デニス ルヘイン 著 加賀山 卓朗 訳
海に浮かぶ孤島、シャッターアイランド。
ここは精神を患った凶悪犯罪者を収容している島である。
島にあるアッシュクリフ病院では患者に対し過激な治療法を試していた。
その病院で精神分裂病を患った1人の女性、かつて3人の子供を溺死させた犯罪者が突然姿を消してしまう。
その報を受けて連邦保安官であるテディは新しいパートナーである、チャックとともにシャッターアイランドに捜査へとやってくる。
厳重な警備が敷かれる病院において、どうやって姿を消したのか……
失踪したレイチェル・ソランドの病室は鍵がかかっており、まさに消えたと言う以外になかった。
医師や患者に話を聞き、捜査を進めていくテディたち。
そこで発見したのは「4の法則」なる謎の暗号だった。
この暗号が持つ意味とは一体何なのか…
一方で、テディは死んだ妻、ドローレスの夢を見ていた。
彼の妻は放火魔による火災によって死亡していたのだ。
熱心に捜査を続けるテディだったが、彼の本当の目的は消えたレイチェルを探すことではなかった。
この病院には妻を殺した放火魔が収監されていて、妻の復讐を果たすことが目的だったのだ。
消えた女、逃げ場のない島で起きた事件の真相とは…
淡々とした展開で進んでいくが、実に面白いミステリー作品である。
重犯罪者の精神病院に於いてのサスペンスであるが、結末はまさかといった具合で、意外性があって、ストーリーの構成の素晴らしさは言うことがない。
結末に至るまでの伏線がいたるところに隠されており、それをパズルのように組み合わせて読み進める(できれば1回読んで、再読するとなおのこと、伏線の回収ができて面白い)のがオススメである。
テディの夢やイメージ、暗号に隠されたもの、不自然な会話、それらが全て結末へと向かっている。
映画化も納得の作品だ。