その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみる EP-022 夏の景色を探して③(173)


ラブライブの続きを勝手に考えてみるEP-022 夏の景色を探して③(173)

音乃木坂図書室 司書

ラブライブの続きを勝手に考えてみるEP-022 夏の景色を探して③(173)
image
ラブライブ! 2nd Season

ラブライブ! 2nd Season Blu-Rayより

東京アキバ

夏休みの期間中、μ‘sicforeverの6人は暑さ対策として海未の家の道場で想起練習を行っていた。

この日練習を終えた真姫はその後特に予定もなかったため、自宅へと帰宅し、勉強した後に母とともに昼食をとっていた。

「ハクシュン…ハ…ハックシュン!」、

可愛らしいくしゃみをした真姫に母が尋ねる。

「まきちゃん大丈夫?夏風邪かしら…?」 

「ううん、大丈夫だよ。(誰か私の噂してるわねぇ…)」

鋭い真姫だった。

ちょうどその頃、北海道で札幌へ向かう車内では、絵里と希とツバサが真姫の話題で盛り上がっていたところである。

それはさておき、母との昼食を終えた真姫はソファーでくつろぎながらスマホをいじっていた。

アイドル活動や医大進学に向けて勉強が忙しいとは言え、そこは年頃の女の子である。

最新のファッション情報をチェックしていたが、その時にこからメールを受信する。

「あれ、にこちゃんからだ。どうしたのかしら?」 

“真姫、今日予定空いてる?真姫の家行ってもいい?“

メールにはそう書かれていた。

「ニコちゃん暇なのかな?私の噂したのにこちゃんね。…」

大きな勘違いだが、“空いてるよ。別に来てもいいよ。“と返信する。

5秒後、“ありがとう、今から行くね。“と帰ってくる。

にこの家から真姫の家までは少し距離がある。

歩いて20分ぐらいかかるし、準備を考えたら30分位かなと真姫は思っていた。

「それじゃあ、ニコちゃんが来るまで勉強の続きでもしようかな」

一人ごちてソファーを立った真姫だったが、そのタイミングで家のインターホンが鳴る。

そして母が真姫に声をかけた。

「まきちゃん、にこちゃんが来たわよー」

「えっ、早っ...」

今から行くねと言うメールの20秒後である。

「てゆうか、私の家の前にいたのね。…」

つぶやきながら、真姫は玄関へ向かい、にこを出迎える。

「にこちゃん来るの早いよ…家の前でメールして、私がいなかったらどうしてたのよ」

「その時は帰ってくるまで待たせてもらったわよ」

真姫の家は、BiBiの練習でもよくお世話になっており、にこは真姫の母とも顔なじみで仲良くなっていたのだ。

「そ、そう…まぁいいけど…で、今日はどうしたの?暇なの?」 

いつでもあれば暇と言われると反論するにこだが、この日は違った。

いつになく真剣な表情で真姫を見つめる。

「ど、どうしたのよにこちゃん…そんな顔で見つめないでよ」

「真姫!いえっ、今日は真姫先生と呼ばせてもらうわ。お願いします。私にピアノを教えてください。!」

「えっ、ピアノ?別にいいけど、どうして?」 

予想もしなかったにこの言葉に驚いて、やや裏返ったような声で真姫は言った。

にこが説明をする。

「私さー、保育士になるために学校通ってるでしょ。それで授業でピアノがあって、夏の課題曲を出されたんだけど、私譜面読むのがどうしても苦手で…」。

「そういうことね。しょうがないなぁ、いいわよー」

「ありがとう、よろしくお願いします、真姫先生!」

「うん。でも気持ち悪いから先生はやめて…」

そう言って真姫はにこをリビングに迎え入れる

真姫はピアノに座り、にこに手渡された譜面に目をやる。

「どれどれ…うん、割と難しい譜面ね。譜面読むの苦手なら、最初は書き込んじゃえばいいんじゃない?」

真姫のいう書き込むとは、譜面の音符にドレミ…を書いてしまうと言うことである。

にこは頷く。

「うん、そうなんだけど…ヘ音記号とト音記号でなんでドレミの位置が違うのかわからないし、keyが変わると。#とかばっかりで全然わかんなくて…。ピアノ弾くのは楽しいけど…」

「基本的な問題ねぇ…うーん、なんて言えばいいかなぁ…要は低音域と高温域の違いっていうか...それを譜面上で表現するとそうなるのであって、keyについてはどのkeyでもドレミファソラシドって聞こえる、つまり全全半全全全半って事で...それがkeyが変わると、そのままの形でズレる訳だから、例えばkeyがCからDだと、Dがドの音になって...」

「ごめん真姫…何言ってるか全然わからない…」

真姫は自分なりに、この質問にわかりやすいように伝えようとしたが、にこの頭はパンク寸前だった。

「えっとね、つまり慣れよ慣れ。たくさんの曲に触れて体に染み込ませるの。そうすれば自然と慣れるから!」

説明が面倒になった真姫は、最終的に慣れと言う言葉で片付けた。

だが、それもあながち間違いじゃない。

にこはそれに納得したように頷く。

「そっか、うん、わかった!ねぇ真姫、その曲ちょっと弾いてみて」

にこがお願いすると、真姫はピアノを弾き始める。

にこにしたら、難易度が高い曲でも、真姫にとっては譜面を見てスラスラと弾けてしまう曲だった。

音の強弱や休符も完璧であり、やはり真姫のピアノセンスは一流だった。

小さい頃はピアニストになりたいと思っていた真姫。

その夢は叶う事は無いが、中学で終わりと決めた音楽が今こうしてやれるのが真姫は嬉しかった。

またそんな自分を頼ってくれるにこの存在が何よりも嬉しかった。

「真姫すごいね、そんな簡単に弾けるなんて」

「まぁ私はずっとやってるから。にこちゃんは今どれぐらい弾けるの?」 

「まだあまり弾けないけど、家のキーボードで練習してるの」

「そっか、とにかく慣れるしかないわ。いつか弾けるようになるから、毎日練習すること。これ以外にないよ」

「うん、わかってる。がんばるよ!」

それから真姫によるピアノ指導は2時間に及んだ。

「にこちゃん少し疲れたから休もうか?」 

そう言って真姫はシェフの元へ行き、紅茶とお菓子を持ってソファーに座った。

2人は紅茶とお菓子を嗜む、

「にこちゃん、明日の花火大会は来れないんだっけ??」 

「うん、明日は柚梨愛とライブに行くのよね」

「あっ、前に言っていたアイドルのライブだっけ。そっか、残念ね」

「花火大会は他にもあるし、違う日に一緒に行こうよ」

「そうね。それとさぁ、月末のBiBiのライブどうする?私来週から海外旅行でいないから、あまり練習する時間ないよね」

「今回は4曲ぐらいでしょ。新曲もないから、直前に集中して合わせれば大丈夫じゃない?」 

「それもそうね。そしたらまた私の家で練習する?」 

「うん、そうしてもらえると助かるよ。真姫いつもありがとね」

「別にいいよ、そんなの…」

「夏休み空いてたらどこか行こうねー」

「うん」笑顔でうなずく真姫。

本当に仲の良い2人。

BiBiの活動、プライベートを問わずに、μ‘s終了後も誰よりも仲の良い2人であった。

SF沼におちた僕の本棚
音乃木坂図書室