その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみるEP5-煩いモーメント➀(29)


ラブライブの続きを勝手に考えてみるEP5-煩いモーメント➀(29)

音乃木坂図書室 司書

ー4月下旬、音乃木坂学院ー

入学式から早くも3週間以上が経っていた。

美しく咲き誇っていた桜も、今ではすっかりと散ってしまい、季節の移り変わりを感じる日々である。

音乃木坂の学校内ではここ数年の中でも特に賑わっていた。

それもそうであろう、今年の新入生は全部で5クラスもあり、昨年の全校生徒数と比べ、0人以上も多いのだ。

一年生だけで言えば昨年の5倍以上の生徒数である。

多くの生徒が入学し、各部活動も部員が増加し、活気に満ちていた。

特に運動部では部員の少なさにより試合もできない部もあった位である。

それらを考えても今年これだけの生徒が入学してくれた事は大きなことであり、もちろんそれはスクールアイドル部にとっても例外ではなかった。

この日も授業が終わり、慌ただしくそしてすごい形相で廊下を走る女の子がいた。

「大変です、大変です、タイヘンですぅー!」

スクールアイドル部部長の小泉花陽である。

内向的でおとなしい花陽がこれほど大声を張っていると言う事は、アイドルに関することで何かビッグニュースがあるのだろう。

ものすごいダッシュで廊下を走り抜け、部室へ向かっている。

もし、教師か海未にでも目撃されたら、廊下を走るなと説教されるであろうスピードだ。

部室に到着し、急ブレーキで停止するとともに、すごい勢いで部室の扉を開ける。

「たっ、たっ、たっ…大変ですっ!」 勢いよく部室に到着した花陽であるが、部室には掃除当番のなかった凛1人しかいなかった。

「花陽ちん、どうしたにゃ?」

椅子に座ってお菓子を食べている凛。

「あ、凛ちゃん!大変なの!もう大変すぎて大変なの!みんなはどこ?とにかく大変なの!」

「花陽ちん落ち着くにゃー。みんなまだ来てないよ。そんなにヘンタイって連呼しないでね」

「ヘンタイじゃなくて大変なの!ねぇ凛ちゃん!」

「わかったから落ち着くにゃ。おやつあげるから。はい、アーン」

そう言って凛は花陽にお菓子を与える。

さすがは付き合いが長いだけあり、凛は興奮状態の花陽の取り扱い方をよく理解していた。

「そんな(もぐもぐ…)落ち着いてなんて(もぐもぐ…)いられ(もぐもぐ)ない...(モグッ...)おいしいー、お代わりチョーだい」

簡単にお菓子で操られる花陽。 うれしそうにお菓子をほおばり、ようやく落ち着く花陽であった。 そこでふと花陽は気づく。

「あれ、凛ちゃんお菓子なんて持ってたっけ?」

「あ、これはさっき買ってきたにゃん。新商品だよ」

そう言って凛はポテトチップス辛子にんにくマヨバターオニオン味の袋を花陽に見せつける。

「これおいしいね。て…さっき買ってきたの!?」

時計を見る花陽。 6限の授業が終わり、帰りのショートホームルームが終わって、まだ15分ほどしか経っていない。

音乃木坂の売店はお菓子も売っているが、最新の商品は取り扱っていない。

学校から最寄りのコンビニまでは歩いて10分位である。

音乃木坂の敷地面積は広いので校舎から校門までも少し時間がかかり、そこから階段を降りてしばらく歩くと、やはりトータル往復だけで20分ぐらいはかかるのだ。

それをわずか15分ほどで往復し、部屋でくつろぎながらお菓子を食べている凛を見て、花陽は驚いていた。

「ダッシュでコンビニ行ってきたにゃー」

「凛ちゃんすご…アグレッシブだね…」

凛の行動力と足の速さにあっけらかんとする花陽であった。

「アグレ…?って何! 英語はよくわからんにゃ」

「あ、気にしないで…凛ちゃんすごいってことだよ」

「んにゃ…そういえば何が大変なの?」

