音乃木坂図書室 司書
ステージ上が照明に照らされると同時に大歓声がわき起こった。
皆μ‘sの後のユニットとしてμ‘sicforeverの6人を心待ちにしていたのだ。
そしてステージに6人が登場するや、その声援の大きさはBiBiとA– RISEのコラボに匹敵するか、いや、それ以上と言っていい。
6人全員で会場に一礼すると、それぞれがポージングする。
この日の衣装はメイド風で色鮮やかな衣装であり、とても可愛らしく、ことりのセンスが凝縮されたものである。
そして曲が流れると同時に踊りだす6人。
会場は揺れるかのような熱狂である。
[ミはμ'sicのミ/詞 ※μ‘sicforeverの曲として使用]
“ミュージックフォーエバー、忘れないで“と言う歌詞には海未の思いが込められていた。
その思いは作曲をする真姫も同様に、いや、他のメンバーも皆一緒だろう。
μ‘sは終わったけれど、その思いは忘れる事は無い。
先輩の3人はもういない。だけど、3人の思いも一緒に、思いは9人のままでμ‘sからμ‘sicforeverへと引き継がれて続いていく…
海未の思い、全員の気持ちを表したかのような歌であった。
ライブスタートから絶好調の6人。
心からライブを楽しんでいるのが伝わってくるほどの笑顔を見せ、その笑顔で会場中が笑顔で包まれている。
そして何よりこの6人のパフォーマンスのクオリティーの高さ、曲の素晴らしさ、その他全てにおける完成度の高さは別次元であった。
海未のキレのあるダンス、凛のダイナミックな振り付け、真姫の歌唱力等々、個々のクオリティーの高さはもちろんのこと、6人として見せる息の合ったパフォーマンスには改めてOGの絵里とにこ、そしてA– RISEの2人も見入ってしまうほどだった。
「これ、ラブライブ出場してたら間違いなく優勝だろうね」
ステージ裏のツバサが思わずこぼした言葉である。
多くの人が同じような思いを抱いただろう。
それぐらい圧巻で圧倒的であるのだ。
そして元μ‘sの6人の人気はやはりとんでもなかった。
生徒、来校者が行動に収まりきらないことを想定し映像部協力のもと、視聴覚室と、数カ所の教室でライブビューイングを実施しているのだが、どの教室も入りきらない位大勢の人で溢れていた。
クラスによってはこのライブが見たいがために、この時間帯の出し物は無しにするクラスもある位だった。
とても1高校の学園祭のライブとは思えないほどの盛り上がりである。
1曲めを終えて、「こんにちは、μ‘sicforeverです!」6人は大歓声の中、声を揃えていった。
そしてアイドルのライブではお決まりの自己紹介MCへと入る。
「今日は音乃木祭のスクールアイドルのライブに来てくれてありがとう!星空凛だよ、よろしくにゃー!」
凛がそう言うと、メンバーの5人はステージの中央を開けるように横へとはける。
そして勢いをつけて連続バク転を披露し、着地とともに決めポーズ、まるで体操選手かのような運動神経に会場は大騒ぎである。
「こんにちは小泉花陽です。スクールアイドル部部長を務めてます。好きなものは白米です!」
凛に続いたのは花陽だが、すぐに凛がツッコミを入れる。
「かよちん、Printempsの時と全く同じこと言ってるにゃー」
その言葉にメンバー会場、共に笑いが起こる。
「あ、すいません…じゃぁ…新米が好きです!」
「同じにゃー…」結局、お米への愛情をアピールするだけの花陽だが、とてもなごやかな空気である。
続いて真姫が言う。
「皆さん、今日は私たちの初ライブに来てくれてありがとう。西木野真姫です。BiBiとともにμ‘sicforeverとして活動してるけど、どちらもμ‘sに負けないユニットになるよう頑張るのでよろしくね!」
大歓声の中、2年生が挨拶を終え、続いて3年生の出番である。
「園田海未役を演じる園田海未と申します。実は私、スクールアイドル部と掛け持ちで弓道部にて部長を務めております。これからも皆様、園田海未をよろしくお願いいたします」
政治家の演説のような物言いの海未は、設定上園田海未役を演じていることになっている。
だが、これはμ‘s時代より今に至るまで誰からも理解された事はなかった。
海未曰く、普段の自分とスクールアイドルの自分は別人らしい。
「ヤッホー南ことりだよ。みんな私の言うことを聞いてくれないとことりの次のおやつにしちゃうぞ、チュンチュン!」
ことりのあまりの可愛さに会場から大きな歓声が沸き上がる。
天使の小鳥と言われて、ファンが多いのもうなずける可愛さである。
「Printempsに続いて2度目の登場、高坂穂乃果です。今日は元μ‘sの6人で新しくスタートしたμ‘sicforeverの記念すべき初ライブです。
μ‘sとは違う、私たち6人の魅力をたっぷりご覧ください!」
(しなくても皆知っているが)自己紹介を終えた6人。
するとステージの照明が落とされる。
一瞬の静寂の後、スポットライトがステージ上のピアノを照らす。
そこには真姫が座っていた。
そしてそのままピアノを演奏する次の曲へと移る間に、真姫によるピアノソロが展開される。
美しい音色が会場に響き渡る。
まるでピアノコンサートの会場かのように、真姫の音楽センスが存分に生かされた演出であり、身を委ねたくなるような心地よいメロディーに会場の皆が見とれていた。
これはおそらく今までのスクールアイドルにはない、はじめての試みだろう。
今あるものに決して満足することなく、より良いものを多くの人がもっともっと楽しんでくれるように…
そのあくなき追求心がこの6人の、μ‘sのメンバーの凄さの1つだろう。
真姫のピアノソロから2曲目へとつなぐ。
ポージングして待機する5人のセンターポジションに真姫が入る。
そしてそのまま2曲目。
真姫のピアノソロからつながった2曲目は新しいバラード調の曲であった。
μ‘sのスノーハレーションを彷仏とされる素敵な曲に誰もが心を奪われていた。
μ‘sicforeverは圧倒的なパフォーマンスを披露して2曲目を終えた。
続く