川原 礫(著)
ガンゲイル・オンライン、通称GGOで発生した死銃事件。
ゲーム内で死銃と名乗るアバターに打たれると、現実世界でも死に至るという事件の真相を探るため、GGOにログインしたキリト。
その世界で死銃を探すために、バレット・オブ・バレッツ《BoB》という最強のプレイヤーを決定する大会へと参戦する。
見事に予選を突破したキリトに近づく一つの影...
幽霊のようなアバターの男はキリトに本物かと問いかける。
つまりそれは、SAOのキリトを知っている、SAOの生還者であるという事だ。
それらを基にキリトは、死銃の正体は、かつてSAO内にてプレイヤー切るを行っていた殺人ギルド<ラフィン・コフィン>の幹部クラスの人間である事に考え至る。
そのアバターの特徴から記憶をたどるも、名前を思い出す事はできなかった。
一方でキリトを女性プレイヤーだと信じ、親切にナビゲートしていたシノンは、正体が男と分かり、憤慨する。
裏切られたと思いキリトに対し、激しい敵対心を見せる中、BoB決勝大会がスタートする。
数多くの有力プレイヤーが犇めくバトルロイヤルだ。そこで死銃も動き出す。シノンはキリトに対する思いを一時封じ込め、互いに協力してゲームを進めていく事になるが、ついに2人は死銃と対面を果たす。
死銃の正体は誰なのか。
死銃の計画を止めることはできるのか...
ファントム・バレット編完結である。
SAOの第6弾。
死銃の正体や、現実世界での死に至る方法など全てが明らかになるが、鋭い人なら途中である程度、犯人が分かってしまうだろう。
今作では、シノンこと朝田志乃の強烈すぎるほどのトラウマを乗り越えていく姿が、重点的に描かれている。
だがそれはキリトにしろ死銃の犯人にしろ、少なからずとも皆が何かしらの過去を背負っていて、それが環境や状況により、明にも暗にもなってしまうという事だろう。
最後のシノンのシーンには思わず目元が熱くなってしまう。
VRMMOという仮想世界での物語を描いているラノベだが、いろいろと考えさせられる事もあり、今作も素晴らしい作品である。