに変な格好だし、挙動不審だし、よーく店員さん通報されないなと思う2人だった。
そんな花陽にそっと忍び寄り、穂乃果は“花陽ちゃん!“と声をかけて肩をポンと叩いた。
すると…「うゎぎゃひぇぇぇー!」
飛び跳ねながらなんとも絶妙な声で叫ぶ花陽。
穂乃果とことりに向き直るが、なんだか息を切らしている。
「はー…はー…て敵かと思ったじゃないですか…穂乃果ちゃん驚かさないでよ…」
「えっ、敵って何…?花陽ちゃん誰かに狙われてるの…?」
「…………」この子は何を言ってるんだろうと思う穂乃果とことり。
Printempsの活動を通じて、今まで以上に親密になったこの3人だったが、花陽はたまに自分の世界に入り込んで何を言ってるのかわからないことがあるのであった。
そんな不審な花陽はどうやら最新のアイドルグッズのチェックに来ていたらしい。アイドルのことになると花陽の行動は行動力は凄まじく、平気で単身どこまでも行ってしまう位なのだ。
花陽は渋い表情を浮かべ、2人に手招きして言う。
「そんなことよりこれ見てくださいよ。μ‘sコーナー…ひどいいたずらですね。たまにあるんですよこの店は…」見るとそこはμ‘sコーナーのはずが、矢澤にこコーナーと化していた。すべてのグッズの最上段手前がにこグッズになっている。
こんなことをするのはそう、にこ本人である。BiBi打ち合わせ前に寄ったにこの仕業だが、花陽はよくにこが来た後に来ることが多かったのだ。
「でもμ‘sグッズがまだこんなに展開されてて私は幸せです」
とてもうれしそうに花陽は満面の笑みを浮かべていた。
そんな花陽にことりが尋ねる。
「ねー花陽ちゃん、今日この後は何してるの?私と穂乃果ちゃんはこれからお昼ご飯行って、その後はカフェでまったりしようと思ってるんだけど、よかったら花陽ちゃんも一緒にどう?」」
それに穂乃果もすぐに乗る。
「いいねぇ…一緒に行こうよ花陽ちゃん。今日はことりちゃんとまだ見ぬアキバの名店探しに行くんだよ!」
「なんですかその楽しそうなプランは…是非とも同行させていただきます!ていうか私、お腹ペコペコなのです!」
もうまもなくお昼になろうかと言う時間である。
1日3食+ αが必須の穂乃果と花陽。
2人の正確な腹時計はすでに空腹を訴えていた。
偶然ではあるが揃ったPrintempsの3人はお昼ご飯を求めて、アキバの街を徘徊する。
続く