ブライアン・W・オールディス著 伊藤典夫訳
遥か未来の地球は自転を止め、動物はほぼ全てが絶滅し、植物が地上を支配していた。
巨大に進化した植物は、獲物を狩るために様々な機能が発達している。
地球に生存する生き残った動物はわずか5種。
4種の昆虫に人間だ。
その人間は地球上最後の獣であり、絶滅寸前の生物であった。
かつての人類とは外見も生活も著しく退化し、小さなグループを作り細々と生き残っていた。
そのグループの1つ、リリヨーと言う女性が率いるグループは植物に襲われ、仲間が命を落としてしまう。
死んだ仲間の魂を埋めるために、彼女は『頂』と呼ばれる場所へ向かう。
その後、グループは新たな居場所を求め旅へ出る。
この世界は1つの場所に留まり続けるのは困難であった。
一行はやがて安定した場所へたどり着くが、そこは鳥人たちの住まいだった。
鳥人は仲間になるように言う。
リリヨーらは受け入れるが、グレンと言う少年は反発し、グループを離れる。
地球はまもなく終わりを迎える。
数世代を経て、地球は確実に太陽に焼き尽くされる運命だ。
そんな世界で、グレンは楽園を求めて旅をする。
彼が最後に下す決断とは…
超有名作で、名作である本書は、作者のものすごい想像力が集められた一冊だろう。
1回読んだだけでは理解し難いところもあるかもしれないが、じっくり読めば物語の世界がよく見えてくる。
不思議な植物、生物が登場する地球で、最も弱い人間。
生きるだけで精一杯で、常に死というものが存在する日常。
その中で自分の意思で決断することや選択により負う責任、そういったものを問いかけるような作品ではないかと思う。