その後のラブライブ

ラブライブの続きを勝手に考えてみるEP-005-煩いモーメント③(31)


ラブライブの続きを勝手に考えてみるEP-005-煩いモーメント③(31)

音乃木坂図書室 司書

という訳で花陽は大会の説明を開始する。

「さて今大会の概要を説明しますと、まずは予選の方式が一新されました。

ここが1番大きく変わった点ですね。前回大会までは各都道府県ごとに予選を行い勝ち上がった47チームによる決勝大会でしたが、今大会から地区予選となりました。

私たちは関東地区で、そのほかに北海道地区、東北、東海、信州、関西、中国、九州、沖縄地区の計9地区に分かれての予選となります。

地区により異なりますが、関東地区は1次、2次、そして最終予選を勝ち抜いた上位4チームのみ、計32チームが決勝の舞台アキバドームへと進めるのです!」

花陽の力説に部室内はざわつく。今大会より都道府県予選から地区予選への変更、出場枠は1から4回と増えたものの、逆にこれは決勝大会への道程は険しくなったとも言えるだろう。

なんといっても、関東は最もスクールアイドルが多く、人気のあるスクールアイドルも多いのである。

「前回よりも決勝大会に進めるチームは少なくなったんだね…」 ことりがつぶやいた。

それに花陽は答える。

「はい、そうなのです。これは狙いの1つとしてスクールアイドルの人気が高まり急激に増加しているため予選の段階からふるいにかけて決勝大会を、よりレベルの高い大会にしたいと言う運営側の思惑だと思われます」

「ふーん、なるほどね。そういうことか、つまり私たちにとっては予選をエリア分けしたことによってライバルの数もぐんと増えるってわけね」

「前回も大変だったのに、もっと大変になったのかな…?」

真姫は腕組みをしながらうなずき、凛は指先を顎に当てながら疑問形に言った。

2人に対し再び花陽が答える。

「そうなのです!関東地区は大激戦区なのです。 私たちの東京はもちろんのこと、前回大会上位の横浜、さいたまのスクールアイドルも健在であり、千葉にも人気実力ともにトップクラスのスクールアイドルが揃っています。

そして最大のライバルになるであろうA-RISEの後輩になるUTエックス高校のスクールアイドルもいるのです。

ですので関東地区は、予選を通過することが最難関と言えるでしょう」

前回大会で言えば、東京にはμ'sA-RISEをはじめ多くの有力チームがいた。

更には横浜のチームは前回大会決勝でμ'sに次ぐ2であり、埼玉、千葉のチームも関東勢は軒並み好成績を収めていたのだ。

そんなチームが犇めく中、関東地区予選は行われる。

決勝大会にも劣らないレベルの高い戦いが展開されるのは必須であろう。

「そっか、前回は東京予選でA-RISEや他のスクールアイドルもいて大変だったのに、今回はそれ以上大変かもね」

そういった穂乃果に対し、すぐさま花陽が反応する。

「はい、確かに大変だと思います。
そして今回の変更のもう一つの理由として、前回大会の東京予選におけるμ'sとA-RISEの関係があったからと言われています。

どちらも決勝大会で優勝を争うようなチームでありながら、一方が予選で姿を消して決勝に出られないと言うことがあったからと…」

A-RISEはラブライブがスタートする以前からスクールアイドルとして人気を集め、注目を浴びていた。

そして初代チャンピオンとなった。

第2回大会も圧倒的人気と実力を誇り、2連覇は確実とまで言われていた。

しかし彗星の如く現れたμ'sの前に予選で姿を消すこととなったのであった。

「そういうことですか…正直私たち自身でさえ最初はA-RISEに勝てるなんて思ってもいなかったですもんね。

確かにA-RISEが予選で敗退するなんて、誰も想像すらしてなかったでしょうし…」

海未の言葉に元μ'sのメンバー全員がう頷いた 。

「私の、とある情報通から仕入れた情報によるとですね、前回の東京予選は悲劇だったそうです。

μ'sとA-RISEが仮にともに決勝大会に出ていたとしたら…
それこそものすごい盛り上がりになったであろうと。

これはラブライブの悲劇として、今後ずっと語られるであろうと言われております」

「確かに…私たちとA-RISEが決勝でもし戦っていたらって考えるとね。

それにしても花陽、あなたすごいわね。情報通の知り合いがいるなんて。

どういう人なの?メディア関係?それともアイドル業界の人?」

真姫は花陽の言った情報通の知り合いに興味を示した。

のだが、花陽の返事は…
「いや…人っていうか… Google先生です…」

「何よそれ…」 少し間を置き真姫はつぶやいた。

その回答に真姫以外の多くの部員が“ネットジャン…“と心の中でつぶやいていたが、声に出すものはいなかった。

そんな空気を意に介さず話を続ける。

「それでですね、予選エントリー期間が、明日から2週間となり、その後、5月中に1時予選、6月上旬に二次予選が行われ、2時まではネットのみでの投票となります。

そして勝ち残った20チームにて、7月上旬ごろに地区最終予選が行われ、勝ち抜いた4チームが7月31日に開催されるアキバドームでの決勝大会へと進めるのです。

また、これは前回同様ですが、エントリーはオリジナル曲のみとなっています」

「今回は最終予選から決勝大会までのスケジュールが相当タイトね…
各予選も間隔が短いし…」

「そうですね、前回は最終予選から決勝大会まで2ヶ月ぐらいありましたから、練習もバッチリできましたが、今回は全然時間がないですね…」

μ'sにおいてそしてこれからスタートする6人でのユニットにおいて、作曲作詞や振り付けを主に担当する真姫と海未がぼやくように言った。

確かに短期間となると完成度において多少不安になってもおかしくはないだろう。

「はい、きっとドームを抑えるのが大変だったのかと。

基本的には大きな箱(会場)では何ヶ月、下手すると1年以上も前から予定が入っていてもおかしくないですから。

アキバドームであれば野球やスポーツ、ライブイベント等がいつも開催されているので、それだけ日程を抑えるのが大変だったのでしょう。

でも上からしたら、私たちμ'sのニューヨークPRライブの成功により、知名度がぐんと上がったスクールアイドルの今の人気の勢いのままドーム大会を実現させたかったのでしょうね」

花陽の言った事は正解であった。

A-RISE、そしてμ'sによってスクールアイドルの人気が急上昇している今、まさにこのタイミングで運営はドーム大会を実現させたかったのである。

「日程についてはしょうがないよね。まずは各予選を勝ち抜くために頑張らないとだね。そのために私も衣装作り頑張るよ」

衣装作りを担当することりが言った。

μ'sの時から衣装のデザインはすべてことりが担当し、制作においてもことりを中心に行っていた。

期間が短いとなると、ことりの負担も大きくなるであろうが、決してネガティブな事は言わないことりである。

「さらにですね、今回の記念すべき秋葉ドーム大会ですが、スペシャルゲストの参加も発表されています。

ゲストについてすでに様々な憶測が飛び交っていますが、これはあくまで私の予想なんですけど過去のラブライブの功績を考えても、おそらくはA-RISEなのではないかと私は思っています」

花陽の予想に1年生を中心に大きな声が上がる。

1年生にとっては現実的に考えて決勝大会まで進むと言う事は、相当厳しいだろう。

だが決して不可能では無いのだ。

それは自分たちの先輩μ'sが実証していることである。

もしかしたらA-RISEと同じ舞台に立つことができるかもしれない…

そう考えると、否応もなく気持ちが高ぶるのであった。

続く

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音乃木坂図書室