二人の恋と世界の破滅

日和ちゃんのお願いはぜったい


日和ちゃんのお願いはぜったい

岬 鷺宮 (著), 堀泉 インコ (イラスト)

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岬 鷺宮 (著), 堀泉 インコ (イラスト)

付き合ってください。

それは彼女からの突然のお願いだった。

深春はクラスメイトの日和に告白される。

2人は深春から同じクラスになり、席が隣になったことがきっかけで、距離が縮まっていた。

一緒にいることが多くなり、深春にはこの告白が予想できていた。

返事をするのに1日考えさせてほしいと深春は伝える。

そして翌日、深春は断るつもりでいた。

放課後の屋上で日和を待つ深春。

と、その時あることを思い出す。

朝、日和が落としたお願い帳を拾って、ポケットにしまっていたこと。

深春は何の気なしにそのメモ帳のページを開いてしまう。

メモ帳に書かれていたのは、日常の些細な願い事や自分とのこと、そして自分には理解できない単語の数々…

その時屋上に現れた日和はメモ帳を見る深春を目撃してしまう。

深春は素直に謝り、何を見たのかを説明すると、日和からは信じられない言葉が返ってくる。

“私のお願いは絶対なの“と。

日和はどんな願いも叶えられる力を持っていたのだ。

その力を目の当たりにした深春は考えを改め、日和と付き合うことに。

こうして始まった2人の恋は、深春の人生と世界を大きく変えていく。

そして日和は重大な秘密を抱えていた。

日和はその力により、世界中から依頼を受ける組織〈天命評議会〉の創始者であり、リーダーだったのである。

世界を良くしたいと願う日和は、まるで世界が終わりたがっているみたいと表現する。

深春は日和の運命を自分も共にしたいと思う。

しかし事件が起きてしまい、日和は深春に“もう忘れてください。“と願うのであった。

セカイ系とは何か

最初は自分も知らなかった言葉である。

世界がどうあろうとも、大切な人がそこにいてくれるのであれば、結末がどうなろうとも構わない。

自分の強大な力によって世界を変えていき、その過程で生まれてしまう犠牲者もいる。

それでも誰かを愛する思いは変わらない。

はかないラブストーリーであり、2人の少年と少女の恋物語

2人の恋とこの世界を見届けたいと思える作品である。

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