その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる EP-022 夏の景色を探して⑦(177)


ラブライブの続きを勝手に考えてみるEP-022 夏の景色を探して⑦(177)

音乃木坂図書室 司書

ラブライブの続きを勝手に考えてみるEP-022 夏の景色を探して⑦(177)
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ラブライブ! 2nd Season

ラブライブ! 2nd Season Blu-Rayより

翌日のこと。

北海道旅行3日目、札幌にいる絵里、希、ツバサの3人は、この日から車での移動である。

希の運転で富良野へ向けて、早朝6時に出発して、早々に、ツバサが何かに気づいたらしく大声を上げる。

「まずいわ希!」

「何?どうしたんツバサ、何か忘れ物?」 

「大変よ…モーニンググミがない…略してモーニングミが…オーマイガー!ちょっとコンビニ寄って!」

「全然略してないし…なんやねん。モーニングミって…」

マイペースなツバサである。

とりあえず近くのコンビニに寄る3人。

絵里と希も軽く朝食を購入するが、ツバサはと言うと、コンビニにあったハリボグミを買い占めていた。

「7袋しかなかった。今日これで足りるかな…」

不安そうに言うツバサに希がツッコむ。

「いや、食べ過ぎやし…」

いったいツバサはどれだけグミが好きなんだろう、と絵里と希は思っていた。

とにかく再び富良野へ向けて出発する3人

札幌から富良野までは車で2時間ちょいである。

道中、μ‘sやA– RISEの曲を流しながらノリノリの3人。

ツバサはずっとグミを食べながら歌っている。

そこに絵里がふと気になっていたことをツバサに尋ねる。

「ねぇツバサ、A– RISEを始めたきっかけって何なの?」 

すると、グミを食べ続けていたツバサがぴたっと動きを止めていう。

「え、何よ絵里?私のこと知りたいの?うふふっ」

「あ、それうちも聞きたいなぁ」

「もうしょうがないなぁ。いいわよ。私たちA– RISEはね…」と言って、ツバサは自分とA– RISEのことを語り出した。

それは今から6年以上も前の事

私は私立の中学校へと入学した。

小さい頃からアイドルが大好きだった。

いつもテレビの中のキラキラしたかわいいアイドルに憧れていた。

でもアイドルがやりたいなんて言えなかった。

私の両親は私が小さい頃から英才教育。

勉強は当然のこと、ピアノ、バイオリン等、様々な習い事に通っていた。

もちろんそれらは楽しかったし、上達していくのが実感できて嬉しかった。

でも自分の本当にやりたいこと…私はそれを周囲に言える事はなかった。

きっと親の望む学校へ進学して良い仕事をして、高収入の男性と結婚して…そんな決められたレールを進むんだろうなと子供ながらに考えていた。

でもそんな私に転機が訪れた。

私立中学へ進学したけど、そこには幼なじみのあんじゅも進学していたんだ。

小さい頃から一緒に育ってきたあんじゅは、私にとって、何でも話せる唯一の存在だった。

そんなあんじゅが、中学生になってもそばにいてくれるのが嬉しかった。

「ねぇツバサ、部活はどうするの?」 

ある日の放課後、あんじゅが私にたずねてきた。

この学校は文武両道を掲げる進学校で、必ず部活動への加入が義務づけられていた。

「うんうん、どうしよう…吹奏楽部かなぁ。でも吹奏楽はピアノやバイオリンは無いよね。運動部も興味あるけど、…」

「そっか、まだ時間あるし、よく考えて決めようね」

「うんそうだね。あんじゅはもう決めたの?」

「私?私はねぇ…ヒミツ!」

「えぇー、なにそれ教えてよー!」

こうしてこの日はそれで終わった。

それから数日後、私は地元アキバの街を歩いていた。

アキバは中野、池袋と並びオタク文化が発展してて、アイドルも多いんだ。

ふと私はある店の前で足を止めた。

“AKIBA LIVE CAFE DOLL“ ここはアキバで有名な、アイドルがライブを行える場所。

私はここを通るたびに足を止めて、外から店内を眺めていた。

防音仕様で外からはよく見えないけど、それでも楽しそうな雰囲気、熱気が伝わってくるし、店頭に掲示してあるポスターや広告のかわいいアイドルの姿がとてもまぶしかった。

その時私は背後から肩を叩かれた。

驚いて振り返ると、あんじゅが立っていた。

「やっぱツバサはアイドル好きだよね」

あんじゅには何でも話していた。

私がアイドルが好きってことも…

「ツバサはアイドルやりたいんでしょ?」

「そんなこと言ってないよ。アイドルは好きだけど」

「嘘つき。見てたらわかるよ。ずっと一緒なんだから」

あんじゅはそう言って私の手を取り、大通りのうらの道の方へ向かう。

そこは現在高層ビル建設中の場所だった。

「ねーツバサ、ここ何だか知ってる?」 

「うん、知ってるというかここに書いてあるし。都市型高層ビル…駅から遊歩道で直結、商業施設一体型の学校って。建物はもうほとんど完成してて、秋に商業施設が、来年の春から学校が始まるんだよね。えーっと…」

「UTX高校。超近代型の高校だね」

あんじゅの手にはUTX高校のパンフレットが握られていた。

「この学校すごいよ。普通科はなくて専門的な学科がたくさんあるんだよ。美術家とか音楽科とか…後はアーティストパフォーマンス科とかね」

「アーティストパフォーマンス科…って何?」

「それは歌やダンスとアーティスト育成するための歌って書いてあるよ。この科の卒業生の進路はミュージシャン、ダンサー、振付師…それとアイドル!」

「アイドル!?」

私は大きく反応していた。

「うん、本当にその通りの科だね。私はもうこの高校に行くって決めたの。この科に入って、そして私はプロのアイドルになるんだ。!」

「あんじゅ…」

私はあんじゅの顔を見つめていた。

「私がアイドル好きになったのは、ツバサのせいだからね。子供の頃からいつも呪文のようにアイドルの話されたら、好きになるに決まってるじゃん。ツバサ、責任とってよね。!」

「えっ…責任ってどうすれば...」

とあんじゅが私の手を取って優しく微笑んだんだ。

「ツバサ、私と一緒にアイドルやろう!」

私はとても嬉しかった。

仲良しのあんじゅが、私と一緒にアイドルをやりたいって言ってくれたことが。

今までなんで迷ってたんだろう…あんじゅのこの言葉が決め手だった。

私はアイドルをやるアイドルになるって決めた。

最初は両親に猛反対されたけど、私の本気の熱意に最後は理解してくれた。

こうして私はあんじゅとアイドルを始めることにしたんだ。

でも私の中学校にはアイドル活動をする部活は無い。

全員が部活動に加入しないとだけど、学外でスポーツ活動や習い事をしている人に対しての措置で自己研鑽部というのが存在していた。

この部は何をするわけでなく、月に一回自分の学外での活動のレポートを提出すれば良いと言うものだった。

このおかげで外部で専門的に活動することができる。

私とあんじゅは迷うことなく、この部に入部した。

理由はもちろんアイドル活動するために…

これが私のアイドルへの第一歩だった。

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