少女たちの心の変化

風の万里 黎明の空


十二国記 4風の万里 黎明の空

小野 不由美(著)

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小野 不由美(著)

少女たちの心の変化。

陽子は天命により慶国の景王となった。

だが陽子はこの国の事をあまりにもしらなすぎた。

初勅を発令するにも、どうしたらよいかもわからない。良い国を作りたいと思うも、このままだと官吏の言いなりにならざるを得ない。 思い立った陽子は国を、そして民の実情を知るために街へでる決意をする 慶の国は予想以上に荒れていた。前王も女王であり、官の言いなりで国は廃れていたのだ。 特に和州はひどい有様であった。そんな現状を知り、陽子は苦悩する。 時を同じくして芳国では王が簒奪者により弑逆され、その娘、祥瓊は公主の座を奪われていた。 華やかな暮らしが一転して、貧しい生活を強いられる事になった祥瓊は、自分とは逆にすべてを手に入れた景王の存在を知り、憎しみを抱いていた。 また、才国では蓬莱から流されてきた鈴という少女がいた。彼女もまた貧しくて苦しい環境に身を置いていた。 そんな鈴は同じかいきゃくでありながら、慶国の王になった陽子を知り、一目あってみたいと思っていた。 自分の気持ちを理解してくれると思っていた。 こうしてそれぞれの想いを抱えた3人の少女は出会う事になる。 果たしてその先に待つものとは... 今作は3人の少女の苦悩を描いている。 王になったが、何も知らない陽子、王になった陽子を逆恨みする祥瓊、王に会いたい鈴... それぞれが旅を通して成長していくのだが、祥瓊はやがて全ては自分の無知が招いた結果と理解し、景王に対する憎しみが変わっていく。 それに対し鈴は旅の途中で出会った少年が殺された事をきっかけに景王に憎しみを抱くようになる。 この2人の感情の入れ替わりが著しく描かれており、そして3人が出会い、慶の現状を変えようとする姿は感動すら覚え、最後には目元が熱くなるぐらいだろう。 3人の少女の成長を描き、慶国が再スタートする物語。最高に面白い作品だ。

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