その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-011小さなころから⑤ (74)


ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-011小さなころから⑤ (74)

音乃木坂図書室 司書

ラブライブの続きを勝手に考えてみる~EP-011小さなころから⑤ (74)
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ラブライブ! 2nd Season

ラブライブ! 2nd Season Blu-Rayより

その日の放課後…

学園祭まで1ヵ月を切っていることもあり、ライブへ向けて精力的に練習に励むμ‘sicforeverの6人。

μ‘s時代の9人から6人になった今も、彼女たちの練習の質は変わらない。

海未による計算された練習トレーニングメニューは以前にも増して緻密なものである。

1つ、変わった点があるとすれば、以前は海未と絵里が練習を取り仕切り、掛け声をかけたりしていたが、先輩たちが卒業した今、絵里の代わりに凛が率先してその役目を果たしている。

以前であればこれも考えられないようなことであったが、それだけ凛を始め全員が成長していると言う証だろう。

真姫は今まで通りにクオリティーの高い曲を作り、海未の歌は以前よりも増して表現力が豊かになり、花陽は部長としてスクールアイドル部を全員をまとめ、さらには作詞にも取り組むようになった。

振り付けも海未と凛が担当し、特に凛が加わったことにより、今までになかったダイナミックな振りが加わったと進化していた。

ことりはその類稀なセンスにより、いくつものかわいいデザインの衣装を生み出していく。

そして穂乃果は…今まで通り自由だが、やはり大きな支柱として存在感を放っていた。

それぞれが役割を担い活動している、それがμ‘sicforeverである。

すべての面においてクオリティーが高く、今回のラブライブに出場しないのがもったいないくらいだろう。

だが世間はまだ、このμ‘sicforeverと言う存在を知らなかった。

「よし、じゃぁ10分間休憩にするよ!」

練習を取り仕切る凛がみんなに声をかける。

5月下旬ともなれば、東京は30度近くまで気温が上昇することもあり、各自が日陰で水分補給を行う。

シートに座って汗を拭う凛と花陽。

その2人に穂乃果は近づいて声をかけた。

「ねー凛ちゃん、花陽ちゃん。私と一緒にアイドルやらない?」 

突然の言葉に、2人は意味がよくわからなかった。

「どうしたの穂乃果ちゃん。もうずっと一緒にアイドルやってるにゃー」

凛が首をかしげながら言った。花陽も同様の表情をしている。

「実は私もね、BiBiみたいにもっとたくさん歌いたいと思って…だから新しくユニットを作って学外でも活動したいと思ったの。

今ことりちゃんにはオーケーもらってて、だから2人もどうかなと思って」

「えっ、だったらもう1人のメンバーは海未ちゃんじゃないの?」 さらに不思議そうに首を傾ける凛。

そこに海未が言う。「私は断ったんです。弓道部もあって忙しいので…」

「なるほど、そういうことかにゃー」納得する凛。

確かに後輩の凛から見てもスクールアイドル部に弓道部、そして生徒会と海未の忙しさは目につくものだった。

そこへ口をつぐんでいた花陽が言う。

「私やりたい…やりたいです!この前のBiBiのライブを見て思ったの…

私も穂乃果ちゃんと同じ気持ちでもっとたくさん歌いたい!」

やはり皆にとってBiBiのライブは大きな契機だった。

花陽も穂乃果と同じ思いだったのだ。だが穂乃果の誘いに対し、凛は花陽と正反対の反応を見せる。

「凛は…今回は遠慮しておく。ごめんね穂乃果ちゃん」

凛はそういうと飲み物を買ってくると言って、1人屋上をにした。

そんな凛の姿を見た真姫と花陽は、今の3年生が修学旅行でいない時に出演したファッションショーのイベントのときのことが脳裏をよぎっていた。

今回も花陽に遠慮して断ったのではと…そんな思いを2人は抱いたのだった。

「花陽は待ってて。私が様子見てくるから」真姫はそう言って凛の後を追う。

当時の事は3年生も知っている。

しかし実際にその場にいたら当事者は2年生だけであり、穂乃果をはじめ3年生は少々心配そうな表情をしていた。

階段を降り、1階の自販機で真姫は向かうと、横に設置されたベンチに腰かけて凛はジュースを飲んでいた。

何かを考えているみたいだが、その表情は特にいつもと変わらない。

真姫は心配そうに声をかけるが、凛の返事は全く以て明るかった。

「あれ真姫ちゃんどうしたにゃー?ジュース買いにきたの?」

「どうしたって凛…また前みたいな感じかと思って心配になったの。ほらファッションイベントの時みたいに…」

「あー、ごめん!余計な心配かけちゃったね。全然大丈夫だよ。いつも通り元気にゃ」

「そう?大丈夫ならいいけど…でもそれ以外にも何かあったんじゃない?悩み…とかさぁ」

特に態度に出していたとは思わない凛だったが、その辺はやっぱり真姫ちゃんは目敏いなと感心する凛。

一息ついて喋り出す。

「まきちゃんは鋭いなぁ。実はね、今の中学時代の先輩にアイドルユニットやらないかって誘われてて…

それをまだ誰にも言ってなかったし、答えも出してなかったから…

どうしようって思っていたところに今日、穂乃果ちゃんにも…」

凛はよその学校に通う中学時代の部活の先輩から誘われていたのだ。

凛も他の皆と同様、BiBiに刺激されもっとアイドル活動をしたいと思っていた。

そこで先輩からの勧誘…まだ返事はしていないが気持ちが揺れていたのは事実である。

「そういうことね。そんなの隠さないで言ってくれればいいのに」

「別に隠していたわけじゃないよ。ただμ‘s復活とかあぁμ‘sicforeverの活動があったりで、なかなか言うタイミングがなくなっちゃって…」

そんな2人の会話に割り込むように大きな声が飛んだ。

「そんなのすぐ言ってよー!」その声に驚く凛と真姫。

2人の後にはいつの間にか花陽が立っていた。

「すぐ言ってくれればいいのに…メールだろうと電話だろうとすぐ言ってよ凛ちゃん…

私たちは…私と凛ちゃんと真姫ちゃんは友達で…大切な仲間でしょう…?」

「ごめん…うん、かよちゃんの言う通りだよ。2人は私の大切な友達…すぐに言わなくてごめんね」

「いいよ凛ちゃん。私は凛ちゃんのこといつも応援してるし、お互いに頑張ろうね。でも私たちは大切な友達だよ。何かあったらいつでも相談してね」

「そうよ凛、そんなの当然でしょう。2人とも何かあったらすぐに言ってね」

凛と花陽は小さい頃からの友人である。

真姫とは高校からの付き合いであるが、クラスメイトで同じμ‘sの仲間で、ほぼ毎日一緒にいて濃い時間を共にしてきた中である。

この3人の友情は確かなものなのだ。

μ‘s年少組の3人の仲睦まじい姿がそこにはあった。

こうして穂乃果とことりに花陽を加えたメンバーで、新しいユニットを始めることになったのである。

続く

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