「それはみんなが集まったら発表するね」

それから30分後…スクールアイドル部の部室には部員が全員集まっていた。

今いるのはPCが置かれている方の部室だが、以前に比べ部室内はものすごい圧迫感であった。

元の部員6人に加え、亜里沙と雪穂を含めた新入部員は15名、全員で21名もいるのだ。

μ'sの時の9人でもそこそこだったのに21人もいたら… 予想通りの新入部員の多さに、一気に部室は狭くなっていた。

「だぁぁぁー、せーまーいー!部室が狭い!人数が増えたのは嬉しいけど、狭いよー!」

子供のように狭いとだだをこねる穂乃果である。

だが、狭いと文句を言うが穂乃果は椅子に座っている。

立っている一年生に比べればまだマシであろうが…

「文句を言っててもしょうがないでしょう! 1年生はみんな立っているのですよ、穂乃果」

穂乃果に注意する海未。

それにことりも続いている。

「そうだよ穂乃果ちゃん。これだけたくさんの新入生が入部してくれたんだもん。狭いのはしょうがないよ。我慢しよ」

「そうです穂乃果、ことりの言う通りです。堅忍不抜ですよ!わかりましたか!?」

「えーっ!そうだけど前は椅子に座って後にダァーってしても余裕だったのに、人が多くてダァーてできないんだもん。てゆうか海未ちゃんの言ってることよくわかんないし、そんな難しい言葉使わないでよ!」

「何を言っているのです?これぐらいの言葉は高校生なら知っていて当然でしょうに。辛抱するってことですよ穂乃果。あなたには我慢というのが足りないのです。昔から言うでしょう、動かざること山の如した。それはつまり…」

少しあきれ気味で説教する海未、その横でことりは苦笑いをしている。

御高説を賜った穂乃果であったが途中からほとんど海未の言っていることを理解できてはいなかった。

そんな姉の姿を見て、ゆきほは恥ずかしそうに頭を抱えていた。

確かに部室は狭い。

だが先輩は6人しかいない。

テーブルの椅子も半数ほど空いているのだが1年生は遠慮して誰も座らないため余計に部室は狭い状態であった。

そこに凛が穂乃果に問う。

「ねぇ、生徒会長の権力で部室増やせないのかにゃ!」

それを聞いた穂乃果は手をポンっと叩いた。

「…その手があったか…!凛ちゃんナイスアイデアだよ。よーし、そうとなったら早速…」と言う穂乃果に真姫が厳しい口調でツッコミを入れる。

「よし、じゃないわよ。そんなの無理に決まってるじゃない。穂乃果、頭の中どうなってるのよ。よくそんなので生徒会長やってられるわね」

1つ年下の後輩に1年生の前で罵られる穂乃果であった。

「そうです、無理です!バカですかあなたは!」

さらに海未がきっぱりと無理というのと同時に穂乃果を謗った。

「うぅ...海未ちゃんも真姫ちゃんも2人揃ってそんな言い方しないでよ…いいじゃん、海未ちゃんのケチ!」

「ケチとはなんですか!決まりなのですよ。どんどん要希は夫の代表者から生徒会に申請し、それから理事長を通して検討してもらうようになっているのです。穂乃果も生徒会長なら、それぐらいわかっているでしょうに!」

海未に怒られてショボンとする穂乃果だった。

「まぁまぁ海未ちゃんも落ち着いて。穂乃果ちゃんも浅薄なりに部をよくしたいだけだよ。て事でさぁ、花陽ちゃん、部長として正式に要望してね。私からもお母さんにお願いしてみるから」

「はい、了解しました」

花陽はうなずく。

「うん…ことりちゃんありがとう…」

そう言いながら穂乃果はことりに抱きついた。

だが穂乃果は気づいていなかった。

ことりが穂乃果をフォローしつつも、軽く暴言を吐いていたことに…

それに気づいていたのは真姫だけであった。

続く

